ささやかな備忘録

いつか死ぬ日の僕のために

修正テープだらけの手帳が虚しさを助長する

また推しの出演舞台が座席の調整で払い戻しになることが決まって、もう気持ちのやり場が無いなーという感じですね。

 

中止ではなくて、出来るように調整してくれているのはすごくありがたいことだし、スタッフの方々も日々色んな案を練ってどうにか公演に漕ぎ着けようとしてくれていることには感謝しなくてはならないと思う。

 

でもそれとは別に、やっぱりさーー、

折角色んな先行申し込んで、時には円盤を買って…ってしたチケットが無意味な紙切れになってしまうことにはやっぱり愚痴のひとつも言いたくなってしまうのは仕方がないよなーという。

頭では分かっていても、慣れろと言う方が無理だろう。これに関しては。

 

3月から、色々な中止発表があって。

日々手帳に書かれたひとつひとつの予定を修正テープで消していく。

沢山の日付がただただ白い跡となっていく。

 

今見返したらその修正テープの跡にすごく虚しさを覚えて、こんな記事を書きたくなった。

6月なんて土日全部埋まってたからさー、手帳の右端だけ真っ白なの。きっとこれからも暫くこの白い跡は増えていく。

他の舞台オタク、俳優オタクのみなさんもきっとそうなのではないでしょうか。

 

早くまた、手帳を書ききれないくらい文字でいっぱいに出来る日が来ますように。

 

 

紙の本の物質性と半永久性にどうしようもなく惹かれる話―デジタル情報の儚さと脆さ

院生の頃、就活をしていた時にそこそこ出版社を受けていたので、

「他でも散々聞いていると思いますが、出版は、紙の本は、斜陽です。」という話を何度も聞いた。面接でも「この時代に何故紙の本に携わりたいと思ったのですか?」というよう質問を何度も投げかけられた。

 

当時の私は、小さい頃から本が好きだからというのも勿論あったけど、「勉学に励む人に、すぐ流れるような情報ではなく、芯のある知識を届ける」ことに興味があって、それに適しているのが紙の本だと考えていたからそう答えていた。情報が手に入れやすい世の中にはなったけど、代わりに取捨選択の難しさも付いて来たと感じていたからだ。あとはまあ、紙の本はページ同士を見比べやすいとか書き込みしやすいとか、そういう理由も述べてたと思う。最終的には違う業界に就職したけど(論文を扱うことも多いので学問と紙媒体に無縁ではないのだけど)、

最近、当時自分が答えたこと以上に大切な、本が紙として存在する必要性や紙の本に魅了される理由があるな、と考えることがある。

 

それを考え始める切っ掛けとなったのは、本とは真逆に位置するであろうデジタルな情報について、考えることがあった時だった。

それは、とあるスマホアプリゲームのサービス終了のお知らせを見た時であった。よくある、いついつに最後の更新を行います、その後いついつにはサービス自体が終了して中身が全て見られなくなりますよ、というお知らせだった。お知らせには、終了を悲しむファンのコメントが沢山ついていた。沢山のアプリゲームが競争している今の時代、特に珍しい光景でもないだろう。でも、私はふと考えてしまうことがあった。

この作品は別媒体でも展開はされているが、アプリゲーム中でオリジナルのストーリーが展開されており、ゲームをプレイしないと読めないストーリーがあるらしかった。ということはつまり、当たり前ではあるが、サービスが終了してしまえばファンは二度とそのストーリーを読むことができなくなるということではないか、と。アーカイブを残してくれる所もあるだろうが、そう多くはないだろう。(そもそも終了してしまうサービスということは…という所である。) 個人でスクショを保存したり、まとめサイトを作ったりと色々方法はあるだろうけど、限界がある。提供されていたそのままの状態で読むことは、やはり二度と出来ないのだ。

恐らく制作会社のどこかにはデータとして残るだろう。しかし、こうしたストーリーは人の目に触れることで初めて作品として完成されるものだと私は考えている。誰も読むことの出来ない状態になれば、失われ、無くなってしまったも同然であろう。こうしたことを考えるうちに私は、デジタル情報って実は凄く脆くて危ういものなのだなと感じてしまったのである。

 

その後、もう一つこのデジタル情報の脆さを感じる出来事があった。Yahoo!ジオシティーズヤプログ!のサービス終了である。

前回の記事でも触れたが、私は元々HPもブログも運営していたことがあるので、双方のサービスに相当馴染みが深かった。ジオシティーズは自分でもずいぶん長いこと利用していたし、他の方が運営しているサイトに遊びに行っては、公開されているゲームやイラストをいつも楽しく見ていた。ヤプログ!は利用はしていなかったけど好きなブロガーさんがいて、もう随分長いこと更新はなかったけど、度々記事を読み返していた。サービスが終了した後、それらのページを開いてみると、そこには「こちらのサービスは終了しました」の文字だけが残っていて、とても寂しい気持ちになった。

こうしたHPやブログというのは、前に述べたアプリゲームとは違い、個人で制作・運営しているものが殆どである。そのため、何年も更新されないサイトやブログは、最早制作者の手を離れてインターネットの海を漂う断片のようなものである。大元のサービスが終了してしまえば、その中に記されていた物事はそのまま消滅して、この世界から完全に消えて無くなってしまう。いつか誰かが作り出した作品や書き上げた記事が、制作者の預かり知らぬところで失われてしまう。それって凄く苦い感覚だな、と考えたのである。

 

デジタルな情報は、何度もコピーが出来るし、遠方にいる人にもすぐに送ることが出来るという利点がある。公開もしやすい。それに、嵩張らなくて整理もしやすい。並べ替えも簡単である。劣化もしない。学生時代、企業の嵩張る紙の資料をデータ化するアルバイトをしたことがある。もう置き場がなくて仕方がないとのことだったので、保存方法としては最適だったかもしれない。

しかし、これだけ利点があっても、サービスの終了や機械の故障で呆気なく消えて無くなってしまう可能性があるというのは、それらの利点を吹き飛ばしてしまうくらいあまりにも大きな欠点であろうと思う。そういえば、修士論文を書いている時にUSBが壊れて、集めた雑誌データ10年分が吹き飛んだことがあった。まさにあれだ。(まぁ言ってしまえば紙の本だって火事などで燃えてしまう可能性があるわけだが、デジタルな情報の喪失はそれよりもより身近にあるものであると思える。)

人間が考えたことを永遠に覚えていられれば別だけど、そうはいかない。自分の考えを人に話して聞かせることにも限界がある。だから、何かに書き記す必要がある。その書き記す媒体としては、デジタルな媒体は実はあまりにも脆い存在なのではないかと実感しているのである。

最近までは、情報革命があって、情報化社会が発展していく中でとにかくデジタルは便利!というのが謳われてきた時代に思えたけど、それが成熟を迎えて、情報化の初期や中期を支えたサービスが段々終わっていく中で、デジタルな情報が超ハイテクで永久不滅のものではないことに世間が気づき始めて、それに目を向けるべき時代に来たのではないかな~という気がしている。

 

そうしたことを考えていく中で、やっぱり紙の本って必要じゃない?と考えているのである。とにかくデジタルは便利!と言われてきた中で、紙の本はもう古いという風潮があるのはまあ、冒頭に述べたことからも明らかだろう。確かに紙の本はデジタルな情報と違って、重いし、嵩張るし、コピーも大変である。その中で私は、面接で答えたようなことに本が紙である意味を見出しているのだと思っていた。

確かにそれも事実なのだが、今はそれ以前にまず、本が、本に記された知識や作品が、物として今自分の目の前に存在するのだという「物質性」に価値を感じているのだな~と考えているのである。目の前にある紙の本に私は触れることが出来るし、例えば(ダメだけど)叩いたり、落としたりしても、中に書かれた情報が消えることはない。それに、紙の本は何かに依存することはない。それだけで存在しているのだから、他の何かの物事が終わった拍子につられて消えてしまうことも絶対にない。

紙の本にも細かい利点や欠点が色々あるけれど、まずこの「物質性」と「半永久性」が何よりも大きな利点であり、魅力なのではないかと気付いたのである。そして私は、その魅力にどうしようもなく惹かれるからこそ、紙の本が好きのではないかと考えたのだ。

 

思えば私は装丁にすごく惹かれることがあって、好きな加工の施された本の表紙をうわ~~最高!とまじまじ眺めてしまったり、特殊印刷加工の実物サンプル本も持っていたりする。こうした印刷加工の素材感というのも、平面のデジタル媒体ではどうしても表現できない部分である。この辺りも紙の本の「物質性」に惹かれる一因なのであろうなと思う。

仕事で論文扱う時とかはコピー面倒くさ!!手切れる!!送るの大変!!数回読むだけならデータで送らせて!と思ったりすることもあるのだけど。この辺りは用途に合わせて柔軟に紙の本とデジタル媒体を使い分けても良いのかもしれない。いやでも紙で読んだ方が捗るという気持ちもとても分かるので頑張って発送したりしている。

あとやはり、雑誌なんかはその当時の流行や空気感をそのまま1つの存在としてパッキングしてくれているものが多いので、文化研究をしてきた身としては凄く役に立つものに感じている。インターネットでそれらを一つ一つ調べるのは恐ろしく手間がかかるし、流行の情報なんかだとそれこそサービス終了で欲しい情報はもう消えてしまっていることも多い。修士論文を書く時に、紙の雑誌の存在が本当にありがたかった。出版の中で雑誌が一番落ち込んでいるとは聞いているが、どうか無くならないでほしいものである。買うからさ。

 

あとは余談だが、推しが雑誌に載るのもやはりそういった意味で嬉しい。インタビュー記事なんかは、時が経って開くと「この記事は存在しません」の文字が目に飛び込んでくることも多いので、手元にずっと残しておけて、いつでも読み返せるのは凄く嬉しい。

やっぱり紙の本って良いな。

 

まあそれを書いているのがこうしたデジタル媒体のメディアであるというのはある種の皮肉になってしまうかもしれないけど、

私は誰かに読んでほしくてこの文章を書いているから、そこを優先した結果、個人で発信しやすいインターネットのとあるブログという形態を選んでいる。しがない覚え書きのようなものだから、という気持ちもあるのかもしれない。

いつかここで書いたことが自分にとって物凄く必要だなと感じたら、紙に起こしておこうかな、と思ったりしている。

 

P.S.

少し話はズレるが、あつまれどうぶつの森の攻略本がめちゃくちゃ売れている理由が、インターネット上で中身のない攻略サイトが乱立されて、検索に引っかかるようにプログラミングされている(アフリエイトなどのためだろう)せいでファンが欲しい情報に全くたどり着くことが出来ない状況だからだと聞いて、これも情報社会が成熟しすぎた結果なのかな…と思ったし、やっぱり紙の本に立ち戻る瞬間が少しずつ訪れているのかもな~と思ったりした。

マシュマロ

最近、記事を見たり読んだりしてくださる方が結構いらっしゃるようなので、

ご意見とか、ここはこうでは?みたいなのがもしあったとして、投げられる場所があった方が良いのかもと思っていたのですが、

マシュマロを埋めこみで置くことが出来るということを知ったので設置してみました。

marshmallow-qa.com

 

基本はそれぞれの記事の下に表示されるように設定してます。

なかなか無いかとは思いますが、もし何かあればどうぞ。

 

こういう匿名のメッセージツールを見ていると古のweb拍手を思い出しますね。

HPに置いていたなあって思い出した。私は元々HPとブログ両方持ちだったのですが、メインで使ってたジオシティーズも無くなっちゃったし、好きなブロガーさんがいたヤプログ!も無くなっちゃったし、割りと子供の頃から使ってたサービスが無くなるのは寂しいなあ。(web拍手はまだあるんだね)

サービスそのものもだけど、やっぱりサービス終了時に中身が無くなるのが寂しい。好きで何度も読み返していた記事とか、好きだったイラストやゲームとか。制作者が別の所に移してくれていたりする場合は救われるけど、何年も更新がないページだったりすると、最早制作者の手を離れてインターネットの海を漂う断片のようなものなので。そのまま消滅して、その情報にはもう二度と触れられないという脆さが何だか苦いですね。

その辺りの、ハイテクなはずのデジタル情報の脆さみたいなものにも少し思うところがあるので、近いうちに書こうかな。

 

途中になっちゃってる感想などありますが(そうこうしてたら円盤が出ちゃって当時一緒に観劇してた子と遠隔観賞会まで終えてしまった)

感想というのを上手く1つにまとめるのがあまり得意ではないのかもしれない…と思っていたり。思えば、読書感想文はめちゃくちゃ嫌いだったな。

長いこと論文を書いていたからなのか、何か1つの事象に関してまとめて考察して結論を書いて…っていう方が得意だなぁと思いました。

まあ、筆が乗ったら書きます。

 

2次元とヴィジュアル系 後編ー2次元のヴィジュアル系バンドは「リアル」か?

前回の記事の続きです。

appleringo.hatenablog.com

引き続き、元ばんぎゃるが漫画、アニメ、ゲームなどに登場する「2次元」ヴィジュアル系バンドに時たま感じる「違和感」の正体とは何であるのか、そして2次元のヴィジュアル系がどこまで「リアル」であるのか――そもそも2次元のヴィジュアル系は「リアル」であるのか、ということについて考えていきたい。

注意事項他は前回の記事の前置きのとおりである。

 

前回は90年代~2012年までの作品を取り上げて簡単に考察してきた。今回は主に2010年代後半の近年の作品を取り上げて考えたあと、まとめに入りたい。尚、前回同様本記事の記載において、取り上げる作品やキャラクター自体を批判・攻撃する意図は一切ないということは申しおきたい。 

***

(タイトル横の年数は作品またはキャラクターの初出年を記載。)

8.Squall(バンギャループ)2014年

タイトル通り、バンギャとタイムループが主題の漫画作品であり、物語の核となるのがヴィジュアル系バンド・Squallである。物語は、彼らのファンである主人公が参戦予定だったライブが突然中止となり、その原因がボーカル・霧の突然死だと報じられる事から始まる。悲しみに暮れる主人公だったが、とある事故によりデビュー前のSquallメンバーの家にタイムスリップしてしまう。主人公が過去のメンバーと交流する中で、来るべき未来の出来事が少しずつ変化していることに気づき、「霧の死なない未来」のために奮闘するストーリーである。

本作はメンバーと親しくなりつつ、スタッフのような手伝いも行う主人公の目線で描かれるため、彼女関わる素のメンバーの物語と、ステージ上のメンバーの様子の双方にスポットが当てられている。

Squallのビジュアルは、メンバーそれぞれ黒マスクや女形で個性を出しつつ、黒系衣装で統一されており、ネオ・ヴィジュアル的なコテ系バンドとしてリアルに描かれている。ボーカルの霧が黒い傘を指しながら登場し、「コンニチハ、Squallです」「雨を降らせに来ました」といった挨拶をするのもとても「ありそう」な感じである。オフのメンバーと比べてガッツリとメイクをしていることが分かるのもリアルだと思う。

また、本作にはSquallと関わる存在として、人気バンドRAVENやライバルユニット・ZerOも登場する。RAVENは霧の憧れのバンドであり、非常に人気がある様子が描かれる。メンバーの雰囲気はバラバラだが、それぞれが個性を極めており、ライブシーンでも売れっ子らしい気迫が描かれる。2次元にありがちな取り敢えずそれっぽいものを詰め込んだバラバラさではなく、「バラバラだがバランスが良く成り立っている」売れっ子バンド感がうまく表現されていて思わず唸ってしまう。ZerOは、愁と千草という2人の組んだユニットである。愁はバンドが中々上手く行かない様子が描かれ、バンドだと何となく上手く行かないメンバーが少人数でユニットをするというのが何ともありそうな流れで苦みを感じてしまうリアルさである。可愛い系の愁とコワモテだがラフめな千草の組み合わせはコテではなくオサレ系・キラキラ系の系譜っぽくて「おっ」と思った。ライブシーンで全力を出し切り、ステージで寝転んで笑う姿も妙にリアル。レコード会社の売り出し方と齟齬が生じてぶつかる辺りも見たことがあるような気がして何だか苦い。

全体的なストーリーの中でも、主人公の目的と同時進行で、バンド内・バンド同士の揉め事、レコード会社との出会いや売り出し方による亀裂、女性関係のトラブルなどが描かれ、タイムループというファンタジーとの対比でより現実感が強く感じられて面白い。また、高田馬場AREAや新木場STUDIO COASTなど知っている箱が度々登場するのも面白い。筆者はつい一気読みしてしまった。取り上げた中では、全体的に一番「リアル」を感じられる作品かもしれない。

余談だが、実在したバンドであるカメレオとコラボしていたこともある。

 

9.DRINK ME・MEDICODE (FlyME project) 2015年

こちらは「人気男性声優×V系スペシャルプロジェクト」*1 という触れ込みで始動した2次元バンドプロジェクトである。「異なった見た目、楽曲のV系バンドが同じ音楽レーベルへほぼ同時期に所属。事務所側からはお互いを競わせるため、CDの同時リリースを決める。」*2 というイントロダクションの通り、2つのタイプの異なるバンドが登場する。また、楽曲は実際にシーンで活動しているヴィジュアル系バンドのメンバーがそれぞれ提供を行っている。

DRINK MEは、カラフルだったり、パンキッシュだったりするポップな衣装に身を包み、キャッチなポップ・ロックの楽曲を中心としているバンドである。前回の記事の最後に述べた通り、2次元におけるヴィジュアル系は2010年を回っても殆どが大枠に「コテ系」や「耽美系」っぽいものであり、ヴィジュアル系=コテ系っぽいもの+耽美要素という記号化が行われているように思える。その流れに対して、DRINK MEはお揃いの骸骨柄のパーカーや、カラフルな柄のシャツ、小柄で可愛い系のボーカル、ポップ路線の楽曲といった要素から「キラキラ系」「オサレ系」の系譜を感じることが出来る。ヴィジュアル系を記号的に扱うのではなく、作り込んでいることが感じられて、リアリティがある。筆者は、やっとキラキラ系が現れた~~~!!!と思った。始動直後のニュースサイトの記事にもやはりDRINK MEは「オサレ系」を意識しているのであろうか、という記述があった*3

楽曲も例えば「わくどき☆ワンダーランド」は、ポップな同期と可愛い歌詞にCV.山下大輝のふわふわとした歌い方が相まって、如何にも近年の若手キラキラ系にいそうな感じである。曲の提供を行っているのは摩天楼オペラのキーボードの彩雨である。摩天楼オペラはシンフォニックメタルがメインのバンドなので、随分毛色は異なるが、やはり実際にシーンを見ているバンドマンは強いな…と思った。(歌詞は別の人みたいだけど)「The New World」はアリス九號.(当時はA9)のヒロトの提供曲である。こちらはド直球に得意な感じを持ってきたんだろうな~という感じである。爽やかだけど、同期の感じに「っぽさ」があって良いなと思った。

MEDICODEは、打って変わって黒基調の落ち着いたビジュアルに、コテ系っぽい楽曲のバンドである。こちらのバンドはDRINK MEと比べるとややアニメティックな感じが否めない。多分原因は、コテ系を意識しているのだろうが、何となく中途半端に感じてしまう所かもしれない。ボーカルは思わず「あ…いる…こういう人…」と思ってしまったが、ちょっとシンプルすぎる気もする。でも…女優帽…被っている人、いるよね…。対して他メンバーは中々構造の難しい衣装を身に着けている。にも関わらずメイクが薄めなのも気になるかもしれない。ちょっと「ヴィジュアル系っぽいってこうだろ」という要素を無理やり詰めた感が出てしまっているのが残念である。始動直後のニュースサイト記事でもファンから同じような指摘があったことが記載されていた。*4 シンプルな衣装と難しい衣装の組み合わせは、昨今増えているややロキノン寄りのヴィジュアル系だと結構見かけるかもしれないが、MEDICODEは音楽がコテ系っぽいから違和感があるのかな、と思った。しかしDJってなんだ。

楽曲は、例えば「CARMA」はデスヴォとサイレンから始まり、サビでメロディアスになるという流れが如何にも近年のコテ系バンドの曲らしさがありリアル。曲の提供を行っているのはLM.CのAijiである。LM.Cはどちらかといえばポップ・ロックだが、なんせ以前はPIERROTのコンポーザーだったメンバーである。すごいわかってる。「GABBY」はDIAURAの佳依の提供曲である。こちらもダークな怪しげなサウンドから始まりサビでメロディアスになるというらしさが感じられる曲である。DIAURAは王道コテ系なので、得意分野なのかな、といったところ。歌詞も契約したり、息の根止めそうになったり、足枷が錆びたり、過去を後悔したりと「らしさ」が散りばめられながらクサくなりすぎない感じでリアル。だからこそちょっと衣装とメイクの描写が勿体ないなぁと思う。でも、ロゴはすごくそれっぽいなと思ったりもした。

また、双方のバンドに元々一緒にバンドをやっていたメンバーがいる…という設定があったり、ドラマパートでメンバーのすれ違いが描かれたりと、裏事情の描写はリアル。しかしフライミープロジェクト、突然音沙汰がなくなり、数年間何も動きがないようで残念である…

 

10.フォックス・イヤー (妖かし恋戯曲) 2017年

こちらは乙女ゲーム。攻略対象となるのが、作中の人気ヴィジュアル系バンド、フォックス・イヤーのメンバーである。フォックス・イヤーは狐耳と尻尾を付けたコスプレバンドであり、主人公の従兄弟がマネージャーをしている。ある日、主人公がライブを観に行くと、持っていた勾玉が光り出し、幻覚を見たあと気を失ってしまう。気がつくと、そこはフォックス・イヤーの楽屋であり、彼らは勾玉を奪おうとしてくるが、彼らはそれに触れることが出来ない。なので、主人公をマネージャー補佐として側に置くことを要求する。幻覚の正体が気になる主人公は、戸惑いつつも話を受ける。メンバーたちは実は妖狐であり、興奮すると本当に狐耳と尻尾が生えてしまう。(カモフラージュのために耳と尻尾を付けていた)そして、妖力の増幅のために主人公の持つ勾玉を探していたのであった。如何にも乙女ゲームらしいストーリーである。

今述べた通り、フォックス・イヤーは妖狐によるバンドであり、必ず耳と尻尾を付けてステージに立っている。この時点で凄くファンタジー色の強い設定なので、リアリティがどうのと考察するのは野暮な気もしてしまうが、ヴィジュアル系と冠しているからにはリアルのバンドからの影響もあるだろうということで、ファンタジー要素を除いた部分で考えていきたいと思う。(耳と尻尾で言えばSHOW BY ROCKのシンガンクリムゾンズも生えていたし)

まず耳と尻尾を除いたビジュアルは…といきたい所なのだが、その前に気になることがある。…ボーカル、誰よ?キャラクター紹介にはボーカルの記載がない。と思って調べてみたら、どうやら全員で歌っているらしい。そういう感じ!?私の知っている限りでは、全員ボーカルを兼任のバンドはいない気がする。いるにはいるのかもしれないが、簡単に検索した限りでは見当たらなかった。全員で歌うってなるとイメージ的にアイドルバンドっぽくなってしまってヴィジュアル系っぽさは薄れるな~と思う。せめてメインボーカルが決まっていたらな。あと音楽性に関しては作中でもあまり触れられていないらしく、よく分からずじまいである。

気を取り直してビジュアルは、メンバーそれぞれてんでバラバラだが、全体的にアニメティックな感じが強い。リードギターの暁仁は、前がガッツリ空いたシャツに革ジャケット、ダメージスキニー。セカンドギターの霞美は王子系。ベースの晃征は暁仁を少し大人っぽくした感じで、ドラムはサルエルにカラフルタンクのオサレ系。キーボードの螢丞は軍服風。暁仁と晃征の衣装は、前回の記事でも書いたように、V系要素を部分的に取り入れたファッションであるお兄系を元のヴィジュアル系と混同して扱ってしまっているように見受けられる。他のメンバーは単体で見ればコテ系、キラキラ系、耽美系で、それぞれいそうな感じである。いやでもやっぱりお兄系の隣に王子や軍服は並ばないだろう。「ヴィジュアル系=コテ系っぽいもの+耽美要素」という2次元的な記号化に縛られず、ヴィジュアル系にも多種多様なタイプがいることを把握した上で作っていることが分かるのはとてもありがたいが、とにかくそれっぽい要素を詰め込みすぎてかえってゴチャッとしてしまっているのが残念である。

まあ本作は、音楽よりも妖要素のほうがメインであるように見受けられるので、2次元感が強くても仕方がないのかもしれない。ちなみに作中には、同じく勾玉を狙う狸の妖のバンド・ピエロ―ズも登場する。狐のライバルが狸なのはなかなか面白い。

 

11.四十物十四 14th Moon(ヒプノシスマイク)2019年

こちらはキャラクターラッププロジェクト。女性が政権転覆を行い、武力を根絶させた世界で、男性は地区(ディビジョン)ごとにチームを組み、武器に代わり特殊なマイクを通してラップをすることで戦うことで領土を勝ち取っていくというのがメインテーマである。本作では様々なディビジョンの代表チームのキャラクターが設定されており、それぞれの個性的な楽曲と、キャラクター同士の因縁を描いたストーリーが展開されている。その内、追加チームであるナゴヤ・ディビジョンのキャラクターの一人が、ヴィジュアル系バンドマン・四十物十四(14th Moon)である。チーム曲のPVで名古屋E.L.Lの入り口に十四が佇む様子が映るので一部で話題になったりもした。

本作のチームのメンバーは様々な経緯で集まっているので、年齢も職業・経歴もバラバラである。そのため、ナゴヤ・ディビジョンにおいてもヴィジュアル系バンドマンという設定なのは十四だけであり、十四がボーカル担当であるという情報 *5以外、具体的なバンドの設定や他のメンバーの描写はまだ登場していない。しかし、明らかにV系を意識した濃い目のキャラ付がされていたり、個人楽曲を提供しているのが実際にシーンで活動しているバンドのLeetspeak monstersのであったりするので、その辺りに着目して考えていこうと思う。

まず、ビジュアルは、黒髪に金メッシュで後ろがロングの髪型に、ナポレオンのロングジャケットを羽織っている。雰囲気的には、耽美寄りのコテ系っぽさがある。しかしここで一つ疑問が。この服、私服…?勝手にステージ衣装だと思っていたが、友達に聞いてみたらヒプマイの他キャラクターが普段メインビジュアルの服装で過ごしているのを見ると、私服では?と言っていた。確かに。私服だとするとちょっとコスプレ感がありすぎるかもしれない。こういった服を私服にしているバンドマンはあまりいないだろう。

そして、彼には初対面の人の前だと芝居がかった喋り方になってしまうという癖がある。そうした喋り方で「それが貴殿のレゾンデートルなのであろう…」「我は華麗にして混沌のボーカリスト…」*6等といったことを言う。ゴリゴリの厨ニ病発言である。何というか、ヴィジュアル系に傾倒している人間というと世間的にはまだこういうイメージなのだろうか…と若干心配になってしまう。勿論こういう世界観が好きな人もいるだろうが、今のヴィジュアル系というジャンルでは、それがステレオタイプには成り得ないと私は思っている。ヴィジュアル系のイメージが大分前で時が止まってしまっている気がしてくる。これが、「ヴィジュアル系=コテ系っぽいもの(+耽美要素)」という記号化の原因かもしれない。しかし元の喋り方に戻るときゅるんとするの可愛いよね。十四。

上述の通り、十四のバンドの詳細はまだ描かれていないが、ソロ曲はLeetspeak monstersの提供であり、コテコテのヴィジュアル系っぽさを盛り込んだ一曲である。イントロの何となく重苦しい感じが如何にもゴシック耽美系のそれである。私はこの曲を聞いた時、何となくゴールデンボンバーの「†ザ・V系っぽい曲†」を思い出してしまった。まあ、そういうことなのだろう。しかし、この曲調にラップが盛り込まれているというのは結構新鮮で面白いなと思う。Leetspeak monsters自身もゴシックなミクスチャーロックバンドであり、ボーカルのD13がラップも担当しているため、得意分野なのかなと思う。

余談だが、同作品のシンジュク・ディビジョンの伊弉冉一二三の2つ目のソロ曲をゴールデンボンバー鬼龍院翔が手掛けており、一時期界隈で話題だった。どこを取ってもあまりにもキリショーである。キリショーの固有性ってすごいんだなと思った。

 

12.Fantôme Iris(ARGONAVIS from BanG Dream!)2019年

こちらは、バンドリ!ガールズバンドプロジェクトの派生作品であるボーイズバンドプロジェクトである。そのうち、今年冬リリース予定のゲームアルゴナビスfrom BanG Dream! AAside」に登場予定のバンドの一つがFantôme Irisである。少し前に、実際にシーンで活動しているバンドであるシドが楽曲提供をすることも発表されている。まだバンドストーリーが発表前なので、公開されているビジュアルと設定、楽曲を基に考えていこうと思う。

ビジュアルは、黒基調で、正統派のゴシック耽美系でまとまっている。ボーカルめっちゃ王子じゃん、と思ったらリアルフランス貴族だった。「ようこそ白銀の百合咲き乱れし夜会へ。」*7というセリフが添えられて耽美系のバンドってこういう感じだよね…と妙に納得してしまった。リアル。他にも女形がいたり、ヴァンパイア設定の人がいたりと、なんかありそうな感じである。唯一少しだけ違和感を持ったのは、ギターの洲崎遵。中の人がイベントで「ヒャッハーしちゃってる」と述べている*8通り、狂気的な笑みを浮かべ、首に棘の付いた衣装を着ており、どちらかと言えばネオ・コテっぽさがあり、他メンバーの耽美っぽさからは若干浮いているような?この辺りはやはり「ヴィジュアル系ってこういうの」を詰め込んだ結果なのかなぁと言う気もする。でも、全体的に見れば衣装やメイクは結構リアリティがあるかなと思う。あと、竿隊の楽器が一人ひとり個性的に描かれているのも面白い。御劔のギター可愛い。

楽曲は、前述の通りシドが担当しており、現段階で発表されているのは「銀の百合」で、MVも公開されている。元シドギャからすると「あ~明希曲~」となる感じである。おどろおどろしげなイントロや起伏の少ないAメロがゴシック耽美系のバンドの曲っぽい。「月夜に照らされて光る」や「深紅の夜に溶ける」といった歌詞の退廃的さもそれっぽい。そしてMVなのだが、あまりにも所謂「耽美系・コテ系あるある」過ぎて驚いてしまった。最後の晩餐か?という大きなテーブルに着くメンバー、絡まるチェーンと飛び交う羽根、籠に入れられたぬいぐるみ(これをみて洲崎遵がマスコット的ポジならありなのかもと思ったりした)、教会での演奏、飛び散るガラスの破片…あまりにもてんこ盛りである。前の記事で紹介した不破尚(スキップ・ビート!)の「Prisoner」くらいの盛り盛り度である。ここまで一つの曲に詰め込むか?というのはあるが、あまりにも既視感があるからリアル…と言いざるを得ない。是非他の曲も早く聞きたいものである。

 

***

以上、90年代~現在までの2次元作品に登場するヴィジュアル系バンドについて1つずつ考察してきた。どの作品に登場するバンド(キャラクター)も「ヴィジュアル系」を表すために様々な設定や工夫が施されており、調べていて興味深かった。元々知っていた作品も、こうして他の作品と並べてみると、カラーがはっきりして面白い。しかしながら、こうした設定や工夫が実際には「ヴィジュアル系」を表すことからはズレてしまっていたり、時代にそぐわなかったりすることがあるということが分かった。ここでは全体を通して感じられたそうした違和感についてまとめたいと思う。

 

①謎のファーの存在とお兄系との混同?

これは特に前半の記事に登場した作品(2012年以前)に多く見られた傾向である。だが、コテ系または耽美系っぽい黒っぽい衣装に肩からファーを担いだキャラクターが複数の作品で登場しているのである。しかし、実際に衣装で大きなファーを担いでいるヴィジュアル系バンドマンというのは、そんなにいない。実際に肩からファーを担いでいるのは「BELIEVE」の時のSOPHIA松岡充くらいだと思う。あれは松岡充だから為せる業である。多分。だからコテコテ衣装+でかいファーという組み合わせがよく登場するのはやはり違和感がある。

前の記事でも述べた通り、恐らくこれは2006~8年頃に流行していた「お兄系」のファッションとの混同に起点があるのではないかと筆者は考えている。ヴィジュアル系の要素を取り入れたファッションである「お兄系」をヴィジュアル系そのものと混同してしまっているのではないかと思うのである。ファーではないが、「妖かし恋戯曲」のキャラクターの衣装もお兄系との混同らしきものが見られた。こうした勘違いが微妙な違和感を演出してしまっているのかもしれない。

 

②系統混ぜすぎ問題

筆者はヴィジュアル系のことを自由と多様性のあるジャンルだと思ってはいるが、バンド単位で見ればそれぞれテーマやカラーがあり、統一感のあるバンドが多いと思っている。バンドごとに、コテ系、耽美系、オサレ系、キラキラ系などそれぞれのバンドが得意とする方向性(時には近い方向性を併せ持っているバンドもいるが)に合わせた音楽やビジュアルを提示しているということである。しかし、2次元作品におけるビジュアル系は、「それとそれ並ぶ?」という系統を混ぜていることが度々見受けられる。コテ系っぽい衣装でまとめたビジュアルだけど音楽は非常に爽やかであったり、コッテコテのボーカルにめちゃくちゃカジュアルな格好のギターが並んでいたり、コテ系、キラキラ系、耽美系なビジュアルのメンバーが全て同じバンドに混在していたり、といった形である。ビジュアルと音楽を切り離し、メンバー同士を切り離して考えれば上手く文化を取り入れていたとしても、同じバンドに共存してしまうと「ごった煮」感が出てリアルさがぐっと下がってしまうと思う。様々なヴィジュアル系っぽさを見せてくれようとした結果なのかもしれないが、逆に微妙さが生まれていて勿体ないなと思った点である。

 

③「ヴィジュアル系=コテ系や耽美系っぽいもの」という記号化

一番気になったのは、やはりこの部分である。今まで紹介してきた2次元作品におけるヴィジュアル系の殆どは、コテ系や耽美系と呼ばれる黒っぽさや豪勢さのある派手な衣装やメイクでまとめたビジュアルに、退廃的、ゴシックな要素のある(見ようによっては厨ニ病っぽさがあるものもある)楽曲を演奏しているバンドであった。こうした系統のバンドは確かに実際のシーンにも多数存在している。

しかし、前にも述べた通りヴィジュアル系というのは実際は結構多種多様であり、自由と多様性のあるジャンルである。特に2000年代(ゼロ年代)以降はオサレ系やキラキラ系といった、カラフルだったり、ポップだったりするバンドも多数登場しているし、オサレ要素を加えたコテ系もいる(コテオサ)。90年代から現在に至るまで黒っぽさとは真逆の白系と呼ばれる儚さや清廉さを表現するバンドもいるし、和風バンドも今や定番である。にも関わらず、2次元作品におけるヴィジュアル系は今も殆どがコテ系や耽美系ばかりなのである。実際、記事で紹介した中で他の系統と言えるのはキラキラ系らしい「Flyme project」のDRINK MEや、オサレ系らしい「バンギャループ」のZerOくらいだろう。オサレ系やソフビを主として聞いて育ってきた筆者としては、やはりこの記号化に違和感を持たずにはいられないのである。

アニメやゲームで実際にある文化を扱う場合、流行をタイムリーに取り入れるより少し後から「っぽさ」を抽出することの方が多いのではないかと思うので、ゼロ年代くらいまでは黒っぽいバンドが多いのも頷けるが、それ以降はより多様化が進む時代に入ってくる。2次元作品のヴィジュアル系はその辺りで時が止まってしまっているものが多いように感じてしまうのだ。あと、オサレ系やキラキラ系っぽいバンドのキャラクターはヴィジュアル系という枠組みではない形で2次元の作品に登場しているような気もしている。(例えば、「DYNAMIC CHORD」の[rêve parfait]や「ROOT∞REXX」のREXXなんかがそんな感じ。) あと、2次元だとアイドルジャンルの方にそういった雰囲気を持ってかれてる気もしている。(それを悪く言うつもりはない。)

まあ言ってしまえば、2次元の作品というのはあくまで2次元であり、現実とは違うものである。誇張表現や記号化が主であるものに関してこうして「リアル」であるか?を考えること自体もしかしたら見当違いのことなのかもしれない。制作側ももしかしたら「それっぽさ」があればよく、「リアルさ」を重視してはいないのかもしれない。

しかし、人が作った表象は程度の差はあれど何であれ実際の世界を映すものだろうし、バンドが登場するとなればある程度「現実感」を考えずに作ることは難しいだろう。受容する側だってそれを期待しているところがあると思う。実際の文化の流れを汲まず時が止まったままでいるというのは、そうした現実感からの乖離に近づいてしまうことではないかと思う。そうなればある種の古臭さだけが残ってしまう可能性もあると思う。

筆者は今20代半ばで、丁度ネオ・ヴィジュアル系が盛り上がっている時代をヴィジュアル系と共に生きてきた世代だ。古き良きも勿論好きだけど、それだけがヴィジュアル系って思われるのはやっぱり悔しいし、普段ヴィジュアル系は聞かないけど2次元は好きって子たちにヴィジュアル系のキャラってなんかずっと同じような感じの人しかいないよねって思われるのも正直悲しい。これから出てくる作品ではどうかポップなバンドもヴィジュアル系として沢山登場してほしいなと思う。

 

長くなってしまったが、以上が、元ばんぎゃるである筆者が感じた「違和感」のまとめである。最後に、主題である「2次元のヴィジュアル系は「リアル」であるのか?」という問いについての結論を述べて締めたいと思う。

「2次元のヴィジュアル系は、作品ごとに言えば、非常に「リアル」であると言えるバンドもいる。しかし、どこか違和感のあるバンドもいる。「ヴィジュアル系」というシーン全体で考えると、時が止まったような感覚を覚える部分があり、現在のイメージから言えば「リアル」とは言い難い部分が大きい。」といったところだろうか。

これからも2次元のヴィジュアル系の動向には注目していきたいなと思う。

長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

(何かありましたら、マシュマロかTwitter:post_siteimasuまでどうぞ。)

 

P.S. 完全に余談なのだが、今回扱わなかった「ビジュアル探偵明智クン!!」というヴィジュアル系の探偵が活躍する作品の2巻の表紙で、明智クンが取っているポーズ*9と、「SHOW BY ROCK!」のアイオーンのポーズ*10と「ヒプノシスマイク」の四十物十四のポーズ*11や、今回は取り上げていないが「SKET DANCE!」のダンテ*12のポーズがほぼ同じであり、「このポーズってヴィジュアル系っぽいポーズとして定着しているんだな…」と思ったりした。何となく分かってしまう所が悔しい。

 

[5/22追記]

ありがたいことに、引用で感想を書いてくださった方がいらっしゃったようで…

嬉しいです。ありがとうございます。

ご意見を頂いたJZEIL(DAIIGOのいたバンド)もファーをまとっていたような(ジャケットだったのかも)…?の件、JZEILに明るくないので調べてみたのだけど、ファージャケットもあったけれど、確かにジャケットの襟元に黒いファーをあしらっているっぽい衣装がありました!!DAIGOはDAIGO☆STARDUST時代もカジュアルにお兄系な感じだし、DAIGOになってからも蝶の羽とか背負ってるし、ファーくらいまとっててもおかしくない気がする(?)

スターも沢山ありがとうございます。

*1:「News | FlyME project」http://flymepro.com/news/

*2:「aboutFlyMe | FlyME project」http://flymepro.com/about/

*3:V系×人気男性声優陣がコラボ! 謎に包まれた「FlyME project」ってなに?」https://www.excite.co.jp/news/article/E1422856870742/?p=2

*4:同上

*5:『Bad Ass Temple Funky Sounds』Drama Track「不退転の心は打ち砕けない」より

*6:同上

*7:「キャラクター紹介 | アルゴナビス from BanG Dream! AAside(ダブルエーサイド)」https://aaside.bushimo.jp/characters/#tabs1-f

*8:「“ファントムイリス”キャストが初お披露目! 池袋に“ゴールライン”が響く『ARGONAVIS』ステージをレポート」https://www.bs-log.com/20191123_1382881/

*9:こちらを参照「まんがタイムきらら - 作品紹介ページ - まんがタイムきららWeb」 http://www.dokidokivisual.com/comics/book/past.php?cid=132

*10:こちらを参照 「シンガンクリムゾンズ | TVアニメ「SHOW BY ROCK!!」」http://showbyrock-anime.com/character/shingancrimsonz/

*11:こちらを参照「CHARACTER|音楽原作キャラクターラッププロジェクト『ヒプノシスマイク』オフィシャルサイト」https://hypnosismic.com/character/nagoya/14th_moon/

*12:こちらを参照「『SKET DANCE』出演&劇中歌のGACKTインタビュー | アニメイトタイムズ」https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1308937924

2次元とヴィジュアル系 前編ー2次元のヴィジュアル系バンドは「リアル」か?

元ばんぎゃる的に、オタク的に、結構ずっと気になっていることがある。

アニメ、ゲーム、漫画などの――つまり、「2次元」の作品におけるヴィジュアル系バンドの存在についてである。

 

2次元の作品には「ヴィジュアル系バンド」とはっきり冠したバンドのキャラクターがそこそこの頻度で登場する。冠していなくても明らかにヴィジュアル系を意識しているバンドもそこそこ登場する。

一般的に「派手」なイメージが定着しており、元々長いこと2次元との親和性が高いと言われてきているヴィジュアル系なので、登場頻度が高いのもおかしなことではないだろう。

 

しかも、作品展開で楽曲がリリースされる際には、本家本元のヴィジュアル系バンドが楽曲を提供したり演奏を担当することも多くある。

私がこの話題を思い出したのも、先日の記事で触れた「ヒプノシスマイク」に登場する四十物十四(14th Moon)がヴィジュアル系バンドマンであるという設定であり、彼の楽曲を実際にヴィジュアル系シーンで活躍しているバンドであるLeetspeak monsterが提供していること *1 や、

つい昨日「ARGONAVIS from BanG Dream!」のゲームに登場するヴィジュアル系社会人バンド・Fantôme Irisの楽曲を長年ヴィジュアル系シーンを引っ張っているバンドであるシドが提供するというニュース*2を目にしたことがで切っ掛けである。

 

このように、正直ヴィジュアル系バンドブームは少し落ち着いてしまっているように思える現在も、2次元にはヴィジュアル系バンドがそこそこ登場する。

つまりこうした設定は、2次元において流行り廃りのある設定というよりかは、ある種普遍的なものになっているようにも思えるくらいである。

 

しかしながら、バンギャの目線でこうした現象を見ていると、些か気になる部分がある。

それは、2次元に登場するヴィジュアル系バンドたちは「リアル」であるのか?ということである。

 

実際にバンギャをやってきた私から見ると、「2次元のヴィジュアル系」にはたまに「うーん、なんだか勘違いしてない?」と思う部分もあるように思えるのである。これは、友達のバンギャと話しているときにも話題になったことがあるので、私という一個人だけが思っていることではないのだと思う。

 

ヴィジュアル系興味ないよ―という方々からすると、「ヴィジュアル系」と聞いて思い浮かべるものはもしかすると結構ワンパターンなのかもしれない。

しかし実際は、ヴィジュアル系と一口に言ってもバンドの雰囲気も音楽も様々である。その多様性というか、自由度の高さがヴィジュアル系の一つの魅力なのではないかとも思える。

2次元のヴィジュアル系は、それこそ上述のように「リアル」に活躍しているバンドが楽曲を提供することも多い。そのようにリアルと交わるような形で制作されているにも関わらず、妙なステレオタイプが作り上げられているというか、記号化が行われてしまっていることが多い気がしてしまうのである。

(アニメや漫画というのは、ある程度物事を大げさに書くものであるから、リアルの「ヴィジュアル系」の有名な部分や目立つ部分を抽出してパロディ的に扱っているという部分も大きいのかもしれない。)

 

この妙な記号的な設定の存在というのが、実際は結構多種多様であるリアルなヴィジュアル系に触れてきた人間にとっての「違和感」になっているのではないかと思うのだ。

 

まあでも逆に、そうした2次元のヴィジュアル系の設定が「ありそう」なものであることも勿論多々ある。

そこで私は、その「違和感」の正体とは何であるのか、そして2次元のヴィジュアル系がどこまで「リアル」であるのか――そもそも2次元のヴィジュアル系は「リアル」であるのか、ということについてごく簡単にだが考えていきたいと思う。

 

考えるにあたり、実際の作品やキャラクターを取り上げて検証していきたいと思うのだけれど、該当するようなキャラクターが登場する漫画やアニメ、ゲームは細かいものも含めれば数多くある。それを全てここで網羅するのは難しいだろう。

そのため中心とする対象を絞りたいと思うのだが、今回は「リアル」という観点に着目したいので、より現実に近いスタイルを持った作品やキャラクターを中心に取り上げたい。そこで、基本的には実際に楽曲が制作・発表されている作品やキャラクターを中心に考察し、補完的に漫画など視覚のみで登場するキャラクターを紹介したいと考えている。初めに挙げた2作品のように、実際に活動しているヴィジュアル系バンドが楽曲を提供している場合には、提供元と提供先の毛色の相違も比較できるだろう。

また、リアルのヴィジュアル系バンドは基本的に男性メンバーで構成されていることが殆どで、女性メンバーが所属する場合もあるにはあるが、圧倒的に数が少ない。そのため今回扱う2次元のヴィジュアル系においても基本的には男性メンバーで構成される設定のバンドを取り上げることとしたい。

 

そして前述の通りこうした2次元のヴィジュアル系は、そこそこ前からコンスタントに登場しているので、もしかすると年代によって変化している特徴というのもあるかもしれない。折角の機会なので、古い方から順番に比較も交えて検証していこうと思う。

 

最後に、この記事での「ヴィジュアル系」「V系」の意味合い、また「リアル」なヴィジュアル系というのは、ある程度は一般的な解釈に基づいて入るけれども、最終的には私が今までライブや雑誌やはたまた友人との会話など、経験上体感してきたものを元にしている。そもそも「ヴィジュアル系」という言葉自体指し示す対象がはっきりと固定されているわけではないと思うので、決まった意味に合わせて考えていくのは難しいかな、と思うためだ。そのため、人によっては「違うんじゃない?」と思う部分ももしかしたらあるかもしれないが、そこはご理解願えればと思う。(もし大きく認識違いをしている部分へのご指摘などありましたら、マシュマロかTwitter : post_siteimasuまでご連絡ください。)

本記事の記載において、取り上げる作品やキャラクター自体を批判・攻撃する意図は一切ないということも、申しおきたい。

 

前置きが長くなってしまい恐縮だが、ここから実際に考えていこうと思う。

***

(タイトル横の年数は作品またはキャラクターの初出年を記載。)

 

1.NOIR(卓球とハードロックと僕。)1996年

参考になりそうと思った作品の中で一番古いのはこれ。タイトルは「ハードロック」だけど、登場するバンドは完璧にヴィジュアル系で、漫画の紹介文でも「人気ヴィジュアル系バンドNOIR」となっている。人気ヴィジュアル系バンドNOIRのボーカルは実は高校3年生で、卓球部の部長を掛け持ちしているという設定で、彼やメンバー、後輩部員の日常が描かれる4コマ漫画。

メンバーのビジュアルは長髪をセットして、黒い服を着るといういかにも90年代ヴィジュアル系な雰囲気。描かれる日常もライブ風景やラジオ番組でのファンのメッセージなども結構リアルな雰囲気。その辺りを色々な所で見聞きした当時の状況と照らし合わせると、結構リアルだな、と思う。(90年代をリアルに生きてきた世代ではないのであくまで聞きかじりの知識だけど…。)そのリアルさにボーカルが高校生で卓球部員という要素が加えられることで上手くギャグに仕上がっていて面白い作品。

 

2.Λucifer(快感♡フレーズ)1997年

比較的古いものでヴィジュアル系バンドが登場する作品というと、やはりこちらが思いつく。よく内容がツッコミどころ満載なことについて触れられているが、今回はそれは置いておこう。ビジュアルは、黒髪短髪~長髪派手髪までいるし、恐らく革であろうジャケット、黒ハイネックのノースリーブやハーネスなど、一昔前のコテコテな感じにまとめられている。にしては化粧が薄めな感じがするなぁという印象はあるけど、90年代だとブームもあるし、ソフビも流行っていたし、大きなバンドは段々化粧が薄くなるのが常である。Λuciferは作中で東京ドームの公演を行っている描写があり、かなりの大人気バンドなので年代を考えると割とリアルなのかも?と思った。

Λuciferは楽曲提供ではなく、実際に同名のバンドが合わせてデビューという形だったから、見た目は結構寄せている部分もあってソフトな感じだし、曲も結構キャッチーだなという感じ。なんだけど、タイアップ曲の歌詞は、なかなかのクサさがあって、ソフビっぽいのにそんなに中二なことある!?という印象もある。まあそもそもこの物語の事の始まりが、主人公が落とした中二病全開な歌詞をボーカルの咲也が拾って使うことなので敢えてそういった仕様なんだろうけど、その部分だけ妙に作られている感が強くて(アニメっぽいというか)リアルではないかなと思った。(タイアップの作詞をしているのはメンバーではなく作詞家さんだし。)しかしまあ、劇中のキャラクターの素行の悪さはある意味リアルかもしれないが(?)

ちなみに現在、主人公と咲也の2人の息子が登場する続編のゲームがスマホアプリでリリースされていたり*3する。息が長い作品である。片方の息子もコテコテの衣装を着用しているが、何故ファーを肩に纏うのだ。(後述)

 

3.不破尚・VIE・GHOUL(スキップ・ビート!)2002年

こちらの作品は、主人公がずっと尽くしてきた歌手の男性に捨てられた復讐のために芸能界に入り、次第に演技の楽しさを知っていくというサクセスストーリー。その復讐相手というのが、不破尚である。

彼はバンドマンではないが、ヴィジュアル系ロックシンガーという肩書で自分で作詞作曲をして歌を歌っている設定であり、作中では主人公が共に出演するヴィジュアル系らしいPVを撮影するストーリーもある。このPVが90後半~00年代のコテ系や耽美系の「あるある」な感じで調べていて唸ってしまった。笑 アニメ版で実際に映像が制作されているのだけど、天使と悪魔が恋に落ち、最終的に天使が堕天してしまう設定、チェーンの付いたコテコテの衣装、楽園にいる綺麗な女性の出演、羽が飛び交う演出…と「うわ~わかる~」が盛りだくさんである。曲もオルガンの音に重ねたギター音、「残酷なほど美しい愛に」といった程よく退廃的な歌詞など、懐かしさを感じてしまう。声を担当しているのが宮野真守なのだけど、彼のビブラートを効かせたやや誇張気味の歌い方も一昔前のコテ系っぽくてハマっている。漫画の該当巻の発売が2004年頃なので、タイムリーにその時代のヴィジュアル系要素を取り入れていて、バンドではないけどリアルだなと思った。実際シーンでもソロの人も結構いるし。(個人的には少し前のDAIGOを彷彿とさせるものを感じたりした。)

ちなみにこの作品には他にも、尚のライバル的な位置づけでVIE・GHOULというヴィジュアル系バンドが登場するが、こちらもコテコテの黒衣装や銀髪などコテ系っぽさがある。ボーカル霊能力者だけど。(棺桶に薔薇を敷いて眠っているという設定も如何にも漫画的ではあるけど、耽美なイメージ作ってるバンドマンなら言いそうな気もする…。笑)

 

4.七瀬瞬/ヴィスコンティVitaminX)2007年

こちらは乙女ゲーム。攻略キャラクターの一人がバンドマンという設定である。作中では単にインディーズバンドとのみ言及されているが、瞬のキャラクター設定が「ヴィジュアルクール系」*4であり、キャラソンの紹介文も瞬のキャラに合わせて「ヴィジュアル系風の楽曲」*5に仕上がっていると記載されているため、今回は扱うことにした。

瞬はベーシスト兼バンドリーダーという設定である。彼以外のバンドメンバーは攻略対象ではないため、ストーリーにあまり関与しないようであるが、ビジュアルは登場しており、OADアニメ版の制作記念としてバンドの楽曲も制作されている。楽曲は疾走感があってカッコいいけど、爽やかで軽めな感じがそこそこコテコテな見た目と反していて何だか「うーん、ちょっと違う気がする」という気持ちにさせられる。歌を担当しているのがボーカルの祐次のCVとは別の歌手の方で、その歌声もかなり爽やかなのもあるかも。(ちなみに私は歌手の方の人のファンなのだけど、ヴィジュアル系がどうのを置いておくとライブパフォーマンスがかなりカッコいいのでとても好き。)歌詞もちょっとアニメっぽいクサさが強くてうーん…といったところ。この感覚って何なんだろう?歌詞中の英語の使い方とかだろうか。瞬のキャラソンもあるのだけど、歌詞の岩崎大介節が強すぎるのでヴィジュアル系がどうとかで判断ができない。岩Dは岩Dなので…。

あとどうしても気になるのが衣装である。瞬のステージ衣装は肩から襟に沿って大きなファーが付いている。彼は制服姿でもバンドマンらしい出で立ちをしているが、やはり肩からファーを乗せている。祐次なんてカッチリとしたジャケットの襟に合わせてファーが付いている。何故だ。何故そんなにもファーを担ぐのだ。まあお兄系が流行った時に私服でファーの付いたコートとか着ているメンバーはいたし(私が好きだったバンドマンは当時を思い返し「ダッセェファーのついたジャケット着てた」と述べていた)、制服の方は100歩譲ってアリかもしれない。(2007年頃って丁度お兄系が流行していた時期だし?)しかし、実際に衣装で大きなファーを担いでいるヴィジュアル系バンドマンはそんなにいない。全身モコモコとか羽を肩に乗せてる人はたまにいるけど。だからこのコテコテ衣装にでかいファーというビジュアル設定にはすごく違和感がある。

この「大きなファーを肩から担いでいる」というビジュアルは、他の2次元のヴィジュアル系でもそこそこ頻繁に見かけるものであり、2次元のヴィジュアル系において割と記号的に用いられている設定のように思える。しかし、上で述べた通り実際のヴィジュアル系ではそういう衣装をまとっている人はそんなにいない。ファーを担がせておけばそれっぽく見えるというステレオタイプが何故か出来てしまっているように思えるが、これはリアルではないように思う。こうした傾向って、もしかするとリアルの「ヴィジュアル系」と、その要素を取り入れたファッションである「お兄系」を混同して扱ってしまっていることに起点があるのでは?と思ったりした。ヴィジュアル系のファッションを取り入れたお兄系の要素をヴィジュアル系の要素そのものと思ってしまっているというか…。しかし、それとは逆にドラマーの衣装に袖がないのは高評価である。ドラマーは袖をなくしがちなのである。そこはリアルだ。

 

  1. Dampire(Diabolic Garden)2008年

ヴィジュアル系が出てくる作品知ってる人いる!?」と呼びかけたら友達のバンギャが教えてくれた漫画。悪魔封印師が主人公であり、依頼を受けて悪い悪魔を封印していくストーリーである。Dampireは作中に登場する悪魔と人間が組んでいるバンドである。筆者は本作を読んだことがないので、ビジュアルだけの判断になってしまうが、首輪の付いたコテコテの衣装やアイブロウのピアス、M字バングにメガネに口ピにゴシック調の衣装、そして何よりキュッと上がった短い眉毛がゼロ年代ヴィジュアル系あるあるといった感じでとてもリアルである。この作品の絵を見ていて、眉毛の雰囲気って結構重要だなと思った。本作自体がゴシック色の強い作品で、バンド以外のキャラクターもゴシック&ロリータやパンクファッションに身を包んでいるし、著者の方がV系やゴシックに詳しい方なのだろうなと思う。

 

6.ReVott(DEATH EDGE) 2012

こちらの作品もゴシック色の強い作品。人間に侵食して憎悪を増幅させようとする天使を退治する異形と人間に取り憑いた天使が「視える」ようになった少女のバトルストーリーである。作中で異形の一人である夢魔のキャルロットが趣味のゴシック・ブランドの服を買いに行く時に出会う男性がヴィジュアル系バンドのボーカルであり、キャルロットがめちゃくちゃ早番のチケットを渡され(仕方がなくだが)ライブを見に行くシーンも描かれている。(そして黒い服の女の子しかいないから魔女集会(サバト)と勘違いする。)

バンドは3人組で、メンバーに一人女性がいるが、殆ど出番がないため今回はこの作品も扱うこととした(まあ実は女性がいても炎上しない理由らしきものが描かれたりもしている)。ライブが始まると、ボーカルは半裸に首輪とロンググローブ、ギターの女性はへそ出しでロンググローブ、ベースの男性はノースリーブの黒Tに首にストールを巻いている。すぐに脱ぐバンドマンはいるが、初めから半裸で出てくるバンドマンはあまりいないぞ!?ストールの男性は割とカジュアルな出で立ちなのでボーカルのコテコテ感とのちぐはぐ感もあり、ファンタジーだな…と感じてしまう。スカーフに関しては突然オサレ系が混ざってしまったのか、やはり4.同様お兄系が混同されてしまっているのかという感じである。

しかし、バンドはファンタジーな雰囲気だが、一部のお行儀のよくないバンギャの描写は結構リアル。最前の割り込みや自分を勝手にメンバーの特別な存在だと思い込んでいるファンの描写など…(そこに天使が漬け込んでくるのだけど)妙にリアルで、連載当時読んでいて「わぁ妙にリアル~…」と思った記憶がある。ちなみにバンドメンバー以外の服装もゴシック調で可愛い。

 

7.シンガンクリムゾンズ(SHOW BY ROCK)2012

こちらは、当時「サンリオ、どうした!?」と話題になったバンドもののキャラクタープロジェクトである。(サンリオはサンリオタイムネットの頃から突然こういうことをする。)本作の登場人物はミューモンという獣人のキャラクターであり、人の姿に変身した時も獣耳が付いている。沢山のバンドが登場する中のひとつが、シンガンクリムゾンズである。

公式で「痛い中二病全開の、V系ロックバンド」*6と言われている通り、チェーンやスタッズ、十字架がふんだんにあしらわれたゴテゴテの衣装をまとい、「オレ達は深紅色の心眼でこの澱んだ世界を見続けル・・・。」というキャッチコピー通りの中二病全開な歌詞がついた曲を演奏している。薔薇を咥えていたりもして、メンバーのアイオーンには耽美系っぽさもある。楽曲は複数の作詞作曲者が提供しているので曲によってやや雰囲気が違うが、コテコテの見た目とは裏腹に爽やかすぎるかな?というものもある。4.のヴィスコンティ同様、ややアニメライズされてしまっている感がある。しかし、重めのドラムや重なるギターが響く曲もあり、「あ~っぽいな~」と思わされる曲もあるのでそこそこリアルかもと思う。元DELUHIのLedaが提供している曲もあり、こちらはリズム感やサビで突然入るファルセットなどコテ系っぽさに忠実であり、やはりシーンがわかっている本家のバンドマンが作った曲という感じである。

歌詞は全体的に漆黒や深紅や囚われの鎖や月といったワードが頻繁に用いられている。昨今のヴィジュアル系だとコテ系や耽美系でもここまで直接的に黒っぽいワードを盛り込みまくっている所も少なくなってくるし、やや誇張気味なのが気になってしまうが、シンガンクリムゾンズは設定自体が「中二病全開」ということで敢えて誇張されているのだと思うしこれで良いのだろう。ただ、このあたりの年代の作品になってくるとやっぱり作り手が「ヴィジュアル系ってこうでしょ?」というイメージで取り入れてくるものが所謂「コテ系」や「耽美系」っぽいものばかりなのが気になってくる部分がある。ヴィジュアル系=コテ系っぽいもの+耽美要素という記号化が行われてしまっている気がする。

そして、やはり気になるのは衣装である。だからなんでそんなに大きなファーを肩に担ぐんだ!?クロウの衣装、シャツの裾がボロってなってる所なんてそれっぽいのに肩がモコモコしているのだけ気になる。ロムもなんでトップス上から下までモッコモコなの!?やはりファーを付ければヴィジュアル系っぽいという謎のステレオタイプが作られてしまっているらしい。ファーってゴージャスだし、画面映えするのもあるだろう。クロウたちはコテっぽいのに、アイオーンはゴシック耽美系でそこが混ざってしまっているのもやや違和感がある。

あともう一つ「これはリアル!」だと思ったのは、ボーカルのクロウが他メンバーと比べて圧倒的に背が低いところだ。勿論全員がそうではないのだが、ヴィジュアル系バンドって何故かボーカルの身長がやや低めな所が多い*7。あと眉毛の角度もリアル。

 

長くなってしまったので、これ以降は次の記事で後編として書きたいと思う。

2次元のヴィジュアル系は、元のヴィジュアル系シーンの流行をタイムリーに取り入れているわけではなく、後から「ぽさ」を抽出しているのだと思うからゼロ年代くらいまでは黒っぽいキャラクターばかりなのも頷けるのだけど、このくらいの年代ならオサレ系やキラキラ系も現れて少し経つし考慮して欲しさはある。でも、誇張と記号的表現が主である2次元作品にそれを求めるのは難しいのだろうか…という気もする。でもそういうイメージだけを追いかけていってしまえば、あまりにもリアルからは乖離してしまい、ある種の古臭さだけが残ってしまうのではないかという危惧もあり。私はやっぱり折角だから2次元ヴィジュアル系にもカッコよくいてほしいのだ。その辺りが気になってきてしまうのが、後編で紹介する2010年代の後半にかけての作品である。

また近いうちに更新します。

行ったことのある劇場の感想リストーた~わ行編


appleringo.hatenablog.com

前回のこちらの記事の続きです。

前回さ行まで書いたので、た行から終わりまで。

 

◆た行

帝国劇場

由緒正しき歴史あるザ・大劇場。ロビーからすごく雰囲気があるし、キャストの大きな吊るし看板とか柱のポスターとかがあって、この演目観に来たぞ!感が強いのもワクワクする。

天井のライトも数が多くてキラキラ。

1階は入ったことなくて、S席扱いの2階席に入ったことがあるんだけど、若干サイドよりだったけど特に見づらいとかはなかった気がする。私が行った時はステージに盆があったんだけど、それが平行ではなくて半分がちょっと上に上がってて斜めになってて、盆が回りながらステージの後ろから登場人物が現れる…みたいに見えるのが面白かった。また行きたいな、帝劇。

 

天王洲 銀河劇場

丸い。丸い劇場。駅近でアクセスは良いけど、近辺に意外と飲食店があまりない(というか時間的にやってない事が多い)のがやや難点かも。

前方4列はフラットだから若干前の人と被りそうだなと思った。(入ったこと無いので分からん)中方~後方は傾斜があるから、見やすい。劇場自体が縦に長くないので、後ろの方で観てもステージが結構近く感じたかも。あとなんか色味のせいなのか開演前の客席はやたら明るく感じるイメージがある。ロビーはそこそこ広いしホテルみたいに綺麗。

2階席は3列しかないからそれほどステージが遠くないし、前の人が邪魔で見えないこともなく、舞台全体を見渡せるから結構良い。3階は入ったこと無いので分からん。余談というか会場関係ない話だけど、原作が大好きな作品をここに観に行った時、人気キャストのファンの子にフライヤー頂けませんか!?って話しかけられてとてもびっくりした。初めて言われた。特にその子が目当てだった訳じゃないのでいくらでもあげるよ…ってなった。

そういえば、代アニに身売り(ちがう)して一時期変な名前だったけどいつの間にか戻ってたね…良かった…。

 

東急シアターオーブ

ヒカリエが出来て間もない頃に1度だけ行った。前はフラットだからやや見づらそうだけど、座席が互い違いになってるからそこまでじゃないのかな。15列目前後のサイドブロックに座ったけど、見えないところは特になかった。普通にグランドミュージカルだったんだけど初っ端席の後ろからキャストが歩いてきて、客席演出あるんだ…って何か驚いた(?)

ロビーから渋谷の夜景が見えるのが雰囲気があっていいなと思った。飲んだオレンジジュースがちゃんと果肉入りのやつで凄く美味しかったという思い出がある。笑

私自身は特に困った部分はなかったんだけど、動線が悪いっていう意見は見かけたことあるなあ。まあビルの上なので新宿FACE同様降りるのが大変というのはあるかな。

 

東京キネマ倶楽部

ここも劇場よりもライブハウスとして行ったイメージの方が強いんだけど、舞台作品でも行ったことがあるので触れておこうかなと思う。(スタンディングだったけど。) オーブで降りるのが大変みたいな話をしたばかりだけど、ここもビルの上にあるのにエレベーターが小さいもんで登るのも下りるのも超大変。笑

でも、元々キャバレーだった所を改装してるから、ノスタルジックな雰囲気がお洒落な会場。メインステージから階段で登れるサブステージがあって、ゴールドのドレープのたくさんある幕が降りてるから、そこからキャストが登場したりするととてもゴージャスな雰囲気がある。余談だけど、ライブで見に行った時はメンバーがそこでキーボード弾いてて凄く絵になっていた。あと、ビルの上だからジャンプするとめっちゃ揺れる。

 

 

東京グローブ座

ジャニーズがよく公演をしてるイメージの劇場だけど、観に行ったのはジャニーズではなかった。2階のバルコニーに入ったけど、小さいし劇場だし半円形でぐるっと座席があるのでどこからもステージは遠くないしよく見える。え…てかジャニーズが公演するには小さすぎない…?(今改めて思った)

 

東京建物ブリリアホール

お前…一体どうしちゃったんだよ…何があったんだよ…大賞の会場。豊島公会堂の跡地に去年出来た劇場。本当に去年出来た新しい劇場なのか疑ってしまうくらい、一部の座席に人権がない。招待で行ったので3階の後方から観劇したんだけど、まず目の前に太い手すりがあって、ステージの中央が見えない。しかも、ステージがオーケストラピットの前にもせり出てる形だったので、そちらにキャストが歩いていってしまうと前の席で見えなくなる。設計者、一体何を思って作ったんだ…?3階の前の方の人もかなりみんな頭を動かして見てたけど、致し方ないと思う…だって見えないんだもん。

話によると、サイドブロックは前の人の頭でステージが見えないらしく、1列おきに販売するみたいな対応をしている所もあるらしい。帰り道も細いエスカレーターと階段しかないから、なかなか外に出れない。オーブよりずっと動線が悪いと思う。本当にブリリアホールあげるからACTシアターは置いていってほしい(?)

 

TOKYO DOME CITY HALL

2.5がよく公演している劇場だけど、あまり大きい演目にご縁がなかったから去年初めて行った。殆どアリーナで、偶数列も何回かあったから少し心配してたけど、思っていたよりも全然良く見えた。ドセンかサイドブロックだったからだと思う。サイド寄りのセンブロ偶数列とかだとセンターの良いシーンとかが被って見えん…と聞いた。個人的には7列目の通路席がステージと同じ目線だし通路演出もよく見えるし、一番当たりな席だったかも。他の演目でも逆サイドの同じ席に入ったけど見やすかった。

最前のサイドシートも座ったんだけど、他の劇場と違って思い切りステージの横にはみ出した部分がサイドシートになってる上にステージが高いから、逆サイドを見続けると首が死ぬ。確かに近いから殺陣とかは迫力があってよく見えるけれど、首は死ぬ。

1バル2バルは入る機会がなくてちょっと残念だったんだけど、3バルは座った。本当に上から眺めるって感じだから、殺陣とかがある舞台だとステージの前後どのあたりの位置で動いているかとか、段差のセットの上にいる状態をじっくり見られるので楽しい。

周りにはフードコートもあるしファミレスもあるし、時間はつぶしやすい。ただドームでなんかあったりすると激混みなので放浪する他なくなったりもする。

 

◆な行

中野ザ・ポケット

中野駅の近くの劇場が何個か立ち並ぶ中の1つ。入り口がコロンとしててなんかかわいい。ロビーもタイルでかわいい。私が行った時は整理番号順入場だったので、入り口に向かって右側に建物に沿って並んで入った。前はフラットだから若干前の人と被るけど、その後ろからは段差がしっかりあるので見やすい。段の上くらいに入って観劇した記憶がある。横幅が狭いので、上下はどのあたりに入ってもよく見えると思う。

会場の広さの割にステージに奥行きがあって、私が観た演目ではそれを生かして奥にもう1段高めのセットを作って前後で話を展開していて面白かった。機会があればまた訪れたい会場の1つ。

 

日本青年館ホール

実は改装後に初めて行った。1階は前でも後ろでもどこでもよく見える。後ろもそんなに遠いなあという感じはしない。(勿論表情ははっきり見えない遠さではあるけど。) 最前の端の方は、前に高いセットがあると若干見切れる部分もあるかなと思った。(あの席なんでサイドシートじゃなかったんだ) 今気づいたけど、2階席も昔は謎のバーがあって超見づらかったらしいけど、最近はそれがなくなったから普通に見える。近くはないけど見えない部分は特にないから全体を眺めるには良いのかもしれない。

しかし、横にホテルがあるから空き時間とか終演後に待ち合わせしてたりすると散らされて交換の約束がちょっとしづらい。ロビーを交換スペースとして開放してることもあるけど、収容人数に比べればロビーは狭めなので身動きが取れなくなることも度々。あと神宮球場のイベントと同日開催だと近隣の数少ない飲食店はぎゅうぎゅうになるのでちょっと困る。あと駅からちょっと歩く。好きだけどなんかちょっとが惜しい会場である。

 

◆は行

俳優座劇場

歴史のある小劇場。駅の出口直結なので迷わない。ロビーがそこそこ広いので物販もあまりぎゅうぎゅうにはならないし、赤絨毯がなんだかレトロだなと思う。でも裏にHUBがあるという謎のギャップがちょっと面白い。あと、客席に向かう階段に謎の壁画があるのが気になると友達との間で話題だった。(ギリシア喜劇の人物像らしい…そっか…。)

客席は、中通路の前まではフラットだから、2~5列目はちょっと見えないな…という時がある。朗読劇で来た時は、終始動きがないもんだから、前の方の頭に被った一人の役者さんは終わるまでほぼ姿が見えなかった。(申し訳ないけど推しがそこの席じゃなくてよかったと思っちゃった。) ただステージは高めなので、動きのある普通の舞台ならサンモールのような悲劇は起きない。そこそこ見える。後方は段差があるので見やすい。

余談だけど、ここから少し歩いたところにある昔ながらの雰囲気の洋食屋さんがリーズナブルなのに超美味しい。メニューも沢山あるから、飽きない。俳優座に行くときは大体そこで食べて帰る。

 

ヒューリックホール東京

流石は元・映画館、座席が最高の椅子。全ての劇場がヒューリックホールの椅子になったら良いのに…と思ってしまう。900席で2階席なしなので、後方はステージからはかなり遠い。双眼鏡必須だと思った。でも元映画館なので前方からしっかり段差があって、前でも快適に観劇できる。なんて良い劇場なんだ…。

音響設備に自信があるらしく、確かに横に大きくてすごく良いスピーカーがある。ここで生演奏ありのバンドものの作品を観たこともあるけど、確かに音割れとかもなく耳が痛くもならず、いい感じだった。ステージに奥行きがあるので、段差が付けられているセットが多いかな。広くて見やすいから動きのある作品も映える劇場だと思う。

有楽町マリオンの上にあるから、溜まると邪魔になってしまう。けどなんせ11階なのですぐに外に出られないし微妙な隙間時間はどこにいるべきか難しい。あと、会場前に物販列を作るんだけど、11階に時間ぴったりに到着するなんて無理に決まってるのに数分早く着いても突然エスカレーター登ってきた人から列を作ったりちょっと不可解な対応をすることが多くて劇場は好きだけどなんだかな~という部分もある。

余談だけど、結構浅草橋ヒューリックホールと間違えて来る人が多いらしい。そっちも行ったことあるけど、あそこはただの広めの多目的スペース。

 

福岡サンパレス

天神駅博多駅からバスで10分と駅からのアクセスはちょっと微妙な大ホール。白っぽいホールの建物に、灯台みたいなホテルの建物がくっついていて、マリンな雰囲気がある。遠くからも分かるくらい大きく福岡サンパレスと書かれているので、おお、来たなぁって気持ちになる。

客席は、所謂「大ホール」といった感じ。1階の中方くらいで数回観劇したんだけど、よく見えた。でもなんせ大きいから表情はぎりぎり見えるかなぁくらいだった。後ろの方だと絶対双眼鏡あったほうが良い。2階3階は入ったことないのだけど、友だちに聞いたら1階の席のそのまた後ろに2、3階がくっついている感じだからめちゃめちゃ遠いとのこと。2階のバルコニーは1列1席ずつしかないし、1階の中方の上くらいになるのでそんなに遠くないし、快適ビューだとのこと。

ホール自体は良いんだけど、周りにホテルの飲食店とコンビニ以外ほぼ何もないのでご飯とか暇な時間はちょっと時間を持て余す。ホテルのカフェも公演がある時はお客さんが多すぎてケーキが売り切れてドリンクしか飲めないみたいなこともあって、お腹空いちゃうね。余談だけど、行った時近くのホテルに宿泊したんだけど、今書いた通り周りに何もなくて、天神の駅の方まで歩くも時間が遅いから数少ない店も殆ど営業してなくて、ちらっと見てたらまだやってますよー!と店員さんが声をかけてくれた中華でご飯食べた。本格中華で麺が美味しかった。あの店員さんが声かけてくれなかったらコンビニ飯だったかもしれない。それはちょっと寂しい。

 

◆ま行

舞浜アンフィシアター

ディズニーリゾートに突然現れる全面ガラス張りのホール。ロビーが広いのでスタンド花置きたい放題。パネルなんかも飾られていることが多い。ライブイベントでもよく使われている箱で、会場外のスペースが広いので、開演前はグッズの交換で賑わっている。でも、ずっと留まっていると潮風で髪がパリパリになる。最近、その賑わいに対してランド側のお客さんから景観が壊れるとかなんとかで苦情が入ってるという噂が回っていたけれど、そう言われても、こちらは開催された所に来ているだけなのでどうしようもない…という気持ちになる。

劇場内は、半円形のステージを客席がぐるっと囲むような形なので180度様々なところからステージを見ることが出来る。前・中・後方ブロックに別れていて、それぞれ横に5つのブロックに分かれている。Cブロックが前方のセンブロなので、一番正位置から観られるのはCブロックだけど、Aブロック前方に座った時は、ステージ後方を向いているキャストの顔を覗くことが出来て、普通の会場だったら隠れてしまうような部分まで見えるのが魅力だったりする。前方からきちんと段差があるので見やすいけど、中通路が広いのでその分後方は高さがあってステージはすごく遠くなってしまう。まあでも全体は眺めやすいし、通路が広い分通路演出があると映える劇場だと思う。

あと、中央にせり上がる盆があるので、この会場でやる演目はステージ下から登場する演出が頻繁に用いられる。しかもこの盆、外側と内側で反対に回ったりもするので、ダイナミック。ある作品でベッドが下から出てきたり、キャストがそのベッドに寝そべったまま盆が降りてったりしたのは、良いシーンなのになんかちょっと面白かった。あと中通路にはトロッコが通ることがある。こんなところでトロッコ使えるんだ……と思った。

 

三鷹市芸術文化センター 星のホール

最寄りの三鷹駅からはちょっと距離のある、小さなホール。他の施設も併設なので、建物の入口をくぐるとすごく広い廊下(ロビー?) があってちょっと驚く。私が行った時は自由席だったから3列目だったか4列目だったかのセンターに座ったんだけど、2列目以降1列ずつ高い段差がついているので、快適ビューだった。その分、後方の席は高さがあってステージを見下ろすような感じになると思う。ステージの高さは低くもなく高くもなくといった感じで、最前でも首が苦しいとかはなさそうだった。

私が行った時は、ステージ奥の壁に文字が映し出されるライトパネルのようなものがあって、斬新な演出だなあと思ったんだけど、あれはあの会場の設備ではなくてその時用のセットだったのかな、多分。

 

三越劇場

日本橋三越本店にある、戦時中も焼けずに残っていたという歴史ある劇場。劇場に入ると、壁には教会の窓のような金の装飾や彫刻があったり、天井にステンドグラスがあったりと全体的にヨーロッパの建築のような豪勢な雰囲気がある。ただ、前から後ろまで傾斜が殆どないし、座席も互い違いになってないので、後ろの方はステージで座られたりしちゃうとかなり見えない。前方も端の方から前の人の頭の間を縫ってセンターを見るほうが見えるのでは?という感じである。

朗読劇でここの劇場に来た時は、中前方くらいで観劇したんだけど、ステージに4人キャストが座る形式で、始まる前から一人が完全に見えないことが分かってしまって、「推しあそこに座ったら終わりやわ」とドキドキした。幸い別の席だったんだけど、そこに座ってたキャストさんは最後に挨拶する時までどんな人なのかわからず、ひとりオーディオドラマだった。普通のストレートの時は動きがあったのでまだ見えたけど。

サンモールにせよ俳優座劇場にせよ、古い中くらいの劇場って大体みんなこんな感じなので、雰囲気は好きだけど観劇するってなるとなんとも言えない。複雑。

 

森ノ宮ピロティホール

いかにもホールです!っていう外観の大阪城の前にある劇場。2階席がなくて、縦にも横にもひろーい劇場。3列目まではフラットだけど、それ以降は少しずつ段差がある上に、ステージに向かって客席が緩やかに曲線になっているので、前でも後ろでも端でも見やすい。ただステージが広い分、最前の端は結構「端だな…」という気持ちになる。ステージは気持ち高めなので結構見上げる感じになるので、セットが高いとちょっと疲れる。逆に後ろからは上から下までステージ全体がキレイに見える。ただしステージは遠いので双眼鏡必須だと思った。観に行ったのが大体客降りのある演目なので、2階席がないというのは強い。どこに入ろうと必ず客席演出が見られるので。

余談だけど、ここで観劇をするときって大抵大千秋楽公演だから、客席の写真とか見てるとなんかちょっとしんみりする。あと隣にキューズモールというショッピングモールがあって、時間はつぶしやすい。ただ公演時は混んでるので、時間があれば駅の近くのラーメン屋まで行っちゃう。よく地下ドルちゃんとかメン地下がミニライブをやっている気がする。サンシャイン噴水広場みたいな感じで。

 

六行会ホール

新馬場という驚くほど馴染みのない駅にあるホール。ここに行く時に初めて京急に乗ったんじゃないかというレベルで京急自体にご縁がない。小さなホールだけど、座席は2列目以降全部段差があるので、とても良心的。ステージに奥行きがあるから、後方に段差を作るセットが多いのかな。私が行った時は、奥に細かく何個か段差が作られてて、キャストさんが行ったり来たりするので広がりが感じられてよかった。2列目に座ったことがあるけど、前方でもステージも高すぎず低すぎず、疲れずに見られる。

この規模の劇場にしてはロビーもすごく広くて、快適だった。お見送りハイタッチ会のある公演だったけど、ずらっとキャストが並んでも狭く感じないくらいだった。めちゃくちゃ余談だけど、観に行った公演に出ていた某ミュキャスの方がこの時はまだ可愛らしい感じだったのに、最近フライヤーで見かけたら超ムッキムキになっててめちゃくちゃビビった。5年の間に何があったんだろう…。(全く劇場関係ない話でごめんなさい)

 

◆わ行

ワーサルシアター

こちらも八幡山とどちらかというとあまり行かない駅にある小劇場。駅前なのでアクセスは良い。劇場内に入る時、地下に続く階段を降りていくので、ライブハウスっぽい雰囲気がある。固定座席・固定ステージがあるわけではないので、本当に演目によって座席の感じは違うと思う。私が行った演目はステージが低めで、客席に1列ずつ大きく段差が付けられていて、ちょっと上の方から見下ろすような形だった。会話劇メインで大きな動きもなかったのでちょっと上からじっくり見られてよかった。

 

こんな感じかな?忘れてる劇場があったら追記するかも。こう色んな劇場を書き出してみると劇場ごとに本当に色んな個性があって、私たちは決められた場所に向かうだけだけども、制作側の方々は作品の雰囲気や動き方に合わせてベストを尽くすべく熱を持って劇場を吟味しているんだろうなぁ…と考えたりした。

こんなご時世なのでなかなかイベントごとが開催できないことが殆どだけれど、落ち着いたらまた元気に観劇に行きたいな。

 

いやしかし、とりあえず全ての劇場は椅子をヒューリックホール東京の椅子にしよう。

 

2022年に書いた改訂版↓

appleringo.hatenablog.com

行ったことのある劇場の感想リストーあ~さ行編

なかなか刀ステの感想の続きの筆が進まないので、

ちょっと息抜きに別のことを書こうかなと思う。

 

というわけで今回は、

少し前に行ったことある劇場ビンゴが流行ったり、丁度最近チケットの整理をしていて色んな劇場に行ったなーと思っていたりしたところだったので、行った劇場の感想リストみたいなのを書いてみようかと思う。行ったけどあまり良く覚えてない所も何箇所かあるので全部とはいかないけれど、覚えてる分を書き出していくことにする。

 

以前にも印象に残っている劇場の感想の記事をあげてるけど、劇場というよりそこに訪れた思い出綴った感じになっちゃってるので、今回は劇場自体の話メインで書くつもり。

 

あくまでも自分が行った時に感じたことや起こったことを書いていくので、同じ劇場に訪れたとしてもすべての人が同じように見える/感じるかはわからないということだけご了承いただければと思う。

五十音順です。

 

◆あ行

青山劇場

なんと、一発目からもうない劇場。そんなことある?笑

1階の後ろの方で観劇したけど、傾斜があるので結構よく見えた記憶。

ステージが広くて結構大掛かりなセットを動かせるようで、私が行った演目はステージセットがくるくる変わったり、ピューロランドのキティちゃんみたいに上からブランコみたいなのが降りてきたりして結構びっくりした。笑

 

赤坂ACTシアター

お隣の箱には昔よくお世話になったけど、実はこちらには去年初めて行った。

同じ演目をその前に観たのがTDCだったのもあって、音響が全然違って音の響きがとても良かったので、うわ~ちゃんとした劇場だ~!って気持ちになったりした。

あまり後ろは入ってないから分かんないけど、きちんと列ごとに段差があるから前でも中方でも前の人と被ることなく観られてノーストレス。2階も特に問題なく見える。

最前のサイドシートに座ったときも(セットのせいもあるかもしれないけど)、見切れとは?というスッキリ視界だった。ステージの幅分しか席が無いからかな。ただし太鼓音のズンドコ具合は結構すごかった。

と、書いてきた通りすごく好きな劇場なのだけど、今度ハリポタ専用劇場になるとのことでもうここで他の演目を観られないのがとても残念。ブリリアホールあげるからACTシアターは置いてって…。(これに関しては後述)

 

EX THEATER ROPPONGI

こちらも元々どちらかというとライブハウスとしての印象が強かったけど、最近は劇場としても結構行ってた。前方はフラットだからステージ上で寝そべられたりしちゃうとちょっと見えなかった。そういう意味では、個人的には前通路の席が見やすかったかな。(でも割と関係者席になっていることも多そう。) (余談だけど、客降りで推しが突然曲がってきたので何故!?となってよく覚えているというのもあるかもしれない。)

2階もまあ見えるんだけど、結構遠いなぁという気持ちになる。し、映像演出があると上の方が切れてちょっと見えないときとかがあってあまり見やすいとは言えないかな。

しかし初めて舞台で行ったとき、「B2F」「B3F」という表記だったので「どこやねん」ってなった記憶があったんだけど(ライブはアリーナ表記だから)、最近行ったときは「1階」「2階」表記になっててわかりやすい~ってなった。(でも最近もB○F表記のものがあると聞いて、結局演目によるということなのかな…。)

 

池袋シアターグリーン

私が行ったのは「BIG TREE THEATER」かな。座席1列1列にすごく大きく段差があって、前方でも結構上から眺める感じだったので見やすかったのを覚えてる。でもその分後ろの方だとステージがちょっと遠めかもしれない。(まあそもそも劇場が小さいのだけど) あと、横幅が凄く狭いので端の方でも問題なく見える。

シアターグリーンは3つの劇場が同じ建物に入っているので、初めて行くと一瞬(入り口どれだろう…)ってなる。

 

◆か行

京都劇場

「なんか駅の近く」という情報だけ持って向かったら、駅にあった。そんな劇場。

あまりにもアクセス最強。時間つぶしもらくらく。少し足を伸ばせば観光もできる。最高。(朝早い到着だったので観劇前に友達と一緒に修学旅行ぶりに清水寺に行った。バス乗ったらすぐ行ける。)

1階の丁度真ん中くらいの通路席に座ったんだけど、ステージと目線が同じくらいなので見切れもなく快適だった。前方はフラットだったから隠れちゃう部分はあると思うけど、ステージが近めなので臨場感はある。今ちょっと調べて知ったけど、劇団四季の持ち物なんだね…今まで知らなかった…。

 

紀伊国屋ホール

近い方の紀伊国屋紀伊國屋書店の中に突然あるのでちょっと驚く。(けどちゃんと演劇書のフロアの横にあるのはなんとなく嬉しい。) 座席の傾斜がゆるいので、結構前の人と被ってしまってあまり見やすくはないかな。余談だけど、ここで観た作品が、いまだかつて無いほど時計を気にしてしまうハイパー無の作品だったので、記憶から抹消されている。(話の流れをほとんど思い出せない。)

 

紀伊国屋サザンシアター

遠い方の紀伊国屋。駅近であることは間違いないのだが、思ったよりは遠くてギリギリに向かうといつも「サザンシアターが来い」という気持ちになる。客席数の割にロビーがそこそこ狭いので、物販を買うのが大変。交換の待ち合わせがしづらい。

ステージは近いけど、こちらも前方がフラットだから寝転んだりされちゃうと見づらいかな。後ろの方はしっかり段差があって見やすいし、後ろの方だったら端の方でも問題なく見える。あとなんか始まる前の照明が独特のオレンジの色味で温かみがある(?)

 

クラブex

座席付きの箱じゃないので演目によってかなりステージの作りが違うけど、私が行った時はどれも前方ステージに客席のオーソドックスな舞台のスタイルだった。

んだけど、ステージの中央だけ客席にせり出して階段になってて、下を登場人物が歩く演出が多かったから、2列目の端に座ったら中央何も見えなくて(しかも初日)「今何が起きてるの?」って感じで中々ひどかった(舞台は面白かったのに)。最前のサイド寄りの時も、前がよく推しが来るセットだったから良かったものの、横を向いてもやはり中央は見えず。一番見やすかったのは5列目真ん中の通路席だったというなんとも言えないセットだった。そもそも椅子並べるだけのフラット座席だから見づらかった。観た演目は是非もう一度観たいくらいの作品だったけど、再演するなら他のところでやってほしいな。

自分が行ったあと、5~6列目でステージがほぼ何も見えなかったという感想がツイッターで回ってきて、やはりそもそも見やすい箱じゃないんだなあと思った。(にしても見えない席を売るな。)

 

神戸ワールド記念ホール

劇場というのか?どちらかというとコンサート用のホールかも。行ったのも舞台作品のライブイベントだったし。(同じ作品で某体育館にも行ったのだけど、それは流石に外した。だって体育館だし。)

まあ至って普通のホール。なのでアリーナはやや埋もれるし、見るだけならスタンドがとても見やすい。でもいわゆるサブステージが出ることも多いと思うので、アリーナですごく前ではなかったとしても近くで見られることもあると思う。私が行った時はサブステージが近かったから、結構よく見えた。

 

◆さ行

サンケイホールブリーゼ

1階前方と2階しか入ったことがなくて、見え方がどんな感じなのかややコメントしづらいけど、座席の傾斜がそこそこ急な感じだったので後ろからも見やすいんじゃないかな。最前のセンター座った時は、結構ステージが高いなあと感じて、奥の方はやや見づらかったかも。でも客席とステージがめちゃくちゃ近いので、殺陣の多い舞台を観たときは臨場感がめちゃくちゃあった。

2階は1列1列の段差がすごく高いので後ろの方はむちゃくちゃ高いし遠いから、本当にステージは上の方から見下ろす感じだった。全体をはっきり見たい時には良いかもしれない。

ちなみに私はなぜか何度か行ったのにいつも地下で道に迷って中々たどり着けなかった。単純に梅田の地下がダンジョンだっただけか…。

 

サンシャイン劇場

サンシャインシティの奥の奥にあるので、油断しながら向かうとめちゃくちゃ遠く感じる。でも、ロビーもそこそこあって、会場の外も留まっててもあまり何も言われないので待ち合わせとかはしやすいし、サンシャインシティなので時間つぶしもしやすい。まあ、土日はどこも混んでて結局うろうろして終わることも良くあるけど。

ステージは高めだけど、ブリーゼよりは客席から距離があるし、セットに高さがあっても奥まで結構見やすかった記憶。最前はドセンでもサイドブロックでも結構見やすい。中通路の後ろからは傾斜が強めなので、ステージ全体見やすいのはその辺りかな。2階は座ったことないな多分…。

あと、ここって3列目が最前になってることが結構多くて、最初普通に3列目座っちゃって、今日3列目最前ですよーって本来のそこの席のチケット持ってる方が教えてくれてちょっと恥ずかしかったという思い出。あと、サンシャイン劇場に向かう日はついキャスト館に寄り道しがち。これからお金を使うというのに……。余談だけど、前も書いたように私にとっては推しに出会った劇場なので非常に思い出深い。

 

シアタークリエ

 入り口入った所のブロックタイルみたいな柄の壁が印象的な会場。

1回しか行ったことないからコメントしづらいけど、中通路前のサイドブロックに座った感じだと特に遮るものもなくよく見えた。 結構端っこだったから心配してたんけど横からで見づらいって感じもなく、楽しめたかな。

 

シアターサンモール

歴史もあって、降りていく階段やロビーなんかも雰囲気があるけど、設備どうにかしてくれ大賞優勝な感じの劇場。まずなんと言っても、8列目までフラットな座席。1列ずつ座席が互い違いにもなっていない上にステージに高さがないので、屈まれてしまうとキャストの姿は認識できなくなってしまう。よく見えるのはせいぜい3列目まで。無人権にもほどがあるぜ。ステージが低いゆえに最前はすごく近いし臨場感があってよく見える。余談だけど、私が最前に入った時、キャストがムチを振るうシーンがあったんだけど、キャストがやや前気味で振るってしまったらしく鼻先をヒュンッとかすめていって結構怖かった。そのくらい近い。あと初日とかに前方に入ると結構後ろの段取りの指示の声が聞こえてくるのでちょっとおもしろい。笑

少し話がずれたけど、設備どうにかしてくれ大賞受賞要因の2つ目は座席。とにかく尻に来る。毎日座っていると確実にどこかでお尻を痛めてしまう。なのに1列連結シートなので、動くと振動が横の人に伝わってしまうからなかなか動けない。悪魔の席である。全席ヒューリックホールの椅子にしてほしい。要因3つ目は、ロビーから電波が失われがちなこと。私はUQにしてから何故か繋がるようになったけど、大手3社はとても繋がりづらいので交換も待ち合わせもしづらくて困る。

推しがこの劇場にすごく思い入れがある人なのは分かっているのだけど、うーん…尻のために他のところでやってほしい…という気持ちにもなり、複雑である。

 

シアターGロッソ

ヒーローショーの聖地として有名な会場だけど、ヒーローを見に行ったことはない。子供もよく来る場所なので当たり前なのだけど、前方から1列1列しっかり段差があって頭が邪魔で見えないみたいなことはあまりない。ただ、その分後方席は高さがあって、ステージを見下ろすような感じになる。2段になってるステージの他に上の方に通路みたいな部分があって、私が行った演目ではここを山の上の表現で利用しているものがあってなかなかおもしろいなと思ったりした。後方だとここがいい感じに見える。

すごく余談だけど、初めてGロッソに行った時すごく「壁が赤いな…」と思ったのだけれど、その何年か後に初めてTDCに行ったらそちらもすごく壁が赤かったので東京ドームシティには赤のイメージが強くある…東京ドームは赤くなかった気がするが。

 

シアター1010

北千住という都内からは何とも言えないアクセスの所にある会場。駅前のマルイの上にあるから徒歩のアクセスは良いし時間も潰しやすいけど。

中は所謂「劇場」って感じで、綺麗でどこもそこそこ見やすいけどそこそこ広いので後方はちょっとステージが遠く感じるかな。前方は傾斜緩やかなので少し前と被るけど、そこそこ見える。前方の端の席はステージの自分サイドがやや見切れるけどそこまで気にはならない。ステージも近い。2階もやや遠いけどそこそこ見える。

余談だけど、下のフロアでご飯食べてるとキャストが飲み物とか買いに普通に降りてくるの止めてほしい。びびる。

 

シアターブラッツ

入り口の階段がまるでライブハウスのような会場。ロビーもキャパも狭くてぎゅっとしているのにステージはすごく奥ゆきがあるから、観に行ったのが初めから終わりまで動きのある演目だったのですごく映えてて良かった。

ただステージはちょっと段があるなくらいの高さなので、フラットの所はちょっと見辛いかも。座席は数人がけの低めのベンチなので最前座るとぎゅっと脚を折る姿勢になるので尻が死ぬ。サンモールより尻に権利がない。

 

新国立劇場 小劇場

オペラシティの中から行くと、中劇場が正面にあって、横の階段を降りるとひっそりと佇んでいる感じの劇場。私が行った時はセンターステージで、入口側の2側面は1列ずつ、他の2側面は段差高めの7~8列なのでどこからでも見やすそうだなと思った。最前の端に座ったけど、センターステージだと必然的に座席の間からキャストが出てくるから近くで表情が見られるし、ちょうど会話劇だったのもあって細かい部分に集中できる雰囲気ですごく良かった。

新宿FACE同様、セットは演目によってだいぶ変わるみたいだからなんとも言えないけど…。

 

品川プリンスホテル ステラボール

無人権席が多いともっぱらの噂の劇場。ただ私の推しはここに立ったことはないので、あまり行ったことなくて、段差上か2階席しか座ったことがないからまだ地獄を味わったことがない。いつか味わう日が来るのかな…。

ここの2階は、2階といっても、1階の後方扉からキャストが出てくる時に後頭部がはっきり見えるレベルに1階と地続きな高さなので多分一番見やすい。椅子も良い。1階も端だとなかなか見切れがひどいみたいだけど、段差上でちょっとサイドくらいなら特に邪魔もなく見える。

余談だけど、クラブexが隣にあるから、同日に舞台開催だと、横の映画館の前が何かとてもカオス。

 

下北沢駅前劇場

本多劇場グループの小さな劇場。名前の通り駅から1分くらいとアクセスがとても良好だし、まあ下北なので時間もつぶしやすい。普通に1階にあるのかと思いこんで行ったから3階で驚いた。ロビーはちょっと狭いけど、劇場自体も狭いのでそんなに気にならないし、荷物も預かってもらえたりと親切。ステージは低めで横幅が広い。いつもなのかわからないけど、4列目から段差の上、更に数列後ろに段差…という感じなので段差列じゃないとやや見づらい部分もあるかも(段差上でも若干かぶって見えないところもあった)

まあでも若俳現場ではあまり訪れる機会のない会場かもしれない…。

 

新宿FACE

元々格闘技用の施設なので、劇場というかライブハウスみたいな。セットは何パターンかあるみたいだけど私が行くときはいつもセンターステージなので、演目によっては4方向からキャストが出てきたり、後ろや前を歩いていくからどの方角も結構楽しめる。

(演目によるとは思うが) 前に書いた通りライブハウスみたいな感じなので、椅子は大抵パイプ椅子なので(座布団だったこともあるけど)お尻にはあまり優しくないけど、3、4列目以降は段差がしっかりあるので被らず見やすい。2列目くらいまではステージの横に座席があることも多いから、近いけど最前以外は被ってしまうことも。

西と南は前に長テーブルのある席もあって、ちょっとVIP感ある。

ロビーがめちゃくちゃ狭いので待ち合わせとかは大変。よくまあチャー研はあんな所で移動観劇やったよ。(行った)

 

新宿村LIVE

あまりにも記憶がなくて本当に行ったのか?とさえ思う。(いやでも半券が手元にあるし演目は観た記憶がある。) 何かステージ真ん中あたりでスクリーンを使って演出してたことと、椅子が並べるタイプの普通の椅子で、あまり座り心地がよくなかったことは覚えてる。と思ったらいつの間にか座席改装されたらしい。知らなかった。

 

Zeppブルーシアター六本木

今はなき劇場その2。名前の通り会場の外壁が青くて初めて行った時「本当だ…」ってなった記憶がある。(ブルーマンの専用劇場だったからブルーシアターらしいし) 内装が黒なのでどっちかっていうとライブハウスっぽいし、その辺りご近所のEXシアターと似てるかもしれない。前の坂がキツすぎて開演ギリギリになった時はめちゃめちゃキツかった。そういえばスヌーピーミュージアムってまだあるんだろうか。

席はあまり後方は座ったこと無いからわかんないけど、前~中方は1列ごと座席もあるし、ステージも低くはないし奥行きもそんなにはないので見やすかった。ライブハウス的な建て方だったので、雨の日雨宿りできるような場所が近くになくて、交換とかはちょっと辛かった。

 

全労済ホール(スペース・ゼロ)

でたーーー!魔の全労済ホール!!と、そんな風に呼んでいるのは多分私だけなのだけど、開演5分前に1列総ダブルブッキングに遭ったというトラウマがあるので許してほしい。(詳しくは過去の思い出に残ってる劇場リストをご参照いただければ) てかこの前行ったらいつの間にか名前変わっててどこじゃそりゃってなった。

演目によって前がどこまでフラットか結構変わるみたいだけど、前の方は傾斜がそんなになくてやや見づらい。逆に後ろは1列1列段差が高めなので、ちょっとステージを見下ろすような感じになる。見やすいのは後ろのほうかも。まあ、とりあえず席があればいいよ、席があれば。

新宿駅からはちょっと歩く上に、若干路地裏にあるので初めて行った時はちょっと迷った。

 

草月ホール

私が初めて自分で行きたい!ってチケット取って演劇を見に行った思い出深い劇場。ステージがカクカクと3面になってて、それを囲むように座席があるので座席が少し円形っぽくなっているやや珍しいスタイル。初めて行った時、割と狭かったイメージだったんだけど、見返してみるとステージが狭いからそう感じるだけで、そんなに小さいホールでもないな…と思った。1階の真ん中よりもやや前くらいで観たんだけど、段差もあるし、会話劇メインの激しい動きのない舞台だったのでよく見えた。

当時高校生だったので、なんか駅から劇場に向かうたった5分の道のりがすごくワクワクしたなあって思い出した。

 

 

さて、長くなってきたので一旦ここで切って、た行以降は明日以降にまた別の記事で。

さ行がやたら多いな!?と思ったけど、シアター○○っていう劇場が多いからそりゃそうか。ざっくりな感想なのでこれから行く方の役にはあまり立たないかもしれないけど、行ったことある方にわかるー!って言ってもらえるような部分があれば幸いです。

 

続きの記事↓

appleringo.hatenablog.com

2022年に書いた改訂版↓

appleringo.hatenablog.com