私の周りには様々なヴィジュアル系のバンドのファンの友人がいますが、
集まって話すと頻繁に
「最近自分たちより若いファンの子、少ないよね」「中高生のファン、あまり見掛けなくなったよね」
という話になります。
私は最近あまりライブに行かなくなった身ではありますが、それでも周りの話を聞いていても自分の体感でもそう感じます。
勿論若いファンが多いバンドというのは存在するし、全く居ないわけではないのですが
自分が中高生だった頃に比べると随分減ったなぁという気がしています。
若いファンが減っているということは必然的に新しくジャンルに流入してくるファンが減るということなので、長い間身を置いてきた側からすると悲しいことです。
流行ってないのかなぁ…悲しいね…
話は大体そういう結論で終わりました。
でも、実際どうしてなのか、その理由は良く分かっていませんでした。
そんな中、こんな記事を見掛けました。
「この調子だとバンド音楽はあと10年もしないうちに消滅する」
石左さんという方のコラムです。
やや極端な書き方をしている部分もあるかとは思うのですが、
内容の核心の部分を読んで、今まで疑問だったことがスッと解決したような気がしました。
このコラムのメインとなっている話は、
今までだったらヴィジュアル系を好きになっていたであろう少女たちが人気「歌い手」のファンへと流れてしまっている。
理由はバンドがインターネットと親和性が低いことにあるのではないか、ということでした。
それが全ての要因であるとは言い切れませんが、冒頭のような話を頻繁にしていた私は思わず「なるほど、そういうことだったのか」と呟いてしまいました。
ただ、理論としては飲み込めたのですが、
「歌い手」の文化が未知の領域である私には「そんなにかっさらわれる程凄いジャンルなのか」ということはイマイチピンと来ないという側面もありました。
そんなことを考えていた少し後、何とまあお誂え向きな、というタイミングで歌い手文化に触れる機会が出来ました。
推しが歌い手さんの曲が原作となる舞台へ出演することになったのです。
最初はどういうこっちゃという感じで飲み込めなかったのですが、どうやらその方が数人でやっているプロジェクトの曲がストーリー仕立てになっており、それを歌い手さんが実際に歌唱する音楽+演劇の形にアレンジした舞台らしいと。
どんな雰囲気なのか丸っきり想像出来ませんでしたが、演出家さんも好きな方だし、チケットを押さえて公演日を待つことにしました。
そして、先日千秋楽が終わりました。
何度も観劇しましたが、一言で言うと、予想以上にめちゃくちゃ面白くて勢いのある舞台でした。
推しは予想以上にダンスも殺陣も多くて、推しのキレのある動きが好きな私は思わず見惚れてしまったりとか、あまりないタイプの大人な役がカッコ良かったとか推しについての感想は挙げたらキリが無いのですが、
この記事ではそれは一先ず置いておいて、触れたいのは
「歌い手」さんの音楽のパワーに私が感じた衝撃です。
この舞台では、キャラクターの心情を表現する存在として、歌い手さんが原作の曲を歌うパートがありました。
私は正直原作をチェックせず挑んでしまったのですが(それはどうなんだという感じですが)
まず、曲のカッコ良さに驚いた。
少し怪しげでセクシーな雰囲気を醸し出していて尚且つロック、歌詞もちょっとセクシーな感じ。
若い子はハマるだろうなぁと単純に思いました。
私ももっと若い頃に出会っていたらきっと好きになっていたと思った。
そして、歌い手さん自身ビジュアルも凄く良く、尚且つ歌が上手い。
本当に単純に「これはそりゃ持ってかれるわ」と思いました。
少し気になって最近他の人気「歌い手」と呼ばれている方もちょっと見たり聞いたりしてみたのですが、ちょっと影があったり同じくセクシーだったり、勢いがあったりとやっぱり若い子がハマりそうな方々が多くいました。ヴィジュアル系に近い部分も感じました。
顔出しされてる方も結構いて、皆さんビジュアルも文句なしの方ばかり。
このレベルのものをインターネットで提示されて容易に触れることが出来る。そしてリアル(ライブ)でも楽しませてくれる。
初めからこの文化に触れてしまったら、インターネットに弱いバンド文化をあれこれ探しに向くことは中々無いだろうな……と正直、思ってしまいました。
音楽は勝ち負けではないし、
私はバンド側の人間ではないので口を出すことでは無いのかもしれません。
でも、そちらに多くの人が流れるということは衰退の一途を辿ることに繋がってしまうのは事実だと思います。
文化というのは世代交代を繰り返して繋がっていく側面があると思うのですが、若い世代が来なければ繋げることも出来なくなってしまう。
ヴィジュアル系の音楽は本当にカッコいい。
胸を張っておすすめしたいバンドも沢山あります。
自分が大好きな1つの音楽表現のかたちが衰退してしまうのは、やっぱり悲しい。
でも、だからといって、目につくようにむやみやたらにインターネットと親和性を高めていくのが生き残る道なのかと考えると、それも違う気がしてくる。
バンドは硬派であれ。リアルに、生に存在するのがバンドなのだ。それがカッコ良さの一部分だ。という考えも凄くよく分かるから、より難しい部分なんだと思います。
生であるカッコ良さとインターネット
音楽配信の部分などで、双方を上手く両立させようと頑張っているバンドさんも沢山いると思います。
これだ!という解決法を提示することなんて私には勿論到底出来ませんが、大好きなジャンルが、文化が、これから先も勢いを持って続いていくように何か打開策が出来れば…と願ってしまいます。
これからヴィジュアル系に、バンド音楽に光がありますように、と祈るばかりです。