ささやかな備忘録

いつか死ぬ日の僕のために

三者三様の個性だからこそ生まれる"パワー"と"説得力"-ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- 8th LIVE ≪CONNECT THE LINE≫ to Bad Ass Temple day.2

基本的に行った現場すべてについて感想を書き留めている訳ではないし、推しの公演ですら感想を書いていない公演の方が大分多いのだけど、最近立て続けに感想書いておきたいな~というものが多かったので、新しい方から順番に書き留めておきたいと思う。(と言っている間にまた色々観に行って書きたいものが増えたりしているけど…)

 

3年半ほど前、友達が最近好きになったという音楽作品を紹介してくれた。

当初は私にはあまり刺さらなかったのでスルーしていたのだが、コロナ禍で暇になったある日、その作品のライブ配信があるから暇なら見てみて~と勧められ、なんとな~く眺めていた所、あるチームのパフォーマンスに釘付けになった。説明書きにあった名前は、

"ナゴヤ・ディビジョン・Bad Ass Temple"。

一番ガラが悪そ~な雰囲気なのに、すごくエネルギッシュで真っ正直で、ラップのことが良くわからない私にも奏でる言葉が真っ直ぐに心に届いた。3人とも知らない声優だったけど、カッコいいな~と素直に思った。

そもそも紹介された時こんなグループあったっけ?と思っていたら、追加キャラだった。筋の通ったヤンキー僧侶キャラが好きで*1バンギャルの私にはナゴヤ・ディビジョンは好きな雰囲気だった。根本的に生き方がバラバラなのに絶妙に噛み合ってるというのも好きな感じだった。

これがヒプノシスマイクを好きになった切っ掛けだった。

 

それからまずは…とCDを買ったり(2ndD.R.B.のドラパの少しずつ相手のこと考えられるようになって分かり合っていく過程がとても良かった)、コミック版を読んだり(15歳空却くんのビジュアルが好きすぎる)、好きになった切っ掛けのライブの円盤を買ってもう一度見直すなどした。他にも、舞台版を観に行ったり(BoPの時花道横席で臨場感があるパフォーマンスが見られて最高だった)、3DCGライブを見に行ったり(各楽曲の生演奏はめちゃめちゃ重圧感があってカッコ良くて聞き惚れたんだけど、3DCG自体は個人的にはあんまり面白さを感じなかった…)と様々な形で作品に触れた。その中で特にナゴヤのキャラクターのバックグラウンドや思想?とか、3人が一緒に戦う意味を段々理解できて、楽曲はそれぞれ制作者が違うのにどの曲もそれが上手く汲み取られているのも面白いな~と思っていた。

しかし折角の音楽作品なのに、今まで生のライブを見に行けたことがなかった。そもそも初めにパフォーマンスを見る切っ掛けになったのがコロナで観客動員が中止になったライブだったし、6thライブも行こうとチケットを取っていたけど結局中止になってしまった。7thは申込制限があったから、友達とライビュを見に行ったけど、現場主義オタクなので、やっぱり生のラップを聞きに行きたい…という気持ちがあった。

そんな中発表されたのがディビジョン別の8thライブだった。ナゴヤがナゴヤでライブをやる!半年後だったけど情勢的にも開催できる可能性が高いと思ったし、是非行きたいと思って2日目を申し込んだら取れた。(HYPSTERありがとう) 私はドラマCDなどは聞いて話は追っているけど、好んで聞く曲はナゴヤに偏っているので*2、各ディビ曲メインで聞ける公演は結構嬉しかった。

 

気づいたら秋になり、新幹線を予約したら、あっという間に当日だった。

名古屋に降り立つのは昔通ってたバンドでell.SIZEに行ったきり5年ぶり。(そういえばELLもナゴヤのMVに出てくるな)

天気も良くすごく早く着いたので、空却たちの生きているであろう街を散策しようと久しぶりに大須をブラついた。古着を物色して、味噌カツサンドを食べた。驚きの満喫度。彼らも同じようなことをしているのかもしれないと思うと、なんだか楽しかった。*3 大須は若者が多いけど、原宿や渋谷というよりは中野や高円寺に近い雰囲気だと思う。

会場は初めて行く場所だった。1階の後方だったけど、特に遮るものもなくすごく見やすい会場だった。(グランキューブ大阪の後ろの方に入った時と同じような感じだった。国際会議場のホールってどこもこういう感じなのだろうか。)

 

ほどなくしてU-ICHIさんのDJがあり、3人が登場して全員曲のメドレーが披露された。これがナゴヤの生ラップ…と思いつつも目まぐるしすぎてまだ現実味(?)がなかったのだが、2曲めの「でらすげぇ宴」で一気に現実味が出た。

乱暴だけど芯のある空却、芝居がかって流麗な十四、渋さと荒っぽさが同居する獄を3人がラップで見事に表現していて、独特のごった煮感をリアルタイムで感じることが出来て、すごく感動したのである。「でらすげぇ宴」は怪しげな曲調と突き抜けた雰囲気の歌詞がごった煮感を強調するのもあり、ぐっとナゴヤの世界観に引き込まれた。直前に公開されたMVも怪しくてめちゃくちゃ好きだったので、バックで流れてて嬉しかった。「R.I.P」の怖がる素の十四ラップも思った以上に迫力があって、生で聞けてとても嬉しかった。笑

 

MCでは葉山さんが衣装のスカジャンの刺繍が衣装さんの力作であることを見せびらかしてくれた(?)んだけど、B.A.T.のロゴが入っていたり、袖にまで雷マークが入っていたりと本当に素敵な仕上がりだった。ついでに衣装の話をすると、全員キャラクターのイメージが落とし込まれつつもコスプレにならないようにステージ衣装っぽい着こなしになっていたのがお洒落ですごく良かった。寄せつつ完全なコスプレではないのがヒプマイっぽいなと思ったりした。榊原さんの首のタイが可愛い。day.1はまた違った衣装だったけど、day.2の方がキャラクターのイメージに寄せている雰囲気を感じたので、個人的にはすごく好きだった。

 

その後は各々のソロ曲のターンだったのだが、初めの獄の「If I Follow My Heart」が本当にめちゃくちゃ良くて…。少しライブの話からは逸れるんだけど、空却と十四って登場からリリックに込めてる思いが一貫していると思っている。対する獄は初めは二人を見守る保護者の立場で、"内"を見せず自己紹介や見守る方に徹している感じだったのが、ストーリーやバトルを経て自分も当事者として"内"を見せて戦う姿勢に変わっていったと考えていて(2+1だったのが3になったというか)、それがこの曲にはすご~く良く現れているな、と感じていた。竹内さんの生のリリックの力強さを感じていたら、改めてそのことを噛みしめるように考えてしまったのであった。凄く力強かったのが強い決心を表しているようでまた良くて…。*4

十四ソロは「Violet Masquerade」も「月光陰」も、芝居がかった口調と声をそのままで一曲歌い上げる榊原さんに、シンプルにすごい…という感情しか湧かなかった。十四の内に秘めている世界がひしひしと伝わってきた。両曲ともテンポ感を保てるのすごい…。ていうかこの曲(Violet Masquerade)のサビ、ラップのノリ出来なくない…?と考えていたらいつの間にか簡易手扇子みたいになっていた(私が)。そしたら前にも簡易手扇子とキメをやっている人がいた。バンギャル炙り出し曲。

前2人が新曲の流れだったので、空却もそうかと思いきや「そうぎゃらんBAM」からで驚いた。私は3人の中だと一番空却が好きなのだけど、そのキッカケの1つがこの曲への衝撃だった。畳み掛けるような目まぐるしく変化するテンポやリズムに破天荒な歌詞が乗っていて彼の信念とかキャラクター性がグッと伝わってきたのを覚えている。(Diggy-MO’さんは流石の私でも知っていたので…すご…と思った。) そしてそれを歌いこなしている葉山翔太は何者なんだとずっと思っていて、ずっと生で聞いてみたかった。

だから今回生で聞くことが出来て感無量だった。目まぐるしく変化する曲の中でも崩れないリズムとフロウ、挑戦的な歌い方や表情で見事に歌い切っていて、葉山翔太、アンタ、すごいよ……になってしまった。「僧・伽 伽 ぎゃらん bam !」の所本当に楽しかった。離れた席から見ているのに迫ってくるような存在感がしっかり"空却"でめちゃくちゃ良かった。「Young Gun of The Sun」は初めて聞いた時は爽やかすぎるかな?という印象だったんだけど、空却にはまっすぐな部分もあるから、それを映していると思うと新鮮だなと思った。こちらも生だとよりロックで真っ直ぐさが伝わってきた。

 

その後はゲストのMOROHAのライブだったのだけど、実はMOROHAの曲は聞いたことがなくて今回初めて聞く…だったんだけど、今回ナゴヤのテーマとか雰囲気に合わせた曲を披露してくださって、すごく良かった。初めの「革命」ではアフロさんが俺もそう思うよ、十四!諦めない!と語りかけるようなパフォーマンスがあり、今回のライブの世界にも溶け込んでいるし、MOROHAってこういう色なのか~ということも伝わってきて上手い…と思った。その後ヒプに関わって"家族"を強く感じた話なんかをしてくれて、そこから家族を歌った「ネクター」だったんだけど、その一連の流れがめちゃくちゃ良くて…私もいつの間にか泣いてたし、よく見たら周りも全員泣いてるし、気づいたら終わって出てきた葉山さんも泣いてた。あ、あなたもか~い!って笑ったけど、そのくらい強い感情を引き出すのがすごく上手い人で、その力強さと暖かさの前には涙を止めることなんて出来なかった。シンプルに人の心を動かす力がある音楽ってすごいな~と思った。(ちなみに葉山さんは感極まりすぎて榊原さんと竹内さんに急に抱きついてきたらしくて、素直で可愛いなと思った。)

 

 

そのあと「SUMMIT OF DIVISIONS」の特別バージョンがあってい、良いんですか…?と思っていたところで「Bad Ass Temple Funky Sounds」が披露された。一番上で書いた友達に勧められて見た配信ライブで釘付けになったのがこの曲のパフォーマンスだったので、今回聞けて一番嬉しかったかも。

少年から大人に変わり 毎日嫌になる 毎日がリアル
居ても立っても居られないから マイク持ち返し 倍にしてやる 

この部分のそれぞれの掛け合いが本当にアツくて、生で聞くとこんなにも3人のエネルギーがグッと迫ってくるものなのか、と圧倒されてしまった。これでもかという自信が伝わってきて…好きだな、そういう所…という気持ちになる。私がナゴヤの好きなところ、(割と逃げ腰の十四ですら)三者三様になんか自信がある所っていうのもあるので。

 

この後なんとアフロさんの口上付きの「開眼」で、アフロさんが"突きつけられたのは敗北、この先の日々どう生きる?"というようなことを言っていて、より一層重圧感というか、この曲が物語でどういう意味を持っていて、それが今どのように変化したのかが伝わってきてとても良かった。静かなイントロのビリビリとした空気感も、3人の声が合わさった時の説得力と迫力もとんでもなかった。次は勝つ!みたいな前向きさとは違う、底から沸き上がってくる力でゆっくり地を踏みしめて前に進んでいくような…そんな説得力を感じた。豪華すぎん?…良いんですか?

(そういえば、アフロさんのリリックって、ネガポジというか、ちょっとネガな状況でも前へ前へっていうポジティブさが同居しているような所を感じるなぁと思う。)

MCでは「Bad Ass Temple Funky Sounds」のリリース日にライブできるなんて嬉しいという話をしていて、記念の日にライブがあるのって本当に良いよね…と思うなどした。

その後のメドレーはワイワイ楽しくてあっという間に終演に。榊原さんがえ!?終わるの嫌だ~~!!と言っててわかる~~!と思いつつ可愛かった。

 

始まったら本当に楽しくて楽しくてあっという間に終わってしまったけど、終わった後の満足感もすごく高かったなぁと思う。帰りも、ここまで来てよかったなぁという思いがひたすら頭を駆け巡っていた。

改めて3人のパフォーマンス力と難しい曲たちを歌い切る底力を強く感じたし、生ラップを聞けたことでより一層、遠くても迫ってくるようなパワーの強さと、"個性バラバラでごった煮感があるけど、その個性が合わさるからこそ強い説得力・迫力・自信という大きな魅力が生まれている"というB.A.T.の一番の強みを再確認出来て嬉しかったな、と思った。

正直、他のディビジョンについても結構興味にバラつきがあるし、作品全体を通して全部のメディアを追えているわけではないので、そんなんで好きとか言ってて良いのかな~と思ってしまう時があった。(好きというからにはなるべく目を通したいというタイプなのもあり) でも今回のライブを見て、空却くんとB.A.Tと、B.A.T.の音楽が好きならそれで良いのかな~という気持ちになった。音楽プロジェクトの音楽が好き!、それで十分じゃない、という気持ち。

 

ちなみに、「味噌煮込んでやるぜ!」を聞いたら味噌煮込みうどんが食べたくなったので、食べてから新幹線に乗った。今までの遠征で一番満喫してやがる。

 

あとどうでも良いんだけど、やっぱり自分のテンションを上げたいので、空却くんがリアルにいたらめっちゃ好きだったかもしれないという想像から、私はナゴヤの関連現場に行くときは「空却くんのリアコのコスプレ」をしている。「空却くんのリアコは髪色に合わせて敢えて赤系の服を着て、スカジャンを着て、左の薬指にリンライをするに違いない」というとんでもない幻想があるので(?)、今回もそんな服装で参加した。私にはリアコも夢女の才能もないので、あくまで「もしそうだとしたら」という空想でしかないんだけど、ワクワク出来るし楽しいのでおすすめです。

(今回のライブ、9割が黒か紫の格好をしており、会場までの通り道が圧巻だったし、大須から会場までスカジャン着ている人に100人くらいすれ違った。かくいう私もスカジャンに紫のカバンを持っていた。これ、ディビジョンごとにかなりカラーが出そうで面白いな、と思った。)

*1:最遊記が人生のバイブルなので…。

*2:次点はシブヤ。

*3:聖地巡礼のようなことをしたのは、W.Aの横浜中華街ぶりかも。あ、その後推しの出ていたドラマのロケ地は行ったけど、結構近所だったから行ってみただけというような感じで…聖地巡礼味はない。

*4:余談だが、丁度この前ヒプステのB.A.T. VS 摩天楼を観劇してきて、これがまた2ndD.R.B.前の獄と寂雷の関係修復のストーリーだったので、まさにこの「一歩引いていた獄が同じラインに立つ過程」の補完になっているように思えて胸が熱かった。