ささやかな備忘録

いつか死ぬ日の僕のために

2次元のヴィジュアル系の「リアル」とはーマシュマロの返信ほか

またまたご無沙汰しています。

ちょっと忙しいなと思ってたら急に人事異動があって、そのまま繁忙期に突入して春になってた。推しの舞台も何作かあったんだけど、最近は丁度昨今のアレで最前が何回分も吹き飛んだので正直暫く何もやる気が起きなかった。

そろそろなんとか立ち直ってきたので、気分転換がてら物書きしようかな、と思って書いてる。推しの冬の舞台がすごく良かったのでそのことも書きたいけど今回は別の話を、と思う。

 

久しぶりにマシュマロを覗いたら

ありがたいことにメッセージを頂いていたので、そちらの話を書きたい。

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appleringo.hatenablog.com

こちらの記事(後編もあるよ)を読んでくださったとのことで、ありがとうございます。

実はこの記事、引用で感想をいただいたり、ツイッターで読んだよと書いてくれた方がいたりと、地味に反響があって少し驚いた。

 

頂いたマシュマロにあるような2次元のヴィジュアル系に対するある種の「違和感」について、私の周りでは度々話題に登ることもあったとはいえあくまで自分の周りの話だったので、同じような違和感を抱いている方が他にもいるんだなということを知られたのはとても嬉しい。また、その「違和感」への疑問を多少なりとも晴らす一手段になれていたら光栄です。(そんな大層なものではない)

 

作品について特にマイナーなものは、自分が読んでいた雑誌に載っていたり、たまたま触れる機会があったものが多くて、結構色んな方面から引っ張って来られたのはラッキーだったかな。あとは私の周りにバンギャ兼オタクの子が多いので、割りと他ジャンルでV系の要素が観測されると話題になりやすくて、その辺りも幅が広がった要因かなと思っています。

そもそもそういう形で日々ヴィジュアル系をモチーフにした作品を目にすることが多かったのでその分「何か違うんじゃない?」と考える場面が多かったのかも、とも思ったり。それでもやはり知らない作品もあり、細かい所まで検証するために当時のニュースサイトの記事とかまで調べ上げて色々考えた部分もあったので、そう言っていただけると頑張った甲斐があったな…と感じます。

 

そして最後になんと「っぽい」作品のご紹介までありがとうございます!!知らない作品だったので検索して興味深く拝見しました。

というかメッセージを初めて拝見した時、「サンエックスってあのこげぱん(昔好きだった)の……?いや流石に違うサンエックスだろう」と思いながら検索したらそのサンエックスだったので、まずそこで度肝を抜かれた。SHOW BY ROCK!!がリリースされた時「サンリオ、どうした」とは良く言われていたものだが、サンエックスも同じ波に乗ってきているとは夢にも思わず。よくよく設定を見てみると、ダメージを受けると小動物の姿になる…とあり、モロ意識してるじゃん!という。笑

そもそも昨今の2次元カルチャーの中で音楽メインのキャラクターコンテンツがかなり流行している印象は受けるので、次々と新しい作品が出てくるのは不思議ではないけど、これはサンリオには負けてられんぞという強い意思が透けて見えるな、と思った。笑

 

少し話が脱線してしまったけれども、ご紹介いただいた「セツダン倶楽部」、はっきり「ヴィジュアル系」と明記されていないとはいえ、確かにあまりにも既視感がす~ごい。右の人、犬…にいなかった??

アングラ方面で良く見掛けた「白塗り系」と「和風系」(あるいはレトロ系?)を組み合わせた感じだろうか。どちらも2次元のヴィジュアル系バンドのモチーフとしてはあまり見掛けないので、新鮮に思った。そもそも大半の2次元のヴィジュアル系は、キャラクターとしてある種の記号化が行われる時点で取っつきやすく、スッキリとまとめられる傾向にあると思うので、モチーフの不気味な感じがメイクや雰囲気として残されているのが新鮮。ボーカルの夜雀が拡声器持ってるのも良い。白塗り系にも和風・レトロ系にも拡声器持ってるバンドマン、いるよね……。

曲も聞こうとPVを見てみると、あまりにもおどろおどろしい和風系バンドのそれすぎて唸ってしまった。私も好きだった和風系のバンドがあったので、なんだか懐かしくなった。歌詞の表記に歴史的仮名遣いや古典文法、カタカナ表記が使われたり、「鬼哭啾啾」「晦冥」など「いつ使うんや」な言葉のオンパレードなど「っぽさ」が盛りだくさん。そして極めつけが「貴女」表記……!ゼロ年代を感じずにはいられない。曲調も例えば「朱殷ノ獄門」は歪んだギターの音色で始まるイントロ、激しく速く刻まれるドラムにエコーのかかったボーカルの声で早口な歌詞が乗るAメロ、急にちょっとポップになるサビなど、曲の展開が「っぽい」。作詞や作曲は界隈の人ではなくロック系の得意な作曲家の方がされているようで、細かい部分まで調べて作っているんだな、という印象。

実際の白塗り系はもう少しアングラな雰囲気が強いイメージがあるので、全体的に見るとゼロ年代~の和風系バンドの色を濃く反映しているように思った。前の記事の中で書いたように、大半の2次元のヴィジュアル系において「ヴィジュアル系=コテ系や耽美系っぽいもの」という記号化がされていて、特にゼロ年代以降に細分化された後も他の系統をモチーフにしているキャラクターというのはすごく少ない。そのため、勿論和風系がモチーフに(しかも余り認識のズレがない状態で)なっている作品は殆どないので、貴重な存在だなと思った。

2次元の音楽コンテンツで和風系というと、アイドルコンテンツでは比較的良く取り入れられているモチーフであるように見受けられる。(有名どころだと「あんさんぶるスターズ!!」の「紅月」とか)  ただし、やはりどのキャラクターもすっきり爽やかに纏められていたり、可愛らしくアレンジされていたりと、不気味さやおどろおどろしさを絡めたものは見かけない。そういう意味で、2次元音楽キャラクター界隈においても貴重な存在かもしれない。

白塗り系は90年代後半から見られるかと思うが、和風レトロ系はゼロ年代以降に隆盛した系統かと思う。前にも書いた通り、私はネオ・ヴィジュアル全盛期を生きてきているので、この手の作品において見られる古き良き=ヴィジュアル系という記号化に違和感を持っている。だからこうしてこの世代のバンドをモチーフにしたキャラクターがこうして現れることはとても嬉しいなと思うし、「リアル」を感じられるなと思う。ご紹介いただき、ありがとうございました。

 

若干話は変わるが、この記事を書こうとしている頃、丁度「マツコの知らない世界」でヴィジュアル系特集が放送された。私も勿論見たのだけど、時間の関係もあっただろうし(あの短時間で膨大な歴史を総ざらいするのは難しい)「古き良き」に焦点を当てた特集だったので仕方がないのかもしれないが、「2000年以降はパッとしない」みたいなニュアンスで特に紹介なしで流されてたのはちょっとガッカリした。一般化して見れば、長いジャンルの歴史の中でのゼロ年代ネオ・ヴィジュアル系というのはそのくらいの認識なんだろうな、というのを感じた瞬間だった。そりゃあ作品として落とし込まれる時にモチーフとしては選ばれづらいよな、と思ってしまった。

友人が言っていたが、最初期を見てきた人からするとネオ期のバンドというのは邪道に見えるのかもしれない。(実際この時期のバンドは認められぬというようなことを書いている記事も見かけた。) それでも今もこの文化が残ってるのは絶対に間の世代があったからこそだし、その時期を生きていたバンドに支えられた人も沢山いるんだよ、というのは忘れないでほしいな、と思っている。そのためにもまたこの世代のバンドをモチーフにしたキャラクターが登場するといいなと思う。

 

長くなってしまったけどお返事などでした。

同人誌、急に忙しくなった&文フリに合わせて出そうと思っていて中々折り合いがつかず遅くなっていて申し訳ないです……。今年中には……!