ささやかな備忘録

いつか死ぬ日の僕のために

表拍に馴染めない

ここ数年推しが度々レビューやライブパートのある舞台作品に出たり、アイドル出身のグループを好きになってライブに行ったりと

キンブレなどのペンライトを振る機会が格段に増えた。

 

昔から好きな歌手の方はライブでは物販で買い物するとサイリウムがもらえたりしたので、全く振ったことがない訳ではなかったが、元々ずっと行っていたヴィジュアル系のライブはペンライト文化がほとんどなかったため*1、あまり馴染みがなかった。

(当時観に行っていた舞台はショーパートのあるものは殆どなかったし)

 

4~5年前にKING OF PRISMの応援上映に誘われた時に初めてキンブレを購入して、めちゃくちゃ明るくて簡単に色が変えられるので感動したのを覚えている。

当時は買ってからもそんなに使う機会がなかったので上演中に思った色を探すのに手間取ってしまっていたけど、最近は使う機会が増えたので感覚的に色を探して使うことが出来るようになった。

キンブレ以外にも様々な作品で売り出される色とりどりのペンライトやバルーン型のライトなど、多種多様なペンライトに触れたことで、「ペンライトを振る」という行為そのものには随分慣れたなぁと思っている所である。

 

しかし、「ペンライトを振る」こと自体には慣れても、中々慣れないこともある。

 

ライブに行っていた時は、アップテンポな曲でヘドバンや特別なフリがない場合は、拳を挙げて振ったり、音に合わせて両手を交互に前後に動かす(所謂手バン)のが常だった。

その際は所謂"裏拍"でリズムを取り、手を動かしていた。確か初めて行った時からそうしていたと思うし、周りの観客も殆どがそうしていたと思う。また、ジャンル内のどのバンドを見に行っても、大抵はどこのファンも裏拍でリズムを取っていたと思う。*2

つまり言ってしまえば、裏拍でリズムを取るということが当たり前だったのである。 

 

しかし、アイドルものやライブパートのある舞台、アイドル出身のグループのライブによく足を運ぶようになり、長年の"当たり前"が逆に新しい現場での違和感を生むこととなった。

私の周りでペンライトやスティックライトを振るファンの人々の多くは、曲に入るタイミングからライトを振り始めており、所謂"表拍"でリズムを取っていた。人により、曲により多少振り方やタイミングにバラつきはあるが、表拍でリズムを合わせるというのがかなり多数派であるようだった。(正直現場によりけりな部分もあると思うので一概には言えないかとは思うが、私が今まで足を運んだ作品やアーティストは体感的に多いなと思った。) 折角舞台やライブの現場に来ているのだから、違和感なくある程度の一体感も楽しみたいと思う私は、なるほど、と思いながら周りに動きを合わせてみていた。

合わない。

いや、正確には動き自体は合わせられなくはないのだが、「違和感なく一体感を楽しむ」所からは随分遠い場所にいる気がした。最初は表拍でリズムを取っていても段々慣れたリズムの取り方に寄っていってしまう。すると何となくぎこちない振り方になってしまい、それが気になってちょっと楽しみづらさを感じてしまったのだ。どちらが良いとか悪いとかは無いと思うので、個人的な体感の話だ。

そんなところでテンションが下がるのも辛いので打開策を考えた結果、一拍の中で小さく下に振ってから大きく上に振る方法であれば、裏拍の方でリズムが取れるし、同じ振り方の人も見かけるのでそれに落ち着き、そこまで違和感を覚えることもなくなった。習うより慣れろという感じで通っていると多少表拍から始まる振り方も出来るようになった。

 でもやはり表拍に対してまだそこまで馴染みを感じられるようにはなっていない。

 例え行かなくなっても長年の慣れってそう簡単には覆せないものだな、と思っている。

 バンギャルから他ジャンルへ移行して同じような経験がある人、いるのではなかろうか。

 

表拍でリズムを取るのが多数派の現場に行くと、拍の初めからペンライトを前にかざすのと同時に、何となくぐいぐいと心理的に前に前に進むような、前のめりな熱狂を感じるな、と思う。言葉にするのがなかなか難しいところではあるが、ドンと盛り上がるような感じの。私がバンドに行っていた時は熱狂は熱狂でもそれぞれの芯から湧き上がって放出されたものがなだらかに一つになるような、そんな熱狂だった気がする。

どちらもそのアーティストなり、作品なりを好きな人が集まっているので、同じ熱狂であることに間違いはないのだが、何となく生まれ方や種類が違う熱狂だな、と感じる。それがリズムの取り方を切り口として見えてくるのもなかなか面白いではないか、と思った。(これも正直アーティストなり作品によりけりで、あくまで私の主観としての話なのだけれども)

 

ところで、私の場合拳→ペンライトへの移行でこの違和感を覚えたわけだが、もし今ペンライトを振っている現場が拳になったらどうなんだろう?リズムのとり方変わったりするのかな?と少し気になったりした。ジャンルとして無意識の集合体的に培われてきた文化のようにも思うので変わらないかな、と思ったりもする。*3

*1:ペンライトをグッズとして販売しているバンドもあったし、全く無いわけではなかったけれど、売ってる割にほとんど使わないじゃん…というバンドが多かった。代わりに光り物だと所謂フラッシュリング(ドンキとかに箱で売ってる色んな色にピカピカ光る指輪)を使ったり、私の行ってたバンドだと星型のライトが売られていて手で持ったりはしたけど、あくまで拳の邪魔にならないものが多かった。

あと旗とかタンバリンとか光らない小道具は結構売られてたけど、決まった曲のフリで使うような感じだった。

*2:他ジャンルのバンドのライブにはあまり行ったことがないので他の所がどうなのかは詳しくは分からないけど、昔行ったポップ寄りの邦ロックのバンドはやはり裏拍だったような?気がする。

でもよく見かけるフェスなどでのノリ方を見ていると、人差し指を挙げて手を縦に振る動きが多い気がして、それが多数派だとすると裏拍は主ではないのかなと思った。今回の話にはあまり関係ないけど、調べてみたくはある。

*3:私が今好きなグループは前はキンブレ型のペンライトを販売していたが、今回のライブツアーでは初めてリングライトをグッズで出すようなので、ノリが変わったりするのかちょっと気になっていたりはする。ファンの大多数が完全にアイドルだった時代から来ている人たちだと思うので、変わらないような気もする。