ささやかな備忘録

いつか死ぬ日の僕のために

好きな人よ、ギターを持たないでくれ 今よりも好きになってしまうから

観劇週間が終わって仕事も生活もバタバタしていた年度末の某日、スマホを開くとフォロワーさんから突然「××一緒に行きませんか!?」というメッセージが届いていた。

 

何!?と思ったが、××は確か、人気コンテンツの名前だった気がする。良くは知らなかったけど名前は聞いたことがある。ひとまず検索をかけてみると少し前に舞台化が決定していて、キャストが発表されたばかりだった。トップに名前があったのはフォロワーさんの推しの名前だった。なるほどそれで、と思ったが、私が声を掛けられた理由は多分他にもある気がした。

ニュースサイトの記事を眺めていると真ん中に見たことのある名前があった。推しだった。え!?と思った。私の推しは今、上半期休みあるんかというくらい例年にないほど舞台に出ずっぱりなので、翌月また別作品に出演すると思ってなかったし、フォロワーさんの推しとも久しぶりの共演なので同じページに名前が並んでいて驚いた。

まあ何にせよ声を掛けてくれた理由はわかり、推しが出ていれば良く知らない作品でも勿論観に行くので、驚きを隠せないままえ!?行きます!と元気よく返事をした数分後だった。推しのTwitter通知が来たので、おっ今話してたやつだな、と見に行くと、私がまだチェック出来ていなかった個人ビジュアルの写真と共に出演決定報告をツイートしていた。

写真に写っていたのは、役としては珍しく明るい笑顔でギターを携えている推しだった。

 

***

私は元ギャで、大体の元本命麺がギターを弾く人だった。ギタリストのファンをしていた時期が一番長いし、ボーカルが好きだった時もギターを弾ける人が多かった。ライヴで弾いていることもしばしばあった。(勿論例外もあるけど) すごく専門的なことはわからないけど、音に感情を乗せて楽しそうにギターを弾いている姿を見るのが好きだった。

ばんぎゃるを上がってからも好きなアーティストのずっとボーカルだけを担当していた好きなメンバーが、ライヴで急にギターを弾き始めて思考が停止したこともある。ギターを弾いてる姿を見たらもっと好きになってしまうな、と思ったりもした。

まあ要するに、ギターにすごく強い思い入れがあり、且つ好きな人がギターを手にしてしまいがちなのである。

 

先ほどの新しく発表された推しのビジュアルをもう一度見てみる。やはりギターを持っているように見える。いやいや、そんなはずはない、と何回も画像を開いては閉じ、開いては閉じして見てみる。

いや、やっぱり持っている。

え~~~~!?と何度口にしたかわからない。とうとう大好きな推しまでギターを手にしてしまった…ようだった。マジ? 推しの役はバンドのメンバーの1人という設定のようで、他のメンバーも良く見たらおのおの楽器を持っていた。

推しが楽器を齧っていたこと、学生の頃に同じような趣味をしていたことはインタビューやサイン会で聞いて知っていた。いやいや、でもギターはやったことないはずなので流石に弾きはしないか…と思いながらコメントを見ていると推しは「何も決まってないけどもしかすると弾く…かも」みたいなことを話していた。

弾く………の???????

勿論未定の予定だと思うので、弾かない可能性も大いにあると思う。でも同じように弾く可能性も大いにあるということである。そんなの…そんなの実際に見たらきっと泣いてしまうと思った。だって大好きな人が、ギターを弾いているのである。

まあ正直多分当て振りでも泣く。そんな姿見られる日が来るとは思っていなかったから。

 

その後私に連絡をくれたフォロワーさんはフォロワーさんで、自分の推しが座長らしきことを信じられずにいたので、推しがギターを持っていることを信じられないオタク VS 推しが座長らしきことを信じられないオタクで何時間か2人で頭を抱えながら電話していた。話しながらまたビジュアルを眺めて ね~~~何でギター…持ってるの…と崩れ落ちるオタクになっていた。怪しすぎる。

 

そこから数日はやっぱり信じられなくて、何度かビジュアルを見直しては、持ってるな…と確認するのを繰り返していた。初日を迎えたらどうなってしまうのだろう。ひとまず無事に観られるようにせっせとチケットを申し込む日々である。あとアニメを見て原作の予習をします。

 

好きな人よ、ギターを持たないでくれ 今よりも好きになってしまうから