ささやかな備忘録

いつか死ぬ日の僕のために

続・界隈によるチケット譲渡の「様式」の違いを感じた話

以前、こんな記事を書いた。 

appleringo.hatenablog.com
詳しくは元記事を参照して頂きたいが、簡単にまとめると、
ある舞台(2.5)のチケットを探していたとき、SNSで普段見かけない書き方の譲渡募集を見掛けることがあった。
(原作と主役の子が好きだったので)出演キャストを詳しく見ていなかったが、よく見てみると元・ジャニーズの所謂「辞めジュ」の子がいることに気づき、「もしや」と思い調べてみたら、私が見た募集様式は主にジャニーズなどの男性アイドル界隈で見かける書き方であった、という話である。なるほど、界隈によってこんな違いがあるものなのかと驚いた。検索結果に舞台界隈の書き方の形式と(多分)元・ジャニオタの子たちの形式が混在していてなんだか不思議な様子であった。


実は、今絶賛公演中の推しの出演作のキャストにも辞めジュの子がいるので、また舞台界隈(または若俳界隈)とアイドル界隈の募集様式が混在しているのを丁度目にしていた所であったりもする。(一年前の記事だが、非常にタイムリーな話題でもある。)

 

まあそんな私の些細な驚きと気付きから生まれたのが上の記事なのだが、

書いた当時は「違いがある」ということはわかったものの、具体的にその違いが何から生まれたものであろうかみたいなことまでは、触れられなかった。

 

そんな中で、先日ジャニーズの大手グループのファンの友達と久しぶりに話していた時、たまたまこの話をする機会があった。

話を聞いてくれた彼女は、「(ツイッターの譲渡募集以外に)そういう書き方の形式に心当たりがある」と教えてくれたのだ。

それを聞いて「なるほど、それも違いの一つの理由かも」と思ったので、今回はその辺りを追記としてまとめたいと思う。

 

もちろん詳しく周辺事情を洗いざらい調べたわけではないので、

あくまで一例として「こういう文化の違いが募集様式の違いにも反映されているのかもしれないな」くらいの話として読んでほしいと思う。(あれだけ色々なグループや役者さんがいれば例外もあるだろうし)

 

※前回同様、チケット譲渡に関するお話を扱う記事なのでそういった譲渡文化自体に抵抗のある方はスルーして頂けると幸いです。

***

彼女が、私が見かけたチケット譲渡募集の様式に「似ている」と教えてくれたのは

「ジャニーズのコンサートがある日に会場近辺に立っているチケットを譲ってほしい子たちが持っている、「チケット譲ってください」と書かれたボード」

である。

 

当日までチケットが手に入らなかった人々が、もしかしたら直前で余らせてしまう人がいるかもしれない…という思いで会場周辺で待機するという文化である。

私もTDCホールに用があった日に東京ドーム近辺とか、ヘブンズロックさいたま新都心に用があった日にさいたまスーパーアリーナ近辺とかで並んでいるのを見かけたことがある。

 

人気グループだと何人もの人がズラッとボードを持って並んでいることもあるそうだ。

そうなってくると、チケットを余らせている側も声を掛ける人を「吟味」することとなる。

誰に声をかけようか、その決め手となるのがやはり「チケット譲ってください」ボードに書かれている文言なのだという。

 

譲る側も出来ればパッと目に付き、しっかりとしていて、礼儀正しそうな人、そのグループのことが本当に好きそうな人に譲りたい。(そりゃそうだ)

もちろん譲ってほしい側もそれをよく理解しているだろうから、「如何にして選んでもらうか」という一点に留意してボードを書くこととなろう。

 

なんでもそうだが、この場合は特に「わかりやすさ」がかなり重要なポイントとなる。

「わかりやすさ」を考えるなら、いつのなんの公演で、枚数、金額、一つ一つの情報、そして「譲ってください」を丁寧に読みやすく書く必要が出てくる。

書き方は多少違うだろうが、確かに一つ一つの情報を丁寧に目立たせて書くという方法や「譲ってください」という文章での呼び掛け的な書き方は、私がツイッターで見かけた募集様式*1の形式張った感じとよく似ている気がする。

 

また、それだけ人数がいるとなると、目立つためには譲ってほしいチケットの他に情報が必要となる。例えば誰のファンであるのか、とか責任を持って取引します、とかグループの好きなところとか、諸々。

そうなると必然的に行数が増える。この辺りの色々な情報を追加でつけるという辺りがハッシュタグ文化に繋がっている気もしてくる。

 

舞台界隈(と若手俳優界隈)は、こういう会場周辺でボード持って待ってるという文化がジャニーズほど盛んではないし(いるにはいるんだろうけれども、私はほとんど見かけたことがない。そもそもチケットの倍率も違うだろうし。)、その辺りの文化が流入していないのも頷けるように思う。

どちらかと言えば、舞台関係の募集様式*2の簡素さは、二次元作品のグッズ交換文化のほうが近いものがあるかなあと思っている。(特に2.5は原作のファンと役者のオタクが混在するという状況になることも多いし、掛け持ちのオタクも多い。)

 

最初に書いた通り、ボードとツイッターの募集様式の書き方が全く同じわけではないし、ジャニーズ以外にもボードの文化があることを考えると、本当に直接繋がりがあるのかというのは確かめようがない話だ。(特にこういうネット文化とかストリートな文化というのは)

でも2つの間に細かな文化の違いがあるのは明らかで、それがそれぞれのバックボーンに基づくものであるのも明らかである。そう考えると、SNSにおけるチケット譲渡募集の様式に直接繋がりがあったり、反映されていたりするものであるかはわからなくても、間接的に吸収されているとか、脈々と繋がっている可能性は大きいのではないかな、と思う。

なので、今回は一例として「こういうのも理由の一つかも」という形で書き記させてもらった。

 

文化的バックボーン(と言ってしまうとなんだか壮大になってしまうが)から生じる一つ一つの差異が、間接的にまた細かな差異を生み出していって、結果的に違う文化が形成されていくという流れは、なんだかやはり面白い事象だなあと思う。

 

しかし、こういう現場文化というべきなのかストリート性のある文化というのは当事者でないとわからない部分というのが本当に大きいなあと今回の話を聞いていて思った。

意識的に書き記す人間がいない限り、そこに身を置いている人間にしかわからないことが多すぎる。

やはり有識者に聞くのが一番。教えてくれた友人に感謝である。

 

 

あと、これはもっと個人に即した話なのだけど、

友人は割と同担の話しの合いそうな人にチケットを譲りたいと話していて、私は友達以外なら推しが違う人に譲りたいな~と思うことが多くて、まあその理由がグッズの交換出来たらありがたいから…なんだよね、という話をした。

そうしたら友人がジャニーズは基本的にランダムグッズないからその必要ないんだよ…と言われて、これもまた文化の違いか…って新たな発見をしたりした。

(まあこれに関しては推し被りNGとか同担拒否の話も絡んでくるから実際はそんなに簡単な話ではないだろうけど)

 

 

*1:前回の記事の引用だが、こういう様式のこと。

 △△の譲り先を探しています

【日時】○/○

【金額】定価手数料

【座席】□列

【枚数】○枚

#△△譲 #△△ #☆☆(出演者の名前)

*2:前回の記事の引用だが、こういう様式のこと。

【譲渡】

△△ チケット

譲) ○/○ □列 ○連番

求)定価+手数料