ささやかな備忘録

いつか死ぬ日の僕のために

「夢」破れても、また-舞台「RE:VOLVER」の話 その2

前回の続きで、今さら舞台「RE:VOLVER」の話です。

今回は登場人物とか役者さんに関する細かい感想とか印象深い場面などについて書いて締めたいと思う。

 

登場人物と役者さんに関しては、特に主要人物の5人が演技とかキャラクターの作り込みの点で凄く印象的なのと、また長くなりそうなのとで取り敢えず主要の5人の話にとどめようと思う。

 

まず、植田さん演じる聖木。

ガラ悪いのに嫌な感じが全然しなくて、ガキ大将みたいな可愛さも併せ持ってるのが魅力的なキャラクターだな、と思った。

良い意味でも悪い意味でも熱く突っ走ってしまって、自分を見失っちゃう所もあるにはあったけど、その性格だからこそ仲間をぐいぐいもう一度引っ張って集められたんだろうな、と見てて思った。

多分一番仲間思いのキャラクターなんじゃないかな。

元戦国鍋のオタクなのでうえちゃんは可愛いイメージが先行しちゃうけど、吉谷さんが素の植田圭輔を反映した役を作りたいって言ってた気がして、確かに男らしさを強調した感じの役柄だな、と思った。

でも、可愛さも活きてるように思えて、植田圭輔良いとこ取りって感じの役柄だなと思った。

正直、セリフ回しはそこまで…と思うのだけど、表情で魅せる人だなと思うし、上手いなぁと思う。

 

次に、橋本さん演じる伊透。

多分主要人物の中で一番物事を冷静に見られる人、そして、一番優しい人なんじゃないかな~と感じた。

初っぱなは敵として登場するけど、市民のために出来ることをと思って警察になった訳で筋が通ってるし、厳しい言葉を掛けながらも聖木たちのことを気にかけてるし。

でも夢はこのまま捨て去るつもりだったのかもしれないから、そこは聖木と再会して思い出せて良かったって思った。

あと凄く個人的な趣味なんだけど、殺陣の時に衣装の裾がヒラヒラ舞うのが綺麗で好きだった。それと、橋本さんの特徴的な声とはきはきした喋り方が、クールだけど冷たすぎず…といった感じで伊透のイメージに合っていて凄く良かった。

 

次に、山田さん演じる玄汰。

彼は凄く顕著に「弱さ」が描かれてるキャラクターだと思うんだけど、その分自分を持ち直した後の強さ(物理的にも精神的にも)は対比的に本当にカッコ良くて、抹伊たち革命軍へのリーダーシップの取り方含め、良いギャップのある人だな、と思った。

あと割りとクールな立ち回りではあるものの、コミカルなシーンも結構あってそちらのギャップも面白い役だった。

(脱出の例のシーンの日替わりが毎回楽しみだった笑)

殺陣の二刀流も迫力があってすごくカッコ良かった!山田さん、この舞台で初めて知ったんだけど、めちゃくちゃ動ける人だ~~と思った。

 

そして、櫻井さん演じる壬浦。

彼は凄く二面性のあるキャラクターだなーと思った。

一見明るく無邪気に見えて、それ故の残酷さや危うさが見え隠れする部分。仲間大好きーに見えて、実は誰も心からは信頼していないのでは?と思わせるような雰囲気。そういう微妙なバランスが魅力的なキャラクターだな、と思った。

櫻井さんはその辺のバランスをくるくる表情を変えて表現していて、上手いなぁと思った。特に印象的なのは(貝殻を壊された後の)伊透との戦闘で終始笑顔なのに目は笑っていない所。無邪気さとそれ故に簡単に残酷な部分も見せる、というのが良く表れてるように見えた。

この二人で特に印象に残っている場面がもう一つあるのでそれは後述します。

あと殺陣も、他の登場人物と違って色んな小道具を駆使するのが新鮮で面白かったし、くるくる動き回る感じなのも身軽さが活きてて良いな~~と思いながら見てた。序盤の棒に登って脚で敵をホールドしてガン!って倒すの凄く好き。

 

最後に、安西さん演じる阿羅来。

過去の都市海賊メンバーと話している時は表情豊かで楽しそうなのに、現代では無表情で淡々と言葉を述べていく人物になっていて、変わらざるを得なかったんだなと思って少し胸が苦しくなる立ち所の人だと思った。

でも終盤になって、聖木たちと徐々に対峙していく時、彼らへの想いが募ってその淡々さにも変化が出てくるのが良かった。

安西さんはその辺りの細かいセリフの表現が上手いなぁと思った。

 

勿論他の登場人物も、アンサンブルの方々も場を回したりアドリブを盛り込んだり、悪役としての信念を持って生きていたりと欠かせない存在だったんだなぁと思う。

 

さて、長くなってしまったけど最後に印象的な場面を何個か書いて締めようと思う。

 

まずは、終盤、壬浦が伊透に地図を手渡す場面。

壬浦は伊透が仲間に加わることを反対してたけど、結局伊透はそのまま仲間になって、二人が分かり合うシーンは描かれないまま過ぎていき、策間に騙されたことで尚仲間を、特に伊透を信用出来ていないように描かれてると思う。

伊透自身もきっとそれは分かってるけど、貝殻の一件で壬浦の「変わってほしい」部分が見えて静かに見守っているんじゃないかというのもあるし、嫌がる所に敢えて突っ込もうとは思わないからそのまま微妙な関係のまま終盤に進んでいったように思う。(これも伊透が一番優しい人なんじゃないかと思った要因でもある)

そして終盤で玄汰からお前を信じてるって言葉もあってこのシーンに繋がっていって、壬浦がちょっと震えながらも大事な地図をしっかりと伊透の目を見て手渡して、伊透も驚いた顔をしてるけれども彼の思いと共に地図をしっかりと受け取って、ここでやっと二人が絆を取り戻したっていうことの象徴のように見えて凄く好きな場面。

 

 

あと、終盤に突然入る都市海賊がチーム名を決めるために話をしている場面。

これって言ってしまえば下らない話をしていて、でもそれが彼らにはきっと楽しくて……っていう輝かしい青春みたいに見えて、その後に来る阿羅来が再び彼らのために姿を消し、大切な人を2度失って聖木が泣き叫ぶ、絶望的な想いに満ちる場面とのコントラストが凄く切なくて印象に残ってる。

この時の音楽もすごく良かったな。

でもそこで終わりではなく、その後にセンター街の船が動きだし一行は希望を取り戻す…ちゃんと夢を切り捨てないラストになっていたのは、救いがあって、切ないけど清々しい気持ちになれて良かった。

 

すごく長くなってしまったけど、凄く面白い舞台だったんだということが伝われば幸いです。

続編も出来れば見てみたいな~とか。海賊として街を出た都市海賊一行のその後の暮らしとか是非見たいよね。

 

興味のある方は、3/27に円盤が出るので是非買って見てみてね!!主題歌もカッコ良いよ!!