ささやかな備忘録

いつか死ぬ日の僕のために

5年

5年前の数日前、

私はとある劇場で推しを初めて見た。

シリーズのスピンオフ作品で前作を多少チェックして向かったし、原作も知っていたので何となく雰囲気はわかっていたけど、推しのことは殆ど何も知らなかった。

 

当時、前の推しの現場に殆ど行かなくなって暫く経ち、掛け持ちしてたバンドの方をメインで通っていたけど、

観劇は変わらず好きだったので、誘われた作品や気になる作品は観に行っていた。

 

その時に誘われて観劇した作品のひとつが、推しが主演を務める作品だった。

開演して幕が開くと、当時まだ推しではなかった推しは、かなり衝撃的な格好で板の上に立っていた。あまりに衝撃的だったので(作品としては何も間違ってはいないのだが)、今でもその瞬間を鮮明に覚えている。

多分、世の中を探し回っても初めて生で見た推しがその姿だった人にはなかなか出会えない気がする。(のでよくネタにしている)

 

歌とお芝居が交互に展開されていく作品で、初見でもなかなか楽しみながら観ることが出来た。お芝居や日替わりの様子からすごく可愛らしい役者さんだな、と思いながら見ていた。そして時折挟まれる歌を聞き、歌声結構好きかもしれないと思っていた。

作品が終盤に差し掛かると、彼のソロ曲があった。

先ほどまでの可愛い雰囲気とは打って変わってすごく色気のある雰囲気で歌声を響かせていた。私はそのギャップに思わず釘付けになってしまった。変わった、と思った。

そして、聞けば聞くほど好きな歌声だった。ずっと聞いていたかった。

終演する頃にはすっかり彼を気に入ってしまって、会場でDVDを予約して帰った。帰り道にTwitterを探してフォローした。

これが推しとの出会いであった。

 

私は元々知ってからじわじわ好きになっていくことが多いタイプであったが、推しについては初めて見てすぐ「好きだな」と思った。

その後数ヵ月は卒論やら院試やらがあってあまり現場に行けなかったので、合間に円盤を買ったりキャスト館に写真を漁りに行ったりして過ごした。その頃キャスト館にはまだ推しのコーナーはなくて、作品別コーナーを漁ったりした。

 

それが終わると本格的に推しの現場に行き初めて、少し前に友達が丁度よく共演する役者のファンになっていたので、一緒に舞台に通ったりもした。イベントなんかも増えてきたので、ほぼ欠かさず行くようになって、1つの舞台に通う回数も段々増えていった。

 

幸いにも推しは割りと面白い舞台に出てくれることが多いので、作品を観劇するという視点でも楽しみながら通うことが出来ていてとてもありがたい。(勿論中には合わないな、という作品もあったけど確率的には低め)

大好きな作品の大楽で最前ドセンを引けて涙を浮かべながら熱演する推しを近くで眺めたのは良い思い出である。修論終えてハイな状態で当日券買いに行ったら最前でびっくりしながら鋭い殺陣を堪能したこともあった。

あと初めて見た作品のシリーズで、初日が最前だった時に初めて見たときと同じような経験を間近でして、なんとも言えない気持ちになったこともあった。笑

通い始めた頃の客降りのある作品では一般先着でサイドシートの前方をぶん取りステージに戻る直前に振り返ってうちわを見てファンサをくれたこともあった。隣のお姉さんがうちわを褒めてくれて推しが歩いてくるのを教えてくれてすぐうちわに気づいてポーズを取ってくれたこともあった。他にも色々あるけど、どれも忘れられない思い出である。

 

大楽の話で思い出したが、バンドに行ってた頃はあまり遠征はしなかったが、推しの現場に通うようになって、大千秋楽が地方のことも多いのでよく遠征をするようになった。

今まで行ったことない土地に降り立ったことも何度もあった。初めは迷子になりかけた土地も、いつの間にかその地に行くといつも行く店が出来たりもした。不思議なものである。友達と高校ぶりに観光した場所もあった。

遠征で思い出深いのは、病み上がりに夜行で大阪行って辺鄙な場所で3部制のリリイベ見て、夜行で帰ってきてそのまま朝(本当に朝)からトークイベントに行ったこと。発表された時は本当になんでだよって思ったけど、質問コーナーで推しが当ててくれて色紙を渡しに来てくれたので朝から行った甲斐はあった。その時に質問しようとしたらわざわざマイクのコードを引っ張って持ってきてくれたのを覚えている。推し、めちゃくちゃ優しいのだ。

どれも多分推しに出会わなかったらしなかった経験だな、と思う。

 

推しは事務所の方針なのか接触イベントはそこまで多くないのだけど、サイン会だけは毎年開いてくれて、色んな話をしてきた。出てた舞台の話をするのは勿論だけど、生放送で好きって話してたアニメの推しキャラを聞いてすごく盛り上がったこともある(?)

写真集が出た時はお渡し回が短スパンであるのがレアで、「一週間ぶりですね!」というあんまり聞かない言葉を聞いて面白くなったりした。

私は自分から名乗ったことがないけど、何度か足を運ぶうちに、いつも「あ、お久しぶりです!」と言ってくれるようになって、みんなに言ってるんだとは思うけど、それが嬉しかった。最近は接触イベは出来ないけど、オンラインでトーク会やサイン会をしてくれることがあるので、変わらず色々な話をしている。

あと印象的なのは、サイン会の時物を落としてしまった時にすかさず立ち上がろうとしてくれたり、お渡し会で写真を落としてしまった時(落としすぎだろ)スタッフさんが拾ってくれてすみませんと顔を上げたら推しはずっと見守っててくれて、出るまでずっと手を振ってくれていたこと。推し、めちゃくちゃ優しいのだ。(2回目)

 

初めてのバーイベの時はくじが当たって初めてチェキを撮った。物凄く緊張してチェキを受け取って去ろうとしたら待って!と呼び止めて握手してくれた。次の年もくじが当たって、楽屋訪問という名の1:1で今から話してどうぞ!と言われる時間を経験したりもした。始まる前逃げ帰りそうだったけど、推しはイベントで歌っちゃいました、どうでしたか?と恥ずかしそうに話してくれたので、歌、大好きだから嬉しかったですと伝えることが出来た。今のところ一番印象深かった出来事かも?と思う。

FC旅行も行った。事務所の他メンバーとファンで乾杯したりトランプしたりと中々濃い時間を過ごした。自分の描いた怪しい絵を持って何描いてあるかわかるでしょ!?と言いながら歩いていたのを眺めていた場面もあった。わからん。

そういえば誕生日に推しに初めて服をプレゼントしたくて友達連れて悩みに悩んで買ってプレボに入れたら、また数日後にあったイベントで普通に着て登場したこともあった。とても驚いたので、登場した後の記憶が若干曖昧である。その後、その服は他のイベントやスタッフの日常ブログでも何度か登場した。気に入ってくれてとっても嬉しかった。

このように、色んな事を経験しているうちに、5年が経っていた。

思ったより短いかもしれないし、思ったより長かったかもしれない。

 

推しは普段はぽやんと可愛らしい雰囲気の人だけど、役に入ると人が変わったように没入するタイプの役者である。まさに私が初めて見たときにギャップに驚いたように。

見にいく度に新しい一面を見せてくれて、その没入感で観客の感情を引っ張ってくれる、今推しの一番好きなところはそこである。

そして歌。物凄く上手いという訳ではないけれど、繊細なのに芯があって力強く綺麗な歌声が好きだ。最近観た作品で悲しい運命を辿る役をやっていた時、その切ない感じによくハマっていて思わず泣いてしまった。

あとは可愛い調子で喋っているのに突然大胆なことをする所、とにかく優しいところ、殺陣やダンスにキレがあって綺麗なところ、それもみんな推しの大好きなところである。

 

私は永遠に気持ちが変わらないことはないと思っているから、これからも一生好きです!みたいなことは気軽には言えないけど、

今は推しのことずっと見ていたいなと思うし、当分そう思っているんだろうなと考えている。5年間ずっと好きでいさせてくれてありがとう、これからもお願いします、という気持ちである。

 

普段あまり推しのこと書かないけど、節目ということで個人が特定されない程度に書き留めておきたくなった。本人以外なんも面白くない記事だけど、何年後かに見返した時に同じ気持ちでいられたら良いなと思っている。