ささやかな備忘録

いつか死ぬ日の僕のために

仮面ライダーギーツの話をさせてください

仮面ライダーギーツの放送が終わってしまった。

 

特撮のオタクでも出ているキャストのオタクでもなかった私が、

ただ「前に観た高橋悠也さんの舞台すごく面白かったし、狐のデザインカッコいいから」という理由で何となく見始めたのがギーツだった。仮面ライダーを真面目に通して見たことはなかった。

だから、終わるのがこんなにも、こんなにも寂しいほど大好きな作品になるなんて、思ってもみないことだった。最終回、来るな~!と何度思ったことか。終了後のウェブの更新とインスタのキャスト写真を見て泣いてしまうなんて思わなかった。

 

悠也さんの舞台(『ID』*1 )の観劇時に特に印象的だったのが、話の構成の上手さと複雑な設定を自然に話に落とし込んで回収していた所だったのだけど、

ギーツも同じ部分がとても巧みに作られていて、毎回計算外の展開の連続で、次回すら予想できないのに、いざ見てみたらピースが上手くハマって進んでいく物語が本当に面白くて、これをリアルタイムで見られたこと、幸せだったな~と思っている。特にすごく面白いな、と惹かれるようになったのが丁度年末の放送で、実はDGPがオーディエンスに見られているリアリティーショーだった…ということが判明した時だったのを覚えている。今まで見てきた物語が180°違う見え方になるのを一番体感した瞬間だったかなと思う。映画の物語もキャラクターのセリフを1つ1つよく聞いてると細かな設定が繋がっている部分が沢山あって、面白いな…と思う。

 

同時に、"仮面ライダーとオーディエンス"という関係を主軸に据えることで、現代の私達の"リアル"にも重なるテーマを描き出していたのも面白くて、物語の描き方やイベントの見せ方もそれを活かしたある意味"メタ"なものになっているのも面白かった。それが現代社会への賛歌でもあり、警鐘でもあり…という感じになっているのもすごく印象的。それこそ「誰かを応援するという行為はポジティブなパワーがありながら、同時にグロテスクさが付きまとう行為である」という部分において。良く出来ているな~と思う。

悠也さんがラジレンジャーで「僕、わかりやすい正義とか悪が好きじゃなくて」と話されていて、ギーツの正義と悪も、「誰かを応援するという行為はポジティブなパワーがありながら、同時にグロテスクさが付きまとう行為である」「1人の人間には様々な面があり、それを見え隠れさせながら生きているものである」という描き方だったなと思って、それがキャラクターの人間臭さを描き出していたのも魅力だったなと思った。私は何より、例えば感動を呼ぶような綺麗ごとだけではなく、人間が人間らしく生き生きと描かれている、見ていると人の感情がひしひしと伝わってくるような描き方をされている作品が大好きなので、この部分もかなり好みにヒットした部分だったのかもしれない、と思っている。その脚本を受けた、監督さんたちの演出や描き方も素晴らしい。

しかもそういう人間らしい描写で最終的に描きたい軸が「幸福論」だと話されていて、哲学的な命題を、実感を持って描くというやり方めちゃくちゃ好きだな~と思った…。以前『ID』を観た時もこの方、哲学が好きなんだろうな~と思っていたのでやっぱりそうなのかな?という気持ち。人とは何なのか?どうあるべきなのか?みたいな部分にすごく興味があるのかな?と思う。最早悠也さんのオタクになりそうなので、取り敢えずエグゼイドを見るところから始めます(?)

 

そしてそのキャラクターと、それを演じるキャストの方々もすごく魅力的で、それもこんなにも好きな作品になった大きなポイントだった。こんなにメインキャラクターも悪役も、好きだ!って思う事あるんだな…自分の好みに合ったんだろうな~と思う。

(しかも私は舞台のオタクなので、気づいたらゲストキャストが知ってる人だらけになっていて何故!?になった。DGPがある種舞台的な装置だから敢えてのキャスティングなのかな…とは思ってるけど。笑)
前に書いたけど、私が一番好きなキャラクターは吾妻道長だ。令和にこんなに好きなツンデレに出会えると思ってなくてかなり動揺した。しかも頑固で曲がらない信念、滲み出る悪役になり切れない感、黒っぽい服装…好きでしかないよ。私が。

道長くんって、序盤で透くんの幻覚に何で親方の元で働き続けてるんだ?と聞かれて、理由なんて必要か?と返すシーンが私にとってすごく印象的だったんだけど、それは何となく夢とかなくぼんやり生きてる若者だったのかな~と思う節があったからで、それがジャマ神になった後の対チラミで夢を聞かれた時に、(俺に)叶えたい世界なんてない!と叫ぶシーンが重なって見えてしまって。なるほど、失うものも欲しいものもないから自己犠牲でも構わないという考え方になってしまうのかなぁ、運命と進む道が悲しい形で合致してしまった結果なのかな、と思ったのをすごく覚えている。そう考えると実は一番ヒーロー気質なのって彼なのかもなぁと思ったりもした。だからこそ最終話でうまい肉を食う!でやっと自分の幸せのために願ってくれたのが嬉しかったな。ベロバとの何とも言えない関係性も好きだった。 「誰かを応援するという行為はポジティブなパワーがありながら、同時にグロテスクさが付きまとう行為である」の1つの体現でもあったように見えたし。…これ以上道長くんの話をすると、それだけで1万字超えてしまうので、それは別の機会に。

あと、ここで書くのもあれなんだけど、私好きな顔範囲がすごく狭く、推しの俳優ですら顔が好きというわけではないんだけど、杢代和人くんの顔が好きすぎる。何で…今まで誰も教えてくれなかったんですか!?

しかも彼の役との向き合い方もすごく好きだと思った。ヒールに一歩足を突っ込んでいる、けど実際はただ真っ直ぐなだけ…ってすごく立ち位置の難しい役だと思うんだけど、何を考えてこの人はこのように行動したのか、とか、こういう考えだからこの人はこういう態度なんだ、という部分をすごくストイックに考えて役作りしているのが演じている所からもすごく伝わってくるので、とても好きだな…と思った。和人くんに出会わせてくれたという意味でもこの作品には感謝だな~。その辺りの成り行きの詳しいことは以前げんじぶのイベントに行った時に書いたのでご参照ください。

appleringo.hatenablog.com

(丁度8日もFS帰りにフォトエッセイのイベントに行って来て、本人の記憶力に驚きながら帰ってきた所)

元々ギーツのスーツのデザインがカッコいい!と思って見始めた部分があったので、ギーツのスタイリッシュさはすごく好きなんだけど、バッファの重厚感のあるデザインもすごく好き。私はギミックにはあまり詳しくはないんだけど、パワー系のアクションは見ててすごくスカッとする。肩とか足でポイズンチャージする無骨さがとてもカッコいい。最近だと映画のⅩギーツとの戦闘でバーサークローで咄嗟にタイクーンを守って、ブジンソードでの反撃を待つシーンがあるけど、あの共闘がすごく好きだった。あんなにボッコボコにし合ってたのに仲直りして、咄嗟に守れるようになるなんて…という2人の変化が見えたのが嬉しかった。新フォームも楽しみだな~。

 

イベントに行くとキャスト陣の仲良しさが伝わってくるのもすごく好きだな。和人くんが簡くんの天然さの保護者をしながら、横で暴れまわる瑠雅くんにツッコみを入れるというのがお決まりになっているけど、これが本当に見ていて楽しい。かと思うと本人もとんでもないボケをかますのも良い。横で女性陣2人が苦笑いしたりツッコミを入れているのもとても好き。

そう、星乃夢奈ちゃんが番組ブログで書いていたけど、仮面ライダーにそんなに詳しくない私でも女性ライダーって割とカッコいい系だったりスポーティーな女性が変身して戦うイメージがあったので、小柄で可愛らしいお嬢様が変身するのって確かにすごく新鮮だな!と思った。夢奈ちゃんが「小柄でふわふわしてても強くなれるし、戦えるんだ!ということを伝えられて良かった」という話をしていたけど、それってすごく勇気づけられることだな、と思ったりした。どうやっても今の世の中で、可愛い女の子だって強くて良い、自分の力で闘える、みたいなムーヴはすごく大切なものだと思うので、そういう部分も入れ込んでくれているのはすごく嬉しいな、と思った。(スカート殺陣はすごく大変だったのだろうと思うけど…!笑) ツムリちゃんが対照的に"見守る存在"なのも良いなと思う。どちらのヒロインの在り方もすごく大切な存在なんだ~という描かれ方がすごく良いなと思った。

 

そして、私は元々現場通いのオタクなので、どこかに行って何かを見るというのではなく、映像作品を追うというのがすごく苦手なタイプなのだけど、

そんな私に毎週末決まった時間に起きて、決まった時間に何かを見るというとても健康的な生活を一年間続けさせてくれたギーツには感謝である(?)

 

…本編が終わってしまい、FSももうすぐ終わってしまうのが寂しいから、気を紛らわせるために夏映画のイベントを東から西まで色々見に行ったことを備忘として書こうと思ってエントリを立ち上げたんだけど、前置きで作品の話をしていたらそれだけで随分長くなってしまったので、それは次の記事に回そうと思う。

この記事は1つの雑感として置いておこうと思う。

*1:感想はこちらに書いているのでご参考まで。観劇総括【2021年編】 - ささやかな備忘録