ささやかな備忘録

いつか死ぬ日の僕のために

行ったことのある劇場の感想リスト 改訂版

以前、観劇歴のある劇場に関する感想リストを書いたが、未だにたまにアクセスがあるようなので

ここ2年で訪れたことのある劇場も増えたし、以前は数回しか訪れたことがなかったけど推しが立ったことで通った劇場もあるので、今回はそれらの見え方などの感想を+した記事を改訂版として書いてみようかな、と思う。

(最近かの東京建物ブリリアホールに改修工事が入るというニュースを目にして思い出したのもある。)

 

以前の記事は以下の通り。

appleringo.hatenablog.com

appleringo.hatenablog.com

上の記事で触れている劇場については、追記事項がある場合だけ取り上げて、その他は割愛することとする。

以前と同様に五十音順です。

 

◆あ行

浅草九劇

浅草にある小さな劇場。私が行ったのはリニューアル後だった模様。大きく劇場名の書かれた雰囲気のある建物が素敵だけど、駅からそれなりに歩くので、迷う人は多分迷う。私も友達に招待してもらった公演で連れて行ってもらったから無事だったけど、一人だったら多分迷うと思う。笑

座席は可動式のようで、私が観た作品はセンターステージで3方向に座席が数列ずつ、というような構成だった。1列1列の段差が高く、かつ1つの部屋の中での出来事を描いた作品だったので、丁度部屋の中を上から見下ろすような感じで面白かった。狭い劇場なので、段差の高さの割にこじんまりとした印象を受けるのも面白い。

ただ列ごとの間隔がすごく狭いので、通り抜けるのが大変だった。これは座席の構成によるのかもだけど、劇場が狭いので仕方がないのかも。

 

朝日生命ホール

大阪・淀屋橋にある劇場と言うよりザ・多目的ホールという感じの会場。かなり昔からあるホールらしく、ロビーにも座席にもかなり古さを感じたし、照明の感じも何だか古い。後ろの方はちょっと傾斜があるけど、見やすくはない。前の方はフラットでもっと見辛そうな感じだった。あまり褒める所がない…。

開催の1週間くらい前に急に他俳優がここでやるイベントに推しがゲストで出るよ!と告知されて急いで新幹線手配した思い出。たまたま予定空いてて助かったけど、急すぎる。

 

梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

界隈でも良く使用されるホールだと思うが、去年初めて行った。(千秋楽だけ観て帰ったので1回だけだけど)

前方ブロックのやや後ろの通路席だったんだけど、しっかりと段差があるのにステージとの距離をすごく近く感じて、とても観やすかった。舞台上の奥行きもしっかりと感じられるから演技のメリハリ的なものもよく感じられた。歌ありの作品だったけど音響も悪くなかったかなと思う。

 

◆か行

紀伊国屋ホール

以前の記事でも書いたけど、ハイパー虚無を観た会場だったためにほぼ記憶から抹消されていたが、一昨年推しが立ったことで前から後ろまで様々な席に座ったので、改めて書き留めておきたい。また、去年の改装後にも訪れる機会があったので、変わった点なども合わせて書いておく。

推しの出演作品の公演があった際はA列潰し、連番以外1席空けだったので今とは違うかもしれないが、ステージがこんじまりとしているので、最前列(当時はB列)に座るとかなり臨場感があった。また、マイクなしがデフォの劇場なので、肉声の響きを感じられるので声の演技に集中して観劇出来るのが嬉しいなぁと思った。(勿論作品によってはマイク使用することもあるとは思うけど)

座席としては傾斜も緩いし千鳥になってないから前の人に被って見辛さはあった。あと改装前は座席が低くて沈むから長時間座るのは結構キツかった。(座布団が配られてた)縦長なので後方は劇場の大きさの割に遠いな~と感じてしまったけど、全体を見るのには観やすかったかも。

改装後は座席が千鳥配置になったので前方もちょっと見やすくなった。(傾斜がないので被ってしまう部分は勿論あるけど)そして座席が程よい硬さで沈まない椅子にリニューアルしたので、休憩なしでも疲れないし、本当に座り心地が良くなって嬉しい。良い改修だった。

 

◆さ行

サンケイホールブリーゼ

以前の記事を書いた時は最前と2階席しか座ったことなかったんだけど(極端)、この2年で中方に入る機会もあったので追記。ブリーゼはF列から段差ありなんだけど、E列前に謎に幅があるので、E列に座った時は前の人被るには被るけどステージ高いしそこまで気にならなかった。それより後ろのF~I列辺りのセンブロに座った時は段差があるのに、千鳥配置じゃないからかちょっと背の高い人が前に来ると全然見えなくなってしまって微妙だった。

あとプレミアムシートという名前で端から2番めの席が来てお前はプレミアムを名乗るなと思ったけど、座ったら前述のセンブロよりずっと見やすくてなんと…という気持ちになった。

最前列はステージが高いので見上げる感じになるけど、すごく臨場感がある。

 

Theater Mixa

サンシャイン通りにオープンした複合施設の中にある劇場。本当はこけら落としで行く予定だったけどコロナ禍で中止になり、最近初めて足を運んだ。

ぎゅっとコンパクトな劇場だけど座席が変わっていて、座ると少し後傾気味の姿勢になり、背もたれに頭まですっぽり隠れるような形になるので、前の人の頭が邪魔ということが殆どなく、かなり見やすい。背もたれが若干硬めなので長時間座ると背中が痛くなる所はある。

初めて行った時は1階後方だったけどステージの端から端までよく見えた。A列1番だった時はまさかの補助椅子でエッ!?と思ったけど見切れることも首が死ぬこともなく快適に見られたし、前方数列目でも前の人で見えない!というストレスのない良い劇場だと思う。

ただ複合施設なので、他のフロアでライブとかをやってると音漏れするようで、朗読劇の静かなターンで絶妙にうるさいみたいな瞬間があったので、そこは改善してほしい。

 

新国立劇場 中劇場

ミュージカルを観に1度だけ行った。2階席の最前列だったので1階席のことはわからないけど、2階席は1階に被る感じの配置なので、遠くないし丁度高さのあるセットの上での演技もあったので、全体を見渡せる感じで見やすかった。オーケストラピットのある公演だったので、2階からだと演奏しているのも見られて面白い。

会場が円形になってて青山円形劇場を思い出す。

 

品川プリンスホテル ステラボール

以前の記事の時は「推しが立ったことがないからあまり行ったことがない」と書いていたけど、この2年で推しが何作品か立ったのもあり、好きなシリーズが急にこの劇場での公演になったこともあり、格段に行く機会が増えたので追記。

横広いし前方のフラットが地獄、且つ公演によって座席配置が変わるので予想が立てづらいと聞いていたので心配していたけど、ステージが結構高いのでフラットの2~4列目でもそこまで見づらいということはなかった。殺陣が多い作品だったりすると最前列はすごく迫力があって見応えがある。ただしセットも高く、ダイナミックな流れに重きを置いた作品だったというのも大きいかも。寝転がるシーンや表情の芝居メインの作品だと辛いかもしれない…。

あと横に広いことの弊害なんだけど、作品によっては前方のステージを外れた機材の前までプレミアムシートで販売したりするので、高いお金出してるのに首が死ぬし見辛いみたいなことが結構起こる。お前はプレミアムシートを名乗るな。なので、私はフラットで見辛いよりも時折首が死ぬっていう印象が強いかも。でも、横に広い分打点が高いので、サイドチェンジがサクセスしやすいっていう利点はある。

でもやっぱり2階席が一番見やすいね…特に今は客席演出も殆どなくてステージが見られれば良いというのがあるので特に。

余談だけど、今月(8月)末で近隣のアンナミラーズが閉店ということで、良くマチソワ間やソワレ後にお茶やご飯をした思い出があるので寂しいところである。つばめグリルしか勝たんになってしまう。

 

◆た行

天王洲 銀河劇場

以前の記事のを書いた時点だと推しが立ったことがない劇場だったので、数回しか行ったことがなかったけど、去年から今年にかけて推しが立つことが多く、主演の作品もあったのでかなり通い詰めて思い入れのある劇場の1つになった。

~H列くらいまで色んな席に入ったけど、D列まではフラットだし、E列以降も数列は段差が緩やかなので、寝転ぶ芝居の時は場所によってはマジで見えない。今はA列は潰しているとはいえ、C列はまだ見えるけど、D列はかなり悲劇。(1回だけ入ってもう入るまいと思った。)  H~J列くらいはかなりストレスなく全体を見渡せるので、観劇という観点だとこの辺が一番向いている席かと思う。

今はB列が最前列だけど、ステージがやや高めなのでB列からでもステージ前方で俯いたキャストの表情とかまで良く見ることが出来てすごく良い。最前センターはかなり快適。この劇場ではたまたま殺陣とかの動きがある作品よりも、細かい心理描写とか関係性に重きを置いた作品を観ることが多いんだけど、表情をじっくり見やすいからそういう作品に向いてるかも、とか思った。

前方のサイドブロックも入ったけど、端に近い席でも首が死ぬとか見辛いとかは特になくて、サイドでも見やすい良い劇場だなぁと思った。斜めから見るからフラット席だとセンブロより逆に見やすいということもあったりした。

あと所謂サイドシートも最前列だけ座ったことがあって、ステージのセットに左右されるとは思うけど、見切れる所がほとんどなくてかなり見やすかったので驚いた。見えないかも…と思ってた自分側のステージ上部の捌け口での演技もよく見えて安心。その時がライブパート有りの舞台で、丁度曲中で推しの立ち位置付近のサイドだったので、真っ先にうちわ見つけてファンサしてくれてすごく良い思い出になった。そういうのが分かってる場合だとかなり美味しい席だと思う。

最近あまり2階席は入ってないけど、2階も全体を見渡すのにはめちゃくちゃ良い席。

余談だけど、推しは前から銀劇を憧れの劇場として挙げていて、銀劇に立つことが出来て、且つ主演として真ん中に立てたことをすごく嬉しいと語っていて、私もすごく思い入れのある劇場になったので、とても嬉しかった。

 

◆な行

ニッショーホール(旧ヤクルトホール)

以前の記事の通り、旧ニッショーには行ったことあったんだけど、いつの間にか知らないホールがニッショーホールを名乗っていた。最近イベントで行く用事があって調べたら、全く違う所にあって驚いた。日本消防会館が建替えで閉館したので代わりにヤクルトホールが名前を変えて一時的にニッショーホールとして運営しているということらしいが、HPにちょこっと書いてあるだけなので、知らずに旧ニッショーに向かってしまうなんてこともありそう…。

そんな新ニッショー(仮)は、ステージ中央に取り外し不可の謎の花道がある。花道を使う公演なんて限られてるし、邪魔になることの方が多そう…。私が行った時は(多分フラットで見辛いからだと思うが)花道の周りには客を入れておらず、他のホールだと前方の良席になる部分がかなり削られていて前方はサイドしかないので、前で見たい人には辛い会場かも。私が行った時は丁度花道正面の段差席で、段差も付いてて前の人との被りもあまり気にならなかったので、一番見やすいのはその辺だろうなと思った。

 

日本橋公会堂

水天宮前付近にあるこじんまりとしたホール。開館から20数年経つのでロビーはやや古い印象を受けるけど、建物はすごく立派だし、会場内は恐らく改修などしていると思うので、内装も座席もすごく綺麗。

私が行った時はイベントで1席空け且つ2列目だったので、見やすさの良し悪しを判断できないのだけど、ステージがそれなりに高くて2列目以降傾斜があったので真ん中あたりで人が入っても結構見えると思う。歌舞伎の公演をやることもあるようで、花道が作れるようにもなっているらしい。まあこちらの界隈の舞台ではあまり使用しない会場だとは思う。

余談だけど、明治座まで歩いて10分ちょっとで行ける。

 

◆は行

ぴあアリーナMM

劇場でもホールでもないんだけど、この界隈のライブイベントでよく使われる会場なので取り上げておこうと思う。2020年に出来たばかりの大型音楽アリーナ。東京・神奈川には他にも音楽系の箱が沢山あるけど、微妙にキャパが小さかったり音響・照明が舞台作品向けでないことも多く、ぴあアリは2.5次元系舞台のライブイベントですごく重宝されているんだと思う。

1万人規模なので、普段劇場やライブハウスに慣れ親しんでると入った時やっぱりシンプルに「デカ」と思う。アリーナは所謂アリーナなので後ろの方は埋もれて見辛いとは思うけど、そこはもうどこの会場も同じなので仕方がない。大きな花道が組まれることも多いので、当たり席は結構前から後ろまであると思う。花道の横の席だった時は最高だった。

2階席は上の方でもそこまで遠くなく、そこまで上から見下ろす感じにはならないので逆に細かなパフォーマンスとかはかなり見やすいと思う。音の跳ね返りも少ないし、台詞もくっきり聞こえるので音響も悪くないと思う。3階4階は入ったことないのでわからない…すみません。

 

一ツ橋ホール

ザ・多目的ホール その2。ロビーはそんな感じしないけど、入るとめちゃくちゃ広くて結構驚く(802席)。

座席は、前数列はフラットで、その後ろは一応傾斜が付いてるけどかなり緩やかなので、真ん中あたりの席でも前の人に被ってステージ下部がかなり隠れてしまう。行ったのがトークイベントだったので、キャストが座ってたりするとかなり見えなくて辛かった。

 

◆ま行

明治座

幾度の建替えを経ている、歴史ある劇場。(今調べたらめちゃくちゃ焼失していて驚いた。)入り口・ロビー・会場内も重圧感があって観劇に来た!感をとても感じられてワクワクする劇場。ただ5列目まではフラットで舞台もそこまで高くないので、かなり被ってしまうので場所によっては結構見辛い。でも客席と舞台が近いのでステージの後方のキャストの表情もじっくり見られるのは嬉しいかな。椅子も長時間座ってもそこまで疲れないので悪くない。10列目くらいだと傾斜があるし、遠くもないので見やすいと思う。私は主に年末恒例のアレ*1で行ったんだけど、前方だけでなく、10列目くらいもうちわもめちゃくちゃ見つけてもらえたので嬉しかった。

2階席は一回しか入ったことなくて、確か左?に入ったんだけど、S席だったのに舞台袖寄りが酷いくらい見切れてて、お前はS席を名乗るな。舞台にすごく近くはあるので、推しがうちわ見つけてくれて嬉しかったくらいしか良いことなかった。

あと、フライングのセットがあるので、色んな人が飛ぶので楽しい。鳩とか。

 

◆や行

よみうり大手町ホール

読売新聞ビルにあるホール。出来てから10年も立っていないので、ロビーも劇場内もすごく綺麗で明るい。劇場の壁が木が編まれたような独特の模様になっていて、印象に残っている。4列目から段差があるんだけど緩やかだし、ステージが低めなので前方は前の人の頭がちょっと被る。あと10列目くらいでも意外とステージが遠いなぁという印象を持った。(段差がつくから見やすくはある。)

ロビーは広いので、のんびりしやすいし、退場もエスカレーター1本道の割にスムーズだった。観劇するという観点だとこれといった特筆点はないけど、悪くはないかな~という印象の劇場。

余談だけど、周りがオフィス街なので、土日マチソワ間とかにお茶しようとか思うと店が割とやってない。友達と二人で彷徨った果てに近隣のチョコレート屋さんでチョコドリンク飲んだ。

 

よみうりホール

ビックカメラの上に急に現れる劇場。上述のよみうり大手町ホールとは打って変わって50年以上の歴史のあるホール。古いけど綺麗にしてあるし、椅子も悪くなかったので、居心地は悪くなかった。客席が丸く、2階席が1階席と地続きになっていて2階席の左・右の最前列は、1階の最前列とほぼ同じ位置…という面白い形になっている。

私が座ったのはH~J列というほぼ真ん中列のセンブロ且つ1席空けだったので、傾斜もあってすごく見やすかった。丸い客席に合わせてステージも上下が少し客席側に湾曲してるんだけど、ショークラブが舞台の作品だったので、ショーパートで客席を煽るのに上下に広がれるから丁度良さそうだった。笑

 

大体こんな感じかな?こうして振り返ってみると、自粛期間もあったのに結構色々な劇場に訪れる機会があったんだな~としみじみ思った。あと、運営のプレミアムシートとS席判定甘いのだけはやっぱりどうにかしてほしい…。

もし数年後に訪れた場所が沢山増えたら、また書き留めたいなと思う。

*1:る・のアレ

私が読んでほしい漫画を紹介するだけの記事

私は漫画を読むのが好きだが、何故なのか好みが少しマイナーな作品に集中しているらしく、漫画が好きな友人にさえ「○○の好きな漫画は知らないものが多い…」と言われたことがある。勿論その友人がたまたま知らない作品が多かったのもあるかもしれないが、他の友人にも「知らない」と言われることが度々あり、面白いのに勿体無いな、と思うことが度々ある。

好みは人それぞれなので押し付けるつもりはないが、折角だから知らない人にも読んでほしいなぁと思う気持ちはあるので、今回ただただ私の好きな漫画をいくつか紹介するだけの記事を書くことにした。本当に私の漫画をただただ紹介するので、もし興味を持った作品があったら是非読んでみてほしいです。私が喜ぶ(?)

私はBLやGLと冠された作品も読むけど、今回はより広く読んでもらえそうな一般向けの(一般向けという言葉もどうなんだとは思うけど)作品に絞って紹介したいと思う。

※もしかするとマイナーという表現にむむっと思う方もいるかもしれないけど、世間的に相当知られているメジャー作品の単なる対義語として捉えていただければと思います。

 

○このかけがえのない地獄/アッチあい

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表題の作品を含む5篇の作品からなる短編集。メインになる登場人物はだいたい女の子なんだけど、表情一つひとつにその子の人となりが現れていてすごく魅力的だし、絵柄もすごく可愛い。(私も表紙の絵に惹かれて手にとった部分が大きい。)

だけど全員が全員とてもくせ者。

お話自体も、日常にありそうな話だったり、ホラー風味だったり、ラブコメだったりとバラエティに富んでいるけど、その全てが所謂「こういう話ってこうだよね」の軸から外れて"捻くれて"いて、それを回していく女の子たちもその分くせ者揃いでぶっ飛んでおり、良い意味で裏切られるのがすごく面白いな、と思った。しかも上に書いたとおりすごく可愛い絵柄でそれをやってのけるので、そのギャップも魅力的。最近割とあるショッキングな話を可愛い絵でやる~というのとは全く違って、可愛い絵柄がちょっと捻くれた話に融合しているというか、だからこそ盛り上がっているような部分が強い作品だな、と思った。(逆に男の子の登場人物は主人公含めて割とみんな「フツー」っぽくて、女の子に巻き込まれて染まっていくのも面白い。ある意味ファム・ファタル的な?)

私が一番好きなのは表題作の「このかけがえのない地獄」。敢えて一言で表すとするなら、「現実の中で考えうる一番のメタ魔法少女」的な話なんだけど、そのメタな部分が(かなり物理的なのに)まるで"魔法"のように働いて事件の解決や主人公の自信に繋がっていくのが暖かいな、と思う。

この作者さんは今、人間になりたい猫と結婚する男の子のラブコメ「愛しの国玉」を連載されていて、こちらも大分捻くれているけど、可愛くて優しくてちょっと切なくて、色んな感情になれる話でおすすめ。無料で読める話もあるので是非。

comic-walker.com

 

○グリーンフィンガーズの箱庭/穂坂きなみ

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マトグロッソというWebメディアで連載中の作品。アルバイト先の閉店に伴い、新しいアルバイトを店長に紹介される大学生の旭。そのアルバイトは植物学者の草薙先生の膨大な研究対象の植物の世話をする手伝い。しかし、その先生の屋敷に向かう途中で何故か何度も森の中で迷子になってしまう旭。なんとか辿り着くものの、その先生は"変わった"体質で……というのが物語の導入。どう"変わって"いるのかは敢えて振れないけど、表紙を見て察する方もいるのではないかと思う。

基本的には旭くんと草薙先生+ゲストキャラで架空の植物にまつわる物語が展開されていくのだけど、この架空の植物の設定が凝りに凝っていて、どれもファンタジーな性質を付与されているのにもしかすると現実に存在するのではないか…と思わせられるのが面白い。(実は旭くんが迷ったのも架空の植物が関係していたり。)ゲストキャラは割とみんな初めは何かを隠した部分を持った様子で描かれていて、この架空の植物の性質を草薙先生が説明することで謎解きがされていくので、日常的ファンタジーに加えてミステリーも楽しむことが出来る。しかも、その謎を解き明かされたキャラクターの心情描写がすごく丁寧で、少し切ない話も多いのでその分グッと来る箇所も多く、全体的に色んな要素がバランス良くまとまっていて、一粒で二度も三度も美味しい、贅沢な作品だな、と思う。

私が特に好きなのは第2話。旭の元アルバイト先の店長のおばあちゃんと草薙先生の関係や、彼が店長に渡した"ある植物"の種の話がメインになるのだけど、その種にまつわる店長の過去の話がとても切なくていじらしくて、台詞の一つひとつがとても美しいな~と感じてすごく好き。「エス」的な百合が好きな方には是非読んでほしいお話。(単行本の描き下ろしも合わせて読んでほしい。)

この作品は現在1巻が単行本で販売されているのだけど、植物図鑑のような表紙絵に合わせてさらっとした質感の紙がカバーに選ばれていて、帯もゴールドプリントで高級感があり、本当に植物図鑑みたいで装丁に拘りが感じられるのも好きポイントのひとつ。勿論Webでも読めるし、絶賛連載中なので、興味があればこちらから是非。

matogrosso.jp

 

○えびがわ町の妖怪カフェ/上田信舟

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元々「女神異聞録ペルソナ」のコミカライズで好きになって、オリジナル作品中心にずっと読んでいる作者さんの作品。上田先生はコミカライズも含めオカルト要素が強い作品が多く、現実が段々侵食されていくサスペンスであったり、オカルト・ファンタジーであったりとおどろおどろしさのある作品が多い。でもこの作品はオカルト要素はありつつ暖かい日常が舞台の作品なので、始まった時にこういう作品も描かれるんだ!?と驚いたが、読んだらすごく面白くて、お気に入りの作品の一つになった。

主人公のまな(小学3年生)は幽霊や妖怪が見えてしまう体質であり、それに起因して両親と少し折り合いが悪く、夏休みの間だけ岐阜の親戚に預けられることになる。その親戚・佐吉おじさんは、気難しそうな雰囲気だけど実は妖怪ばかりが訪れるカフェを営んでおり、妖怪の見えるまなは様々な妖怪と触れ合うことで様々なことを学び、成長していく…という話。

描かれる妖怪たちは可愛らしく愛嬌のあるキャラクターが多く、まなとの触れ合いで彼らの「食べたいもの」の願いが明らかになり、それをおじさんの料理で叶えていくことがメインの話になるのだけど、この料理が本当に美味しそうに描かれていて、作中で軽く作り方も紹介されているので思わず作りたくなっちゃう。上田先生、こんなに料理描写に長けた方だったなんて…と驚いたのを覚えている。また、それを通して妖怪たちの優しい思いや切ない過去が語られたり、同時に佐吉おじさんの過去が明かされていったりと、少ししんみりしつつ暖かな気持ちになれる所もすごく好きな点である。

岐阜での生活を通して最後にまなが両親との関係をどう変えていくのか、また気難しそうだった佐吉おじさんがまなとの暮らしでどのように変わっていくのかにも是非注目して読んでほしい。

この作品はすでに全6巻で完結済み。出版社のページなどで冒頭が読めるようなので、興味があれば是非試し読みを。(ちなみに作者さんは現在聖闘士星矢のスピンオフを連載している。)

www.hakusensha.co.jp

 

○サラウンド/紺津名子

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トーチwebというwebメディアで連載中の作品。確かツイッターで見かけたのが切っ掛けで読んでみたら面白くて、単行本が出たら購入している作品。(ツイッターでの漫画との出会いって今の時代すごく重要だな、と思う。)

一言で説明するなら「戸田・田島・山口の仲良し男子高校生3人組の日常」という簡素な説明になってしまうのだけど、作者さんはこの"日常"の切り取り方がすごく上手で、彼らの会話や動作など、本当に何気なくて、世界のそこかしこで行われていそうなやり取りなのに、すごく輝いて見える。逆に世界のそこかしこにありそうな雰囲気を非常に"自然に"切り出しているからこそ、自分が高校生だった頃は気づかなかった何気ない日常の温かさとかきらめきがグッと伝わってきて、すごく愛しくなる、そんな作品だなと思う。

日常描写がメインなので必然的に会話劇が多いのだけど、今思うと独特な言い回しとか話し方とかが出てきても「あ~男子高校生ってこういう感じなの、わかる!」と思わず頷いてしまう部分もあったり。"日常"なので必然的に恋の話も出てくるのだけど、ラブコメではないのでダイナミックな進展はなく、少しずつ話す描写が増えたり、心理描写が増えたりと本当に日常で起こっていく気持ちの変化を繊細に拾っているのも、他の漫画だとなかなか読めない描写なので好きポイント。私は山口くんが一番好きなのだけど、彼がちょっと気になる女の子との話が少しずつ膨らんできていて、続きがすごく気になっている。

また、メインは男子高校生3人組だけど、彼らのひとつ下の学年の妹や幼馴染の女の子たちの仲良し3人組の話も時々描かれていて、彼女たちの"日常"もとても可愛くて友達思いで愛しいので、すごく好き。私の推しキャラはみどりちゃんです。

今は単行本が2巻まで出ているのだけど、キャラクターが巻数を支える背表紙、何気ない会話とチャイムで埋まる"高校"を視覚化したような裏表紙、薄紙の扉絵など、細かな部分に作品の雰囲気を感じられる丁寧な装丁もすごく素敵だと思う。

コミックス収録分は基本的には非公開になっているけど、序盤はWebでも読めるようなので、是非。

to-ti.in

 

○スーパーベイビー/丸顔めめ

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コミックトレイルというwebメディアで連載中の作品。九州から上京し、町田のショッピングセンターのギャル服店で働く黒ギャルの玉緒。ある日苦手な鳥に襲われた所を(結果的に)助けてくれた下のスーパーで働く地味な作家志望の山田楽丸に助けられ、一目惚れし、猛アタックを始める。初めは「ギャルに追われてる」と怖がる楽丸だけど、良いと思ったもの・すごいと思ったことを素直に褒め、嫌なことをしてしまったと気づいたらきちんと謝れる玉緒の素直さに惹かれて自分からも告白をし、カップルになる。

その後はこの二人の恋模様が描かれていくのだけど、初めは玉緒の親友・さわちゃんが作中で触れるくらい見た目的に「ちぐはぐ」に見える二人。だけど真面目に真摯に玉緒と向き合う楽丸と彼の言葉や行動を優しく迎え入れる玉緒は、意外にも"ぴったり"合っていって、描かれているその過程がすごく愛おしくて好き。物語の中で楽丸の将来の不安や玉緒の過去のトラウマなども描かれるのだけど、それをお互いに今まで生きてきた環境が違うからこそ出てくる言葉を投げかけることで救うというか、解決に導いていく描写がある。この点にはただちぐはぐな恋愛劇ではない温かさがあって、自分と違うからこそ新しい視点を共有出来て、前に進めることもあるんだなぁと改めて気付かされる思いだったりした。

玉緒はギャルらしい独特の語調で喋るのが可愛いんだけど、その中でも楽丸のことを「らくぴ」と呼ぶのが一番可愛くて好き。今単行本は4巻まで発売中で、Webメディアなので例のごとく冒頭はWebで読むことが出来るので、気になったら是非。

comic-trail.com

 

 

 

○ぼくのワンピース/山田睦月(原作:菅野彰)
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漫画雑誌「Wings」で連載されていた作品。私はWingsを購読しているので1話から本誌で読んでいたんだけど、初めて読んだ時から本当に「面白い!」と思った作品だった。

心理学科の大学生・等は「女になりたいわけでも男が好きなわけでもない、だけどただ綺麗なワンピースを着たい」とずっと思っており、うっかりワンピースを手に取った所をクラスメイトの真人に見られてしまう。動揺して倒れそうな等を家で休ませた真人は

「自分は定められたジェンダー規範にどれも当てはまらない、俺は一体何者なんだろう」と問う等に「着たいなら着ればいい、おまえはおまえだろう」と答え、姉のワンピースを等に着させてくれる。それから度々等は真人の部屋でワンピースを着させてもらい、交流を深める中で、達観した真人の言葉を受けて他者と違う自分を認められない"迷子"な自分と少しずつ向き合っていく。他にも様々な形で"迷子"な人物が登場し、彼らもまた真人、そして等との交流の中で自分を認めていく…というのが本筋のお話。しかし真人のその達観した性格にも実は理由があり…それ故に冒頭は衝撃的な場面から始まるのだけど、敢えて触れないので、是非読んで確かめてほしいと思う。

「自分が何なのかわからない」「人と違うのが怖いから、何とか名前をつけて型にはめたい」という等の思いは、現実でも無意識のうちに抱えている人の多い願望なのではないかと思う。この作品はそんな願望に対して真っ直ぐで、嘘のない真人の言葉で「自分は自分で良いだろ」というのを語りかけてくる作品だなと思う。そしてその語りかけを受けて少しだけ歩みを進めた等が、今度は他の人に語りかけて少しだけ相手の背中を押す場面もあり、真人の言葉がすごく真に迫るものであるということも間接的に上手く描かれている。また、ジェンダーアイデンティティに関することから世間体裁、名前、文化など本当に様々な意味で"迷子"な登場人物が悩み、自分と向き合うシーンが出てくるので、是非現代を生きる人に広く読んでほしい作品だと思う。

哲学的な問答も多く、流れるような台詞もすごく美しいので、注目してほしいポイント。上下巻で完結済みだけど、公式サイトで試し読みが出来るようなので是非。同じ作家さんのコンビの「デコトラの夜」もおすすめ。

www.shinshokan.co.jp

 

以上、6作品紹介させていただいたけど、版元や内容的にはバラエティに富んでいても、基本的にはダイナミックさやアツさよりも、じっくりと丁寧に物事が進んでいく様が描いていたり、心の動きや気持ちの変化を細かく詳細に捉えて丁寧に描いていたりする作品が好きなんだな、と改めて実感した。(舞台観劇の時なども、迫力のある殺陣を見るのも好きだけど、心理描写が丁寧な作品だとより一層嬉しいと思うので、漫画に限ったことではないのかもしれない。)

あと私は和山やま先生の作品も大好きなので「女の園の星」とかも入れたかったけど、和山先生の漫画は今やマイナー作品ではないので今回は割愛した。

 

気になる作品があったら是非読んでみて、感想を教えてほしいです。(強欲)

推しがギター弾いたから死ぬ(かと思った) ードラマチックライブステージ「アイドルマスター sideM」感想など

3月末日、私にとって一大事件が起きた。

事の顛末は下の記事に書いたとおりである。

 

appleringo.hatenablog.com

要約すると、昔ず~っとギタリスト本命だった元ギャ*1の私は、好きな人がギターを弾いている姿を見るのが大好きだ。そんな私の大好きな推しがついにギターを担当しているキャラクターを舞台で演じることになり、ギターを持ったビジュアルが発表されて信じられない気持ちで写真を見返しながら、ギター弾くのかな…いや流石に…とドキドキしながら初日を待っていた、という話である。

 

それから3ヶ月が経ち、その舞台は初日を迎え、先日無事に幕を下ろした。

上の記事では作品もキャラクターも全部伏せて書いていたから、観劇後の感想を書くかどうかはすごく悩んだのだけど、夢みたいなことが起きたのだから折角だから書き記しておこう、見返したときに良い思い出になるもんだと思って、筆を執ることにした。

察している方もいるかもしれないが、その舞台とはドラマチックライブステージ「アイドルマスターsideM」、略称"サイステ"である。そして、私の推しが演じていたのは、High×Jokerのギター担当・秋山隼人である。

私は舞台の感想を書くときにはなるべく中立的な立場で書きたいので、敢えて推しが誰であるのかを明記しないようにしているのだけど、今回ばかりはどうあがいてもそこを明かさない限りは話にならない。というか明かさなくてもバレてる。もはや即バレ。だけどここで本人の名前を明記するのは照れるので、ひとまず秋山隼人くんを演じた役者、としておく。

 

というわけで、この記事は舞台と役者のオタクから見た"サイステ"の感想諸々と、"ギターを持った推し"に対して溢れた感情諸々を書き留めた記事である。私は中高生の頃に電撃の某雑誌を愛読していたので、アイドルマスターの情報はxbox時代まではなんとなく把握している(のでJupiterはギリ知ってる)が、その後のことは殆ど知らない状態だった。幸いにも今回一緒に通ってくれた共演者のオタクが原作のファンだったので色々教えてもらったり、アニメを履修してから舞台に通った。ピエールちゃんかわいい。

とはいえ詳しいわけではないし、私は舞台ファン側の人間なので、この感想も原作のファンの方の意には沿わない部分もあるかもしれない。そこはあくまで舞台と俳優のオタクから見た感想ということでご理解いただければと思う。

 

**********

サイステは稽古期間から役者陣が稽古場の様子や写真をツイッターなどで頻繁に呟いてくれていたので、ワイワイ話しながらつくっている感じがアイドルものって感じで楽しそうで良いな~と見ていたんだけど、その中に「ハイジョにはバンド練がある」という呟きがあり、バンド…練…??とひとりザワザワするなどしていた。練習…がある…ということは?

 

初日だけ2階席だったので立ち位置確認するぞ~という気持ちで開演を待っていて、始まったら急に社長のBIG VOICEが響いたのでびっくりしたが、作品そのものの”熱さ”は伝わってくるし、説明が入ったことで初見の人でも世界観を分かってから観劇出来るのはありがたいな~と思った。

ドラマパートは駆け足な部分もあり、かなりシンプルな作りで登場人物のセリフ感が強かったこと、自分が最近かなり演劇らしい演劇を続けて観ていたこともあって、初日はちょっと物足りないな~……と思ってしまう部分はあった。でも、その辺りは日を重ねるごとに、キャストさんたちの肩の力が抜けてきた感があったので、登場人物一人ひとりの個性も自然に感じ取れるようになり、それを受けてこの関係性があるんだな~とか、ここでこういう会話をするんだな~という人物同士の細かい関係性を見て楽しめるようになった。(この辺の感想は後で詳しく書くことにする。それと、やっぱり近くで表情見る方が入り込める。) あと、この作品はそもそもアイドルのキラキラを浴びて、応援して、楽しむものだな!!と気づきを得たことですごく楽しくなった。

初日のドラマパートで一番頭に残っているのはやっぱり序盤のハイジョのライブシーンなのだけど、アンプがないので当て振りなんだな~流石にそりゃあ弾きながら歌ったり踊ったりプロでも難しいわ…と思ったものの、スミスのソロをコピーする時にかなりきっちり弦を押さえているのが見えたので、頭にたくさん???が浮かんでいた。

通常、当て振りだと大体それっぽく見えるように押さえる~というのが主流だと思うので、スライドなんかも忠実にやっているように見えてポカンとしてしまった。当て振りなのに、推しがめちゃめちゃギターを弾いている?

話は進みライブパートになりC.FIRSTはダンスが凝っててカッコいい~!ドラスタは王道の明るさで心が躍る!やっぱりアイドル作品はライブパートが楽しいな~とか考えていたらハイジョの番になった。

ハイジョのライブシーンでの私の視線は完全に隼人くんのギターにロックオンしていた。楽しげにステップを踏みながらギターを手に持った推しは、やはり忠実に弦を押さえているように見えた。楽しそうにギターを弾いている推しを見ていたら、なんだか胸がいっぱいいっぱいになってしまって、暫くペンライトを振れなくなってしまった。こんな日が来ることがあるんだなぁと思った。(どの楽器もかなりきちんとパフォーマンスをしていたので一瞬ワイヤレスなのかと思った。まあ流石にそんなことはない。予算。)

その後はあまり記憶がなかった。終演後隣を見たら自ジャンルの作品で推しが真ん中に立っているのを見て泣いているフォロワ~がいたので、慰めつつ二人で泣きながら帰った。

まあでもこの日は2階席、近くで見たら印象が変わるかもしれない。次の観劇日は最前の回があるし、その次の日は手持ちの中でギターの立ち位置に一番近い、2列上手通路の回があったので、近くで良く見てみることにした。

近くでじっくり見たら、弦を弾く方の手も曲に合わせて弾いているのが見えて、より一層きっちり弾くパフォーマンスをしてくれていることがよく分かった。推しが別の弦楽器をやっていたのは聞いていたけどギターは初めてだと言っていたので、めちゃくちゃ本気で向き合って練習してくれたんだな~と思って、嬉しくてグッと来てしまった。

(アフトや生配信で練習中に勢い余って指で弦を弾いて手が血まみれになった話とか、裏で折れたピックが大量に並んでてメンバーが怖がってた話、バンド練習の時間がありかなり大変だった話などをしていてそんなにストイックに…ありがとうございます…という気持ちになった。ピックアップが赤くなってたのも多分それで…と思った。)

ニコニコ楽しそうに弾いているのを見たらとても幸せな気持ちになったし、ハイジョのライブシーンは5人とも本当に楽しそうにパフォーマンスをしていて、見ているこっちまで楽しくなった。四季と背中合わせになるパートが好きだ。あとバンドあるあるの"ドラムの周りに集まって曲の最後のキメを弾くメンバー"まで見られて嬉しかった。この姿を毎回見られただけでも315だったなと思う。あと、推しの歌パートの歌詞がとても好きだったりした。声が出せるようになったらもっと楽しめそうな曲だなと思う。

 

アニメを見てからの観劇だったので、隼人くんが明るくて素直な子だというのは分かっていたのだけど、舞台上の彼はとにかくすごく表情豊かで、何かに気がついたり楽しいことがあるとパッと顔が明るくなったり、ギターを弾いている時は得意げな表情を浮かべていたり、予想外の展開があると固まって叫んだりと、くるくる変わる表情が愛おしくて、見ているだけで何だか幸せな気持ちになれた。そして何よりライブの時はずっとニコニコと笑顔を客席に向けてくれるので可愛かった。

私は櫻井さんの細かい表情のお芝居がとても好きなので、色々な表情が見られるのが嬉しかった。目の演技で細かいニュアンスを出すのがすごく上手いので、それもパッと変わる隼人くんの表情の変化を表現するのにしっくりきていてとても良かった。

 

隼人を含め、ドラマパートでハイジョメンバーが集まって話している場面は本当に「ちょっとしたことでもみんなで一緒に笑って、活動できる今という瞬間が最高!!」という青春のキラキラを肌で感じられるのがすごく良かった。直接眩しさが空気から伝わってくるのは、舞台ならではの良さだよね、と思う。

スミスから反応が来たシーンのワイワイ感とか、マネージャーからメールが来たシーンの大騒ぎとか、「高校生ってこうだよね!」とすごく納得できてしまったし。(当事者の隼人が他のメンバーに邪魔されて見えなくて困ってるのが可愛かった。夏来に延々邪魔されてた日がめちゃめちゃ面白かった。)

旬くんは真面目気質だから四季隼人春名に度々手を焼いていながら、表情はいつも「ヤレヤレ」という感じで、呆れながらも愛しいな~という視線を向けているのがすごく良いなと思った。夏来との対話シーン含め、オール肯定ではないけど彼にとっても掛け替えのない"仲間"なんだな~というのがよく分かった。横でそっと見守る夏来も。何だかんだフォローを入れる春名も。(フォロワ~がよく隣で「惚れるかと思った」って言ってた)

それを踏まえてライブ後に隼人が「バンドが、ハイジョが好きだ!」って言うシーンとか、合同ライブ前に「この5人でHigh×Jokerだ!」って言うシーンを見ると胸に沁みるものがあるな~と思った。自分の高校時代も思い出したりして。

余談だけど私は合同練でヘロヘロになっている隼人を拾い上げる春名が好きだったんだけど、起こし方、あれは…モテる。(終盤の公演は隼人のほっぺをツンツンしてたのも可愛かった。) あとアフタートークが本当に面白かった。笑 どこまでも話の尽きない感じとか、最後の口セッションとか、ハイジョのワイワイ感がそのままですごく良かった。笑

あと忘れてはいけない宿題のシーン!笑 個人的に25日の夜が一番面白かったな~と思っていたら、千秋楽がそれの進化版で来たので、放り投げられる春名を見ながら笑いを堪えるのに必死だった。きっとリアルに旬くんがいたとしてもああなっていたと思う。お疲れさまです!!笑

 

同じ高校生だけどC.FIRSTは打って変わってクールな感じで、憧れを一身に受ける側の人間というか、全員が主人公気質な感じがあって分かりやすく差別化されている印象だった。(有名生徒会長っていう肩書き、何!?とは思ったけど)

クラファの設定に関してはほぼミリしら状態での観劇だったんだけど、3人とも過去に何か抱えていそうで気になる。敢えて気になる!段階で止め置かれているのがミステリアスなカッコよさを引き立たせているのは良いなと思った。でも時折とぼけた部分や年相応にはしゃいでいるのを感じさせる部分もあって、そこは年相応の男の子って感じで良かった。百々人とかミステリアスと可愛いのバランス具合が絶妙で、中島さんがその辺りの雰囲気の出し方が上手いのかな?

ライブパートのダンスは一番カッコよかった!フォーメーションの入れ替わりが凝ってて見てて気持ちいいというか。そして、3人で一番小柄なのに秀がセンターでパッと目を引くのがすごく印象に残った。北川さんに華があるというのも大きいと思っていて、めちゃくちゃ適任キャスティングだと思った。流石ジュノンボーイ、伊達じゃない。勿論百々人と鋭心もカッコよかった。ていうか衣装ズルくない??好きだわ (軍服モチーフ衣装が好きな人からの投稿)

 

DRAMATIC STARSはアニメでは王道!という部分が強く印象に残ったけど、舞台では他のユニットメンバーとの対話シーンが多かったのもあって、三種三様なある意味ムードメーカーな印象を受けたかも。大人だからちょっと俯瞰してみんなを見つつも、物語の核の部分では必ず中心にいる…というような。

合同ライブの話を引っ張っていたのは確実にドラスタの3人だったけど、引っ張り方が3人とも全然違うから、そこに個性が見えるのが面白かった。向ける視線の方向や向け方、空気感が違うことまで伝わるのが舞台ならではというか。そしてそれ故にぶつかってしまうのも、考え方が違っても本当は同じ方向を向いていることも、輝が桜庭に怒るシーン~3人で初めて会った時みたいに話をするシーンまでの流れで特によく分かった。必ずしも似ている同士で何かをする必要はなくて、正反対だからしっくり来ることもあるんだなぁということをしみじみ考えたりもした。

個人的に翼の他人に対する話の聞き方(話を遮らない、相手の言うことを否定しない、相手の言いたいことを反復する)が、所謂メンターの立ち位置そのものだなと思っていて、あんたは絶対良い先輩になれる…。(誰?) あと加藤さんのものすごく通る声が輝のパワフルさにぴったりだった。序盤叫ぶ時に前方だと毎回ビクってなっちゃったけど。笑

ライブパートは王道の明るく前向きな曲で自然と笑顔になれるな~!と思った。一回やや引きの席から見てた時に、ドラスタのダンスはフリが大きめなので、フォーメーション含めて引きで見る方が映えるなと思った。3人揃って真ん中で踊っている時のフリと輝の得意げな表情が好き!

 

最後の全員曲2曲はダンスやキャラクター同士のワイワイしている部分を堪能できて嬉しかった。私は推しのダンスも大好きなので立ち位置付近でじっくり見たくて、元々下手が多くてラッキーだったのに加えてサイチェンでほぼ下手側にいる人になってた。8割位の公演に入ったんだけど、その中の8割下手寄りだったかも。笑

新曲は手の振り付けが可愛くてニコニコしながらでもキレキレにこなしてる推しがとても315だった。あと3人順番にターンするところも好き。めちゃくちゃ見入っちゃう。四季がスタートダッシュしてそれを追いかける4人も楽しそうで見てて幸せな気持ちになった。DRIVE A LIVEの立ち位置前の最前だった時があったんだけど、ステップ踏みながら回るのがとても可愛いなと思ったりした。

下手側はDRIVE A LIVEの時にハイジョがワイワイ歌ってるのがよく見えて可愛かった。隼人と四季が旬にちょっかいをかけるのが基本パターンで、隼人が旬に手拍子させたり、四季が隼人を持ち上げたり、二人で片手ずつ手拍子してたり、可愛くて見てて飽きなかった。あと、下手の最前にいた時に旬が私のうちわを見て、隼人の肩を叩いてほら!って示して隼人が反応してくれた時があって二人のやり取りを間近で見られてとても嬉しかった。

割と隼人くん名指しのハートつくってうちわを持っている日が多かったのだけど、よく見つけて手でハートを作って飛ばしてくれたので可愛くて幸せだった。ちょっと引きの席の日に流石に見えないだろうな~と思って持っていたら、戻る時に指差してやってくれたのでちょっとびっくりしたりもした。

 

千秋楽のカーテンコールも一人ひとり本当に個性豊かな挨拶が聞けて、キャストも本当に個性豊かで良いな~と思ったし、ハイジョは最後までワイワイしてて笑った。突っ走って「ウィーアーハイジョーカー!!…あれ!?」になっちゃう土屋さんも、「翔と四季が混ざってカキって呼んじゃった」って言ってた櫻井さんも、爆笑する他メンバーもめちゃくちゃ面白かった。

 

初めの方でも書いたけど、演出とか構成は比較的シンプルだったと思うのだけど、その分見る度にキャラクターそれぞれの個性が滲み出て、それが交差することでお話が進んでいくのを楽しむような作品だったな~と思う。そして何よりアイドルのキラキラを沢山堪能できてすごく楽しかったし、キャストさんの振る舞いやキャラクターの表現に愛の溢れた作品だったな~と思う。最後に楽しかった!!!思い残すことない!!!と思えて嬉しかった。

気になる方は是非円盤を見てください!(急な宣伝)

 

追記

推しはこれを機にエレキを買って練習するつもりらしいので、また私が魂を持っていかれる日も近いかもしれない(?)

*1:バンギャル。かつてヴィジュアル系のライブに通っていた人間の名称

旅の途中で見える"世界"ー舞台「キノの旅-the Beautiful World-」キノステ 感想

すっかり暑くなってしまったけど、皆様いかがお過ごしでしょうか。

私は怒涛の推しの舞台出演月間数ヶ月が終わって楽しかったな~と余韻に浸っているけど、なんと来月になればまた推しの舞台がある。すごく楽しみだけど、上半期ほぼ休み無しだったな。オタクも休み無しだけど、推しはそれ以上に休み無しだと思う。お疲れさまです。

今回はそんな推しの出演作品で、丁度先日幕が下りた作品の感想を書き留めておきたいと思う。キノステこと、舞台「キノの旅-the Beautiful World-」の話である。

 

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3月の推しの出演作品の開幕直前に、舞台情報が解禁された。確かその日の仕事終わりにスマホを開いて一番最初に飛び込んできたのがその情報だった。作品名を見て思わずエッ!?と声を上げそうになった。

それは自分が昔原作を読んでいた作品であり、それ以上に、自分が長年好きなイラストレーターさん(黒星紅白先生)が挿絵を担当している作品だった。(知った切っ掛けはサモンナイトの方。) 小説を読む時間が取れず原作を読んでいたのは随分前だが(アニメは見てた)、担当の作家さんの絵はずっと好きで、画集が出れば買い、作品展があれば足を運んでいた。(去年の作品展も両方見に行った。)

なので舞台のビジュアルが発表されて、基本はその方の描いているキャラクターのビジュアルに寄せられていて(一部舞台版アレンジのキャラクターも勿論いたけど)、すごく驚きつつすごく嬉しかったのを覚えている。私は今まで元々原作がめちゃくちゃ好きな作品に推しが出演したり、自分の好きなキャラクターを推しが演じたりするということがなかったので、こうした形で自分が好きなものを推しが演じることになって、こんなにも説明できない嬉しさで満たされるんだなぁと思ったりした。

ただ、キノや師匠を男性が演じるということ、エルメスや陸を人が演じるということで、どのような見せ方や雰囲気になるのか若干不安はあった。でも開幕前のインタビューを拝読して、制作側が"舞台として上演する意味"をすごくじっくり考えて作ってくださっていることが伝わってきたから、そこまで心配はしていなくて、むしろどうなるのだろう!というワクワクのほうが強かった。

 

予定がついたので全公演劇場で観劇をしたのだけど、実際に観てみて、様々な他作品を観てきた中でもここ3,4年で一番終わってしまうのを名残惜しく感じた作品だった*1。そのくらい素敵な作品だった。正直、あと10公演は観たかった。

ここからは内容のネタバレももりもりと書いていくのでご注意を。また、毎度のことながら私の推しが誰なのかは特に明示せずに進めるけど、見ている時間が長い分言及に偏りがあるとは思うのでご了承を。(遡ってもらったら即バレだとは思うけど)

 

初日を観劇した時、冒頭の「森の中で」のシーンでのキノとエルメスのやり取りの空気感がすごく絶妙で、原作の雰囲気をよく表していておっ、と思った。櫻井さんのキノと辻󠄀さんのエルメスの話し方やセリフ回しが私の中でのイメージに一致してたのもあって、この作品の大部分を占める2人の対話シーンはどれもすごく好きだった。相棒だけどある意味ドライな部分もある感じがよく出ていたというか。(きっちり初めと終わりでbパート→aパートになってたのも良かった) このシーン、いろんな解釈が出来るこの物語のある意味核になる部分だと思うので、ピックアップしてくれたのすごく良いなと思った。

やっぱり個人的に一番想像がつかなかったのが普段のエルメスの佇まいの表現だったんだけど、キノがエルメスを支えるように後ろから歩くのを見てなるほど~と思ったあと、キノがエルメスを停める動作とか、手で押している時にちゃんとモトラドの重量を感じる歩き方とかを見て、すごくモトラドに見えた。極めつけがエルメスに跨って発車する時の反動とキノのコートのはためき。もうモトラドにしか見えん。見立ての力って無限大だな~と思った。人を殺すことができる国の冒頭で男に絡まれた時、振り切るように発車する様子がよく分かった。身長差があるのもバランスが取れていて良かった。

あと、舞台セットにあった照明を当てると裏が見えるシースルーの壁、あれがあるから映像の演出がすごく馴染んで見えて、キノとエルメスが長距離を走っている感じを見ていて体感出来た!他にも師匠の車とか、回想的な部分とか、あの壁のおかげで限られた舞台上で色んなものがらしく見えて天才!と思った。

逆に、キノが山盛りクレープを食べるシーンでエルメスがキノにちょっかいを出すシーンとか、コロシアムで「殺されない程度にね」って銃を撃つような素振りをする所とかは舞台ならではな演出だと思うけど、なんかエルメスならやりそうだな~という気がしてすごく自然だった。辻󠄀さんと演出の山本さんの解釈、めちゃ良い。クレープのシーン、最初はお腹つつくくらいだったのに、段々顎をがくがくしたり、肩揺らしたり過激になってきて、エルメス結構鬼だなと思った。笑

 

そして、キノを男性が演じるということについては、櫻井さんは女性的な役もよく演じられている役者さんなのでそんなに心配はしてなかったとはいえ、正直どんな風になるんだろうかと思っていた部分もあったので、観劇してみたら想像以上にイメージぴったりで良かった。普段の少し澄ました表情や佇まいとか、銃撃戦の時には的確に弾丸を撃ち込む強くてクールな様子を見せつつ、ふとした時に自然と出るお茶目な雰囲気や話し方と可愛い所でしっかり「あ、年頃の女の子なんだな~」と思わせてくれて、「少年に間違われる女の子」に説得力があってとても良かった。

私は「歴史のある国」の時にエルメスに師匠の話をしている時のお茶目で楽しげな喋り方やセリフ回しがすごく好きだった。あと「コロシアム」の終わりにシズに対して「知らない男の人にはついていっちゃいけないと言われてますので、」と告げる所のちょっとふふんとした様子の表情が可愛かった。その前の陸に釘付けになって目がキラキラしている時の表情はもっと可愛かった。モフモフする所はどんどん過激になるので笑わせてもらった。シズがかなり苦笑気味なのも良かった。陸のビジュアルが出た時かなり話題になってたけど、元々喋るでかい犬なので、まあこうなるよね!と思ったし、舞台らしくてよかったと思う。エルメスとの言い合いもいい味出してた。笑 (21の昼だったかな?1回だけ陸とめちゃくちゃ遊んでる時があってレアだった。)

逆に「コロシアム」の戦闘のキノの身のこなしはすごく軽やかで、特に対シズ戦の時なんかすごく格好良かったな~と思う。戦いを楽しみながらも冷めた目で国の様子を見ているのが話し方からよく伝わってきた。国王に向けて森の人を構える時の鋭い瞳とかとっても良かった。そういえばアドリブの手裏剣名人、毎回どんどんプロフィールが明らかになっていくの笑った。キノは基本髪型にしか興味ないのも笑った。(加藤さんのギャップよ)

男性が女性を演じる、ということでは加藤さん演じる師匠もそうだったけど、セリフ回しがすごく上手な方で、身のこなしや銃器を扱う演技もすごく上手かったので、クールだけど大胆な部分やそこに付随するカリスマ性がすごくよく伝わってきた。パースエイダーをくるくる回すのカッコよかったな。でも見ていて本当にシンプルに敵に回したくない人だなぁと改めて思ったりもした。笑

 

今回の舞台でピックアップされた国と話はかなり色がバラバラだったけど、上手く繋がれていたので「旅」という雰囲気がすごく伝わってきたなぁと思う。(あと、昔途中までしか読んでいない&アニメは見た私のような者でも知っているエピソードだったのもありがたかったりもした。笑)

演出の山本さんがインタビューで役者さんたちに「ストーリーとは別のところにある、その人の”人生”を作ってほしい」とお願いしたとお話されていたけど、観劇して、確かにサブの登場人物がただの舞台上の引き立て役として存在しているのではなく、一人ひとりが住んでいる自分の”国”の文化を背負って生きている人間というのがすごく伝わってきた。だからなのか2時間程の上演時間だし、誰かの心情が細かく吐露されるわけではないのに、すごく濃いな~と思ったし、物語の背景の解像度がすごく高い舞台だなぁと思った。それってこの作品ならではだなと感じる。

あと、登場する国の様子やそこに住む人の在り方や物事を俯瞰してそのまま描くというよりはキノや、師匠や、ウィルなどの視線を通した描き方を踏襲してくださっていたので、一人ひとり、世界の見え方感じ方は違うのだなぁという一番重要なポイントのひとつをしっかり提示してくれていて、改めてそれを実感できたのが良いなぁと思った。

あともう一点、優しい国の終盤で火砕流に埋もれていく国を見ている時にキノとエルメスの感じ方が明らかに違うと思わされる部分があって、人と機械でも見えるものが違うというのをはっきり感じさせてくれたし、そこをお二人がわかりやすく演じてくれてるのが良かった。人によって見える景色や感じ方が異なるということがそのまま「夕日の中で」のウィルの語りに繋がっていくのも上手いな~と思った。構成の仕方がすごく上手かった。

「優しい国」の話はラストを知っていたから初日から終盤にかけて観ていてどんどん辛くなったけど、キノが崩れ落ちて呆然として、手紙を読んで泣きそうになりながらも自分の気持を話してどうにもならない気持ちを噛み締めている表情も、そこから少し寂しげに微笑んで去っていく表情も気持ちが伝わってきてすごくグッと来た。

 

あと、主題歌、めちゃくちゃ良かった。作品の明るくもなく、暗くもない、どこかしっとりしているのにドライな部分もある中間値な雰囲気にぴったりマッチしていて叙情的で曲も歌詞も歌声もすごく素敵だった。舞台自体の円盤化は難しいのかもしれないけど、主題歌だけでも配信してほしい~と強く思っている。アンケートにめちゃくちゃ書いた。

 

毎度のことながら長くなってしまったけど、内容の感想としてはそんなところ。あと、千秋楽の最後にキノが「キノの旅はこれからも続きます。またどこかでお会いしましょう」と告げてエルメスと走り去っていく演出があったんだけど、ある意味終わりの見えない物語(原作が終わっていないことも含めて)だと思うので、終幕を感じさせない台詞で締めて走り去ってくれるのはすごく嬉しかった。旅は今もどこかで続いているんだなぁという気持ちにさせてくれるので。

久しぶりに読んでない分も含めて原作も読みたくなった。知らぬ間にカバーが一新されてて驚いた……(絵は結構見たことあるやつだ)

読んでくれて気になった人に是非配信で見て!と言いたい所なんだけど、配信が丁度昨日終わってしまったので、見て!!と言えないのが悔しい所……。円盤、再配信いつまでも待ってるし、是非同じキャストで舞台版第2弾も観たいな!

 

心待ちにしながら、この旅を思い返すことにする。

 

追記

丁度Wカーテンコールでメイン2人がお辞儀して帰るところの目の前の最前だった日があったんだけど、お辞儀して2人でいそいそと捌けていくのが可愛かった。

全日キャスト挨拶なしだったのは演出家さんのこだわりなのかなぁという感じだった。世界観に浸ってそのまま帰れて良かったと思う。

*1:その前に終わるのが名残惜しいな、と思ったのはこの作品だったな~と思う。

好きな人よ、ギターを持たないでくれ 今よりも好きになってしまうから

観劇週間が終わって仕事も生活もバタバタしていた年度末の某日、スマホを開くとフォロワーさんから突然「××一緒に行きませんか!?」というメッセージが届いていた。

 

何!?と思ったが、××は確か、人気コンテンツの名前だった気がする。良くは知らなかったけど名前は聞いたことがある。ひとまず検索をかけてみると少し前に舞台化が決定していて、キャストが発表されたばかりだった。トップに名前があったのはフォロワーさんの推しの名前だった。なるほどそれで、と思ったが、私が声を掛けられた理由は多分他にもある気がした。

ニュースサイトの記事を眺めていると真ん中に見たことのある名前があった。推しだった。え!?と思った。私の推しは今、上半期休みあるんかというくらい例年にないほど舞台に出ずっぱりなので、翌月また別作品に出演すると思ってなかったし、フォロワーさんの推しとも久しぶりの共演なので同じページに名前が並んでいて驚いた。

まあ何にせよ声を掛けてくれた理由はわかり、推しが出ていれば良く知らない作品でも勿論観に行くので、驚きを隠せないままえ!?行きます!と元気よく返事をした数分後だった。推しのTwitter通知が来たので、おっ今話してたやつだな、と見に行くと、私がまだチェック出来ていなかった個人ビジュアルの写真と共に出演決定報告をツイートしていた。

写真に写っていたのは、役としては珍しく明るい笑顔でギターを携えている推しだった。

 

***

私は元ギャで、大体の元本命麺がギターを弾く人だった。ギタリストのファンをしていた時期が一番長いし、ボーカルが好きだった時もギターを弾ける人が多かった。ライヴで弾いていることもしばしばあった。(勿論例外もあるけど) すごく専門的なことはわからないけど、音に感情を乗せて楽しそうにギターを弾いている姿を見るのが好きだった。

ばんぎゃるを上がってからも好きなアーティストのずっとボーカルだけを担当していた好きなメンバーが、ライヴで急にギターを弾き始めて思考が停止したこともある。ギターを弾いてる姿を見たらもっと好きになってしまうな、と思ったりもした。

まあ要するに、ギターにすごく強い思い入れがあり、且つ好きな人がギターを手にしてしまいがちなのである。

 

先ほどの新しく発表された推しのビジュアルをもう一度見てみる。やはりギターを持っているように見える。いやいや、そんなはずはない、と何回も画像を開いては閉じ、開いては閉じして見てみる。

いや、やっぱり持っている。

え~~~~!?と何度口にしたかわからない。とうとう大好きな推しまでギターを手にしてしまった…ようだった。マジ? 推しの役はバンドのメンバーの1人という設定のようで、他のメンバーも良く見たらおのおの楽器を持っていた。

推しが楽器を齧っていたこと、学生の頃に同じような趣味をしていたことはインタビューやサイン会で聞いて知っていた。いやいや、でもギターはやったことないはずなので流石に弾きはしないか…と思いながらコメントを見ていると推しは「何も決まってないけどもしかすると弾く…かも」みたいなことを話していた。

弾く………の???????

勿論未定の予定だと思うので、弾かない可能性も大いにあると思う。でも同じように弾く可能性も大いにあるということである。そんなの…そんなの実際に見たらきっと泣いてしまうと思った。だって大好きな人が、ギターを弾いているのである。

まあ正直多分当て振りでも泣く。そんな姿見られる日が来るとは思っていなかったから。

 

その後私に連絡をくれたフォロワーさんはフォロワーさんで、自分の推しが座長らしきことを信じられずにいたので、推しがギターを持っていることを信じられないオタク VS 推しが座長らしきことを信じられないオタクで何時間か2人で頭を抱えながら電話していた。話しながらまたビジュアルを眺めて ね~~~何でギター…持ってるの…と崩れ落ちるオタクになっていた。怪しすぎる。

 

そこから数日はやっぱり信じられなくて、何度かビジュアルを見直しては、持ってるな…と確認するのを繰り返していた。初日を迎えたらどうなってしまうのだろう。ひとまず無事に観られるようにせっせとチケットを申し込む日々である。あとアニメを見て原作の予習をします。

 

好きな人よ、ギターを持たないでくれ 今よりも好きになってしまうから

"永遠"よりも尊いものー本能バースト演劇「sweet pool」スプステ 感想など

去年も推しの作品を中心に観劇後に感想を書き留めておきたいな~という作品が沢山あったにも関わらず、忙しくて溜めまくってる間に年は過ぎ、気合入れてチケット取った舞台も乗らないから数回で良いか~と思ってた舞台も気づけば二桁の半券が手元にあったり、年末も観劇してたら年明けてるし、一大イベントも終わって気づけば新年も3ヶ月過ぎていました驚き。

 

なので書きたいことは沢山あるけど、今は気持ちが熱いうちにこの前まで観劇していた作品の話を書き留めておきたくて、筆を執っている。

他の所で断片的に感想は書いていたけど、観劇して個人的に心に残る作品になったので、やはりまとまった感想を書きたくて一つの記事に書くことにした。多分、それなりに長い。

*****

去年の秋のある日、次の春の推しの出演作が発表された。

本能バースト演劇「sweet pool」だった。

告知を見た当初は「なんて?」と叫びそうになった。衝撃的だった。

 

私は舞台のオタクだけど、ドラマダはキャラクターが好きでアニメや実況見てたことがあったり(実はドマステも観に行ってる)、咎狗は漫画読んだことがあったり、アニメの…アニメなんて無かったけど…EDを好きな方が歌ったりしてたので、ニトロプラスキラル作品のことはそれなりに知っていた。なのでsweet poolについても大まかには知っていて、正直一番舞台化は無いだろうと思っていたので驚いたし(多分みんなそう)、推しをなんていう目に遇わせるつもりなの!?という思いだった。笑

でもそれと同時に、舞台上でどのように表現して、どこまで攻めるつもりなのかもかなり興味があった。キャストインタビューでも非常に気合いが入ってる様子が伺えたのですごく楽しみになった。

通うつもりだったので、折角だから原作をやってから観ようと思い、公演前にPC版をプレイした。ノベル系のゲーム自体初めてやったので分岐!?どれ!?になりつつ無事にコンプした。哲雄エンドで「こんなん泣くよ…」と思ったし、思っていたよりセクシャルな描写が本筋に食い込んでいるので、ますますどこまで表現できるのか気になった。

そうこうしているうちにあっという間に公演の幕が上がった。

 

この記事は、上の通り、原作を一応履修してからスプステを全公演観劇した出演者のオタクが感想や所感を書き留めたものである。

この先は完全にネタバレ有なので苦手な方はご注意を。また、原作プレイ済だけどゲーム以外の情報は知らないことも多いので、なにか間違った記載があったらすみません。一個人の感想なんだな、と思っていただければ。あと、ニュートラルな感じで書きたいので例によって私の推しが誰なのかは特に明記しないで書き進めるけど、見ている時間が長い分、言及に偏りはあると思うのでそこもご了承を…。(遡ってもらったら恐らく即バレだとは思うけど)

 

今回私は全通したので初日から観劇しているけど、実はその前にゲネ招待で観劇させていただいたので、初めて観たのは睦ルートだった。

初見で一番初めに抱いた感想は「ここまで攻めるんだ!?」である。

原作をプレイしたのが公演直前で非常に記憶に新しい状態で観劇したので、話がかなり原作に忠実に丁寧に描かれていることがよくわかったのだけど、原作に忠実であるということ、それつまり、めちゃくちゃ攻めた演出をされているということであった。

私が一番気になっていたのはお風呂と初めの科学室のシーンだった。何故なら、過激な描写が必要だけど話の本筋の発端に絡む部分なので、ぼかすと伝わらなくなってしまうように思えたからだ。睦ルートも中盤までは通常(哲雄)ルートと同じ流れなので、両シーンとも初見で見ることが出来たけど、私の憂慮なんて秒で吹き飛ばすほど本気で作り込まれていた。舞台上に風呂が運び込まれて蓉司が服を脱ぎ始めた時の衝撃は言葉に代え難いけど、照明と演技ですごくつややかに表現されていて、こちらも息を呑んだ。あんなに細いのにめちゃめちゃ色気出せるの、すごい才能と演技力じゃないですか?(ちなみに終演後イベの司会の時に度々触れていたけど、櫻井圭登さんのお勧めシーンはここらしい。笑 私は初めて櫻井さんを観た時も同じような状況だったので脱ぐこと自体にあまり驚きはなかったけど(?) ) 

初めの科学室のシーンもそれまであった蓉司のモノローグがぴたっと止まって、台詞も説明もなく静かに”あの”場面に突入するのが演劇らしい表現だなと思ったし、緊張感と色気が空気から伝わってくる感じで見てて良いの?ていう危なげで生々しい雰囲気が作品らしくてすごく良かった。

全体を通してモノローグがすごく多いのも結構攻めるな~と思ったけど、ここまでガッツリとモノローグの台詞の雰囲気から感情を読み取るみたいな見方って今まであまりなかったから結構新鮮だったし、意外とくどくなってなくてありがたかった。

蓉司と哲雄のシーンは予想以上の2人の体格差に驚いた。原作イラストだと蓉司もそれなりにガタイが良いけど、櫻井蓉司の消えちゃいそうな儚い感じも、病弱で、何となく人との関わりが苦手で浮いてるっていう雰囲気にぴったりで良いなって思った。哲雄と並ぶと余計に儚さが引き立つのがまた良いな~。哲雄、実際に人が演じているのを見ると、視線一つひとつはすごく真剣に、でも優しく蓉司のことを捉えているのがわかるのに、行動はぶっきらぼうだから、実はとっても不器用なのが佇まいだけで伝わってくるのがすごく良いなと思った。(砂川脩弥さんが上手いからだとは思うけど) そしてシンプルに顔が良い。そりゃ女が勝手に寄ってくる(?)各ルートの感想は後でそれぞれまとめて書くことにするけど、屋上が歩み寄りの象徴的な場所になっていて、初めはま~お互い一方通行だったのに、蓉司が自分の考えをはっきり伝えられるようになって、最終的に哲雄も自分のことを話せるようになって徐々に近づいているのを体感出来てキュンとしたりした。

共通パートは蓉司が善弥に絡まれるシーンも多いけど、無邪気に話しかけてくるのに急に豹変したり、さっきまで笑顔だったのにもう目が笑っていなかったりとワンシーンの中ですごく不安定な感じがまさに善弥という感じで、見ているこちらもゾクッとした。哲雄が蓉司を助けに来る場面の怒鳴りとかすごく迫力があったのに、分岐後はすごく脆い部分が見えたりと表情や行動の振れ幅がすごく広いのでいい意味で引っ搔き回して話を進めている感は原作よりあったかも。初見のダンスの時にパッと目が合った瞬間があったんだけど、もう捕食されるんじゃないかっていう鋭い視線でシンプルに「怖い!!」って思った。今まで宇野結也さんがクールな役をしているのしか見たことがなかったから、こんなにどんどん表情の変わる役もこなされるんだな、と驚いた。

3ルートのメインキャラの中で唯一蓉司が最後まで陥落しない感じで終わるし、絡まれた時も嫌そうな雰囲気を醸し出してたり、基本的に怒りとかショックで震えたり睨みつけてたりしてたのが印象的だった。姫谷も渋くてカッコ良かったし、お父さんの見てて苦しくなる狂気もすごく伝わってきたな。大人陣の安定感は欠かせない感じになってた。

睦のことも後でまとめて書きたいけど、折角初見が睦ルートだったので初見の時の感想を書き留めておくと、本当にダンスの振り付けがものすごく良く出来てる!というのがすごく印象的だった。あまりにも睦の心の動き、睦の行く末そのものだな、と思ったから。そこまでのどんどん狂っていく様子も、序盤の蓉司との楽しそうな会話との対比ですごく胸が苦しくなったし、蓉司にカッターを向ける科学室のシーンの2人、本当に熱演!張りつめたピリピリした空気が伝わってきてこちらも思わず緊張して見入ってしまった。

あと個人的に以前ドマステを観に行った時に、蒼葉ちゃんが一通り全部ひとりで説明するのが若干間延びした感が否めないなぁと思っていたので(ノベル系ゲーム原作という点で説明台詞が多いのは仕方がないんだけど)、今回上屋先生がナレーションしてくれてたことで、蓉司のモノローグに入り込みやすいし、黒幕感も演出出来ていてすごく良いなと思った。上屋先生、お茶目だし、先生方に怒られたくない上屋先生と結構色々(アドリブで)ズバズバいう蓉司の組み合わせめちゃめちゃ好きだったな。笑

初っ端の「彼ら」の概念(?)のダンスも絶えず蠢いている感じが伝わってきて良かった。終盤で同じ振り付けで蓉司と哲雄が二人で踊る場面があるけど、そちらは"この2人であること”が強調されていてまた違った意味を持つのも面白いな、と思った。

あと各エンディングで、ED曲が入るタイミングがすごい良かった。絶妙で。

 

初日までどういう雰囲気で来るのか全く想像がつかなくてドキドキしてたけど、想像の遥か上を行く攻め具合で、演劇としてどこまで表現できるのか限界に挑戦してやる、という挑戦心をすごく感じた。見る側としても新鮮だったし、原作の雰囲気を壊さないように心の深い部分を描写するために過激で生々しい描写を演劇的に落とし込むことが欠かせないというのが伝わってきたし、作品をただのイロモノにはしないという気概を感じて嬉しかった。やっぱり本気が感じられる作品って心に残るので。

 

ここからは各ルートごとの感想とか観て考えたことを書き留めておきたい。

・睦ルート

原作プレイ前から知っていたルートだったから、衝撃のラストをどう落とし込んでくるんだろう~と楽しみだった。

序盤の蓉司との会話は本当にみんなが運命に翻弄されるまでの癒しだった…。杉江大志さんが毎度ながらアドリブ番長すぎて日に日に蓉司というか櫻井さんも巻き込まれて色々話すようになるのが面白かったな。笑(アフタートークの時、杉江さんがアドリブとかどこかわかんな~いってシラを切ってて笑った)「ヨウズィ~帰ろうぜ~あ、ごめん…蓉司のji、ziにしちゃった…最近英語勉強してるから…」ていうバージョンが斬新で好きだったのと、バーガーショップの場面の食べない蓉司に対して「悲しむ人が…いるよ…」(蓉司も押されて「少しは食べるよ…笑」って言った)の時が好きだった。微妙な空気になって蓉司が睦を小突くのがパターン化してきてこの2人のこの感じ…見覚えがあるな…!?て思った。笑

この明るくお茶目な序盤から、中盤にかけて段々無理に笑ってることが増えてきて、様子がおかしくなっていくのが伝わってきて胸が苦しくなった。蓉司に無意識に触れようとして手を引っ込める場面とかすごく些細だけど確実に気持ちが動いているのがわかるのであ~~…!ってなった。

そして科学室のシーンは、会話する2人の間の空気が本当に張りつめていて、ピリピリした緊張感が伝わってくるから(哲雄ルートの時も含めて)思わず息を飲んでしまった。どんどん激情に駆られて上擦った怒鳴り声になっていくと同時に目も狂いを帯びてく睦の迫力に本当に気圧された。目が本当に怖くてすごいなって。「気になって気になって気になってさぁ!」の台詞も日によって叫んでいたり、堪えきれなくてこぼれ落ちる感じだったりして、どちらも睦だなって思った。追い詰められて恐怖でぐちゃぐちゃになって動けなくなってる蓉司の困惑の眼差しもすごく緊張感があって好きだった。櫻井さんの視線とか、目の演技が好きすぎる。目の前で聞く「やめたら俺のこと好きになってくれるの?」の切なさと言ったらもう形容詞し難すぎる。

科学室の後にドラマCDのお話が入ってるとのことで、視点が睦に切り替わって蓉司への気持ちが語られるので、観ていて睦の苦しみが深い所まで理解できて、一層胸が苦しくなった。保健室の回想はすごくほっこりするのに(私はうさぎを呼ぶようにま~こと♪が好きでした)、その後のモノローグで自分でもどうにも出来ない辛さを吐き出してる様子のコントラスが本当にしんどかった。最前の丁度モノローグをする正面くらいだった日があって、近くで見るとどうしようもない辛さが疲れ切って涙に濡れてる目から伝わってきて苦しかった。自分の腕に噛み付くシーンはゾクッとした。(櫻井さんが今日本当に杉江さんの目が怖かった!って言ってた日もあったな)今まで色んな所で杉江さんを見たことがあったけど、スプステの杉江さん、今まで見た杉江さんの中で本当に一番良い!と思った!

そして、上でも書いたように睦ルートのダンスが一番睦の物語とか行く末をそのまま表している感じで、すごく秀逸!と思った。哲雄が蓉司を引っ張っていって階段上がっていって、睦は阻まれて登れないし、哲雄と蓉司のダンスも哲雄ルートの二人の暗喩ダンスと同じで、暗に2人の歩み寄りや関係性の変化を表していて、それを見る睦の後ろ姿、どんな表情なんだろうな~と考えて苦しくなってしまう…。(睦の妄想である部分もあるんだろうけど)最後の睦の切り裂くようなフリと苦しむ蓉司、そして終わりに全員が倒れて終わるのが本当に睦の狂気そのものですごく良く出来てるなぁとしみじみ思ってしまった。カテコで哲雄が蓉司を脱がせ始めた時は何何何!?!?って動揺したけど。笑 カテコの方の蓉司のダンス、科学室のダンスと振付似てて、動きがきれいで好き。

 

・善弥ルート

原作をプレイした時にちょっと苦手な終わり方で、1回目観劇した時は蓉司が酷くされるのを見てるのが正直しんどくてちょっと目を伏せてしまった部分もあった。暗喩っぽさよりストレートな表現が多かったからだと思うんだけど、ここまで描かないと2人がどういう状況に置かれてるのかは正しく伝わらないと思うので、こればかりは描き方が悪いとかではなく私の地雷の問題なので仕方がなく…。

でも2回目以降は結構冷静に見られて(苦手な部分はちょっと目を逸らしてしまったけど…) 睦ルート同様に善弥のモノローグと過去の回想があったおかげで、ゲーム本編だと殆ど触れられていない善弥の心の奥の部分が描かれていたので彼も結局愛に飢えた被害者なんだよな~とわかって切なくなった。宇野さんが挨拶やアフトで善弥が蓉司に対して言っていることとかやってること(カメラで撮ったり新しい服を着せたり)全部きっと本人が親に掛けてほしかった言葉ややってほしかったことなんだと思うと何度か話していて、彼の過去とか親からの扱いを知ると本当にそうだな、と思った。しかも自分が受けたことがない愛だから、人への向け方とか、そもそもの愛し方がわからないから蓉司に対してもああいう形でしか接することが出来ないんだろうな、と考えて辛くなってしまった。

しかも蓉司はどれだけ痛めつけられて傷つけられても心だけは絶対に善弥に落ちないのがまた…。蓉司が光のない目で放つ「殺せ」も、泣いてるのか?という言葉を撤回しろ!と言われた後の「嫌だ」も、弱ってるけど、お前だけには絶対落ちないぞという強い意志を感じて胸を突かれた。そしてその様子を見て憤慨しつつ善弥が溢す「俺のことを見てよ」という言葉も辛かった。無理にでも自分のものにしたはずなのに本当はそうはならなくて、蓉司も傷つけられて苦しんでいるので、本当に2人とも幸せになられないのがやるせないなぁと思ってしまった。

あと、蓉司が小屋から逃げ出そうとして善弥に戻される所から連れ戻されたあとで、怯えきった目から絶望の目に変わるの本当に怖くてすごくゾクッとした。

善弥ルートのダンスは、特にサビがザ・善弥!って感じで無邪気さとか狂気が見えるような振付だったり、右目にピックアップされた振付になってて、前で無気力になっている蓉司との対比が生々しくて、ダンスとして単純にすごくカッコ良いのに思わず息を呑んでしまったりした。あと蓉司目掛けて一目散に駆けてくる部分が絶対逃さない!!という感じでめちゃくちゃ怖くて好きだった。ラストの2人だけ残ってライトが消えていく部分は狂気と美しさをすごく感じた。

 

・哲雄ルート

原作をプレイした時に一番面白かったし、最後の2つのEDがすごく切ないけど好きな雰囲気の終わり方で、キービジュアルの感じから恐らくどちらかのEDになるだろうと思って楽しみにしていたルート。運命に抗う人間の話が好きなので…。

共通部分も当然だけど蓉司は哲雄と一緒にいるシーンや哲雄のことを考えているシーンが多いので、上で書いた屋上の話を含めて2人の心の変化や歩み寄りがじっくり描かれているのが嬉しかった。あと2人の関係性だけではなくて、蓉司自身の心の変化もすごく繊細に描かれていてたのもすごく良かったな。原作でも勿論スポットを当てて描かれている部分だと思うけど、そういう一つ一つの心の動きと関係の変化を表情や視線、モノローグの雰囲気とかでリアルタイムに追いかけられるのが実際に人が演じる醍醐味だと思うし、それを見るのが好きなので、重きを置いてくれているのが嬉しかった。

そういう意味で一番好きなのはプリントを届けに行く場面~最後の哲雄の部屋の場面の辺り。序盤のトイレに連れ込まれるシーンでこれ以上関わるなよ!って叫ぶ時とか哲雄がプリント届けに来て帰れよ!!って言う時は横から表情が見えた時、本当に感情がぐちゃぐちゃすぎて怒ってるのに笑っちゃってたり、静かに懇願してたりして見てる方も苦しくなってしまうくらい困惑や不安が伝わってくるのに、プリントを届けたシーンだとまた違う形の困惑に変わっていて、少しずつ蓉司の心に変化があるんだな~と思った。直後に哲雄母に仲良くしてあげてねと言われて目が泳ぎまくってるのが可愛かったな。

傘のシーンも印象的だった。間近で見ていると、自分から引き留めておいて俯いて困った顔してるのも囁かれて驚いた顔してるのも良く見えて、キュンとしてしまった。その後の自分から取った手を見つめながら考え込んでいる表情に、心境の変化が現れている感じがするな、と思った。(後ろの善弥の占いのシーンもすごく上手く入れ込んであるよね)あと哲雄の傘の差し方がこれでもかというくらい蓉司に傾けられてて、言葉はなくてもすごく大切に思ってるのがよく分かって好きだった。傘の差し方100万点満点。

そして勉強を教わるシーンのうたた寝、原作でもめちゃくちゃ好きなシーンなんだけど、蓉司が先に起きてちゃっかり哲雄の顔眺めてるのが、実際に目の前で展開されるとこんなに愛しい気持ちになるんか…と思った。笑 しかも終盤の方の日で、哲雄の顔に触れようとして哲雄が起きたからサッと手を引っ込めた時があってあまりにも少女漫画で愛しかった。ドギマギして下向いてしか喋れなくてそのまま部屋を後にする蓉司は完全に”落ちたな!”という感じで可愛かった。この流れが特に蓉司の哲雄に対しての気持ちが動く部分だと思うので、これだけ丁寧に描かれているのが嬉しかった。少し飛ぶけど3回目の部屋の時のドキドキ感も堪らないな~と思う。

お姉さんとの電話からはまた少し軸が変わって、蓉司自身に対する心の変化にスポットが当たるけど、その中で、睦との関係性を考えていくという部分もしっかり組み込まれていて、心理的な関係性の描写が大好きなのですごく見応えがあった。原作ありきとはいえ、ここまで心理的な動きを主軸に据えてる舞台作品って意外と多くはないのでそういう作品を観るのが好きな私としては嬉しかった。

睦のことが頭を過ぎってから科学室を経て、お姉さんの病室を訪れる時には、蓉司は人と関わることについてひどく考え込んでいると思うんだけど、お姉さんから自分に関する真実を告げられて、お姉さんの強さとか優しさに触れて、自分の名前が子供に受け継がれたことを知って、自分の変化を受け入れることを通して、人と関わることによる変化も認める…みたいな心情の変化がぐっと伝わってくる描き方だったな、と思う。

この部分の台詞のお芝居は千秋楽が一番好きだったんだけど、真実を告げられた時の俺は?という悲痛な叫びの部分がすごく苦しくて胸が苦しくなってしまったけど、その後自分を受け入れて「俺は安心して狂うことが出来る」の時の強くて優しい声と笑顔が決意を感じられて好きだった。あと16~20日くらいの公演で、枝里香が子供に名前をつけたよ、と伝える時に光があたって蓉司の目からボロボロ涙が落ちていくのが見えてこちらも泣いてしまった。丁度俯いている視線の先くらいの席だった時、泣きながら噛み締めてる表情が切なくて胸にきた。

そしてそのまま睦のお見舞いに行くわけだけど、ここのシーンすごく好きで、いつも噛み締めながら見てしまっていた。はやる思いを一つ一つぶつけるように丁寧に話しながら、時折胸がいっぱいになって上を向きながら真剣に睦に向き合っていて、睦のこと何もわかってなかった…と2人で涙を流しながらお互いの気持ちを話して、本当の友達になれた~という感じがすごく良かった。最初の方の公演は聞かせてよ、睦のことなんでもって言う時に脚にポンと手を置いていたのが、公演が進むにつれて肩になって、最終的に肩を抱いて話すようになっていたり、最後に隣に腰を下ろすようになったりして、全公演を通して一層蓉司が睦の本当の気持ち全部受け止めたいっていうのがすごく伝わってきた。最後の睦のサンキューな、がいつも震えていて胸がいっぱいになっちゃうな~と思いながら見ていた。その後上屋先生に身体のことを教えられる時は、上屋先生の静かな狂気っぷりが怖かった。

最後の蓉司が哲雄の部屋に着いてから、早く自分の気持ちを伝えたいっていう気持ちが急いてる話し方がすごく好きなんだけど、近くで観ると特にはやる気持ちでいっぱいいっぱいになって泣きながら伝えてる蓉司にグッと来た。口数は少ないけど真剣に受け止めている哲雄の表情もすごく好きだし、いっぱいいっぱいな蓉司を強く抱きしめるのは思わずキュンとしてしまう。原作で言葉を遮るように蓉司が自分からキスする所が好きなんだけど、しっかり描かれてて嬉しかった。哲雄の目を見て全部わかっちゃったんだな~としみじみ思った。その後の暗喩ダンス(って言うよね!?)は2人の息のあったしなやかな動きがただ美しかった。特に蓉司が手を引かれて床に背中を預ける所の動きが滑らかですごく綺麗で好き。あと哲雄が蓉司をベッドに誘導する時、瞳が本当に真っ直ぐに蓉司を捉えていて、正直序盤は本能!って感じだった所にしっかり愛(のようなもの)が芽生えているのが伝わってきてすごく好きだった。

そのあとラストの怒涛の展開は、物語としてはすごく面白いけど、実際人が演じているのを見るとより一層運命に翻弄されることの切なさみたいなのが伝わってきて辛いな~と思った。善弥の最期も、善弥ルートとはまた違った形で彼の愛されたかった気持ちが見えてすごく切なかった。ていうか姫谷の気持ち考えるとそこもまた…。

最後の屋上のやり取りは2人の心の歩み寄りの集大成って感じで、会話の"間"が2人らしくてすごく良かった。あの優しくてどこか切ない「それでもずっと俺と一緒にいろよ」、聞いて正気でいられるオタクいるのか?いない。その後の姫谷と蓉司のやり取りは特に終盤の公演の時がすごく好き。追い込まれても屈しない力強さで、思いが高ぶって声が震えているのがすごく"もがいて生きてる"感じで好きだった。千秋楽の2人の気迫すごかったな。

プールの演出は最初はそんなに…と思ってたけど、蓉司の語りが日に日に感情が乗って泣きながらも覚悟の色のあるすごく意志の強い声色で、でも"名前を呼んでほしい"という気持ちも強く伝わってきてすごく胸が締め付けられるなと思った。

そして最後に哲雄が最寄り駅の一つ手前で降りた後のモノローグで、"屋上"と呟いて階段を駆け上がる時に、ちょっと息を切らしているのがマイクに乗ってて、気持ちが急いてる感じなのがすごく好きだったし、その後泣きそうな声でゆっくりと語られるモノローグと「蓉司…?」に胸が締め付けられてもう…言葉にできないな~…と思った。今も書きながら泣きそう。この後のダンスで、哲雄が蓉司を抱きしめようとしてすり抜けていく振付、あまりにも天才すぎるし、哲雄の目から涙がボロボロ落ちていくのが見えてもう切なくて無理だった。特に千秋楽で、中盤で哲雄から手を離して階段を登っていく蓉司がすごく優しくて切ない眼差しで哲雄を見つめているのも胸にグッと来た。一番最後の手を胸に当てる哲雄を近くで見た時、頬に一筋スーッと涙が流れた跡があってあまりにも綺麗でまた泣いた。砂川さん、泣きの演技が上手すぎる。個人的に、14日の公演のラストがすごく沁みたんだけど、丁度その公演の挨拶で砂川さんがもうズビズビです~と言っていたのが印象的だった。その雰囲気が観客席にも波及していたな…と。千秋楽も集大成という感じで沁みた。

 

この作品を観劇しながら私も、永遠ってなんなんだろう、とかハッピーエンドってなんなんだろうとか考えていたんだけど、作品を通して、自分や自分が向き合っていた大切な人が、後から思い返した時に、永遠に続いてほしかったなぁとか、その時は"永遠なのかもしれない"と感じたなぁと思えるような時を持つことが"永遠に続くこと"それ自体よりも尊くて、ハッピーなことなんじゃないかなぁとか考えた。そしてそのために大切に思う人のことをぶつかってでも愛を持って理解して、受け入れていくことが必要だってことなんだろうな~と思った。勿論自分のことも忘れずに向き合って受け入れる…みたいな。ただそれも必ずしも上手く行く訳じゃないのが人間の関わりというものなんだよね、みたいな。すごく個人的な見解だけど、私はそういうメッセージを受け取ったように思ってる。

 

千秋楽はキャスト全員から挨拶があって、レポしてる方がいると思うので詳しくは書かないけど、推しが泣きそうになって天を仰ぎつつゆっくり自分の気持ちを語っているのを聞きながら最前列でガチ泣きしてしまったのは内緒である。みなさん自分の役をすごく愛して、愛について考えて、言葉を紡がれていてすごく素敵なご挨拶だったと思った。中屋敷さんの言葉がオタクの代弁みたいになってたのはちょっと面白かったけど。笑

上でも少し触れたけど、作品を通してかなり身体を張っていたり挑戦的な演出もすごく多くて、表現的にもかなり過激な描写も多かったと思う。でも、それと対比するように登場人物の一つ一つの心の動きとか心理的な関係性の変化とかもすごく繊細に時間をかけて描かれていたと思う。それだけ生々しく深い深い部分まで描いてくれたからこそ、登場人物の心の深い部分が引き立って観ている側も一緒に胸が苦しくなったり、心が震えるのを感じられたり、切なくてグッと来て涙が出るような経験を出来たんだなぁと思った。いろいろな部分でこれからもすごく心に残る作品だなぁと思った。

最初に書いたとおり、この作品には私の推しが出演していて、それが切っ掛けで通ったのだけど、公演を通して私はこの人の表情のお芝居がすごく好きなんだな~と改めて実感したし、推しのこと好きで良かったな~としみじみ思ってしまった。常に新しい引き出しを開いて見せてくれるので本当に飽きないし、これからもまた挑戦し続けてくれるんだろうな~と思うとワクワクしてしまうな~と思う。

詳しくは長くなるから書かないけど、各日のアフタートークやライブもすごく楽しかった!!全部見られて嬉しかった。トークのセットが度々ベッドだったのは本当に笑った。笑

 

完全に余談だけど、初日の最後に櫻井さんが砂川さんと2人でお辞儀して捌けるつもりだったみたいなのに横を見たらすでに砂川さんはいなくてあれ~~!?って顔してたのが本当に面白かった。笑 しかも20日の挨拶で「あれ?待ってる?」っていう顔をしながらまた砂川さんが捌けてしまって、慌てて戻ってきて深々とお辞儀をするのを眺めて櫻井さん大爆笑、もめちゃくちゃ笑った。砂川さん天然記念物? かと思えば櫻井さんは天然ふわふわパンケーキを自分で考えたことを白状させられたりしてて可愛くて笑った。

アフトでそれぞれの印象変わった?て話になり、砂川さんは「変わってないですね」って言ってて、櫻井さんは砂川さんのこともっと怖い人だと思ってたのに「話したら自分と同じだって思った、ふわふわして柔らかい雰囲気とか」て言ってて「匂いがした?」「したね~笑」って笑い合ってて可愛くて困った。2人とも末永くそのままでいてほしい。

 

何かありましたらマシュマロまたは@post_siteimasuまで。

5年

5年前の数日前、

私はとある劇場で推しを初めて見た。

シリーズのスピンオフ作品で前作を多少チェックして向かったし、原作も知っていたので何となく雰囲気はわかっていたけど、推しのことは殆ど何も知らなかった。

 

当時、前の推しの現場に殆ど行かなくなって暫く経ち、掛け持ちしてたバンドの方をメインで通っていたけど、

観劇は変わらず好きだったので、誘われた作品や気になる作品は観に行っていた。

 

その時に誘われて観劇した作品のひとつが、推しが主演を務める作品だった。

開演して幕が開くと、当時まだ推しではなかった推しは、かなり衝撃的な格好で板の上に立っていた。あまりに衝撃的だったので(作品としては何も間違ってはいないのだが)、今でもその瞬間を鮮明に覚えている。

多分、世の中を探し回っても初めて生で見た推しがその姿だった人にはなかなか出会えない気がする。(のでよくネタにしている)

 

歌とお芝居が交互に展開されていく作品で、初見でもなかなか楽しみながら観ることが出来た。お芝居や日替わりの様子からすごく可愛らしい役者さんだな、と思いながら見ていた。そして時折挟まれる歌を聞き、歌声結構好きかもしれないと思っていた。

作品が終盤に差し掛かると、彼のソロ曲があった。

先ほどまでの可愛い雰囲気とは打って変わってすごく色気のある雰囲気で歌声を響かせていた。私はそのギャップに思わず釘付けになってしまった。変わった、と思った。

そして、聞けば聞くほど好きな歌声だった。ずっと聞いていたかった。

終演する頃にはすっかり彼を気に入ってしまって、会場でDVDを予約して帰った。帰り道にTwitterを探してフォローした。

これが推しとの出会いであった。

 

私は元々知ってからじわじわ好きになっていくことが多いタイプであったが、推しについては初めて見てすぐ「好きだな」と思った。

その後数ヵ月は卒論やら院試やらがあってあまり現場に行けなかったので、合間に円盤を買ったりキャスト館に写真を漁りに行ったりして過ごした。その頃キャスト館にはまだ推しのコーナーはなくて、作品別コーナーを漁ったりした。

 

それが終わると本格的に推しの現場に行き初めて、少し前に友達が丁度よく共演する役者のファンになっていたので、一緒に舞台に通ったりもした。イベントなんかも増えてきたので、ほぼ欠かさず行くようになって、1つの舞台に通う回数も段々増えていった。

 

幸いにも推しは割りと面白い舞台に出てくれることが多いので、作品を観劇するという視点でも楽しみながら通うことが出来ていてとてもありがたい。(勿論中には合わないな、という作品もあったけど確率的には低め)

大好きな作品の大楽で最前ドセンを引けて涙を浮かべながら熱演する推しを近くで眺めたのは良い思い出である。修論終えてハイな状態で当日券買いに行ったら最前でびっくりしながら鋭い殺陣を堪能したこともあった。

あと初めて見た作品のシリーズで、初日が最前だった時に初めて見たときと同じような経験を間近でして、なんとも言えない気持ちになったこともあった。笑

通い始めた頃の客降りのある作品では一般先着でサイドシートの前方をぶん取りステージに戻る直前に振り返ってうちわを見てファンサをくれたこともあった。隣のお姉さんがうちわを褒めてくれて推しが歩いてくるのを教えてくれてすぐうちわに気づいてポーズを取ってくれたこともあった。他にも色々あるけど、どれも忘れられない思い出である。

 

大楽の話で思い出したが、バンドに行ってた頃はあまり遠征はしなかったが、推しの現場に通うようになって、大千秋楽が地方のことも多いのでよく遠征をするようになった。

今まで行ったことない土地に降り立ったことも何度もあった。初めは迷子になりかけた土地も、いつの間にかその地に行くといつも行く店が出来たりもした。不思議なものである。友達と高校ぶりに観光した場所もあった。

遠征で思い出深いのは、病み上がりに夜行で大阪行って辺鄙な場所で3部制のリリイベ見て、夜行で帰ってきてそのまま朝(本当に朝)からトークイベントに行ったこと。発表された時は本当になんでだよって思ったけど、質問コーナーで推しが当ててくれて色紙を渡しに来てくれたので朝から行った甲斐はあった。その時に質問しようとしたらわざわざマイクのコードを引っ張って持ってきてくれたのを覚えている。推し、めちゃくちゃ優しいのだ。

どれも多分推しに出会わなかったらしなかった経験だな、と思う。

 

推しは事務所の方針なのか接触イベントはそこまで多くないのだけど、サイン会だけは毎年開いてくれて、色んな話をしてきた。出てた舞台の話をするのは勿論だけど、生放送で好きって話してたアニメの推しキャラを聞いてすごく盛り上がったこともある(?)

写真集が出た時はお渡し回が短スパンであるのがレアで、「一週間ぶりですね!」というあんまり聞かない言葉を聞いて面白くなったりした。

私は自分から名乗ったことがないけど、何度か足を運ぶうちに、いつも「あ、お久しぶりです!」と言ってくれるようになって、みんなに言ってるんだとは思うけど、それが嬉しかった。最近は接触イベは出来ないけど、オンラインでトーク会やサイン会をしてくれることがあるので、変わらず色々な話をしている。

あと印象的なのは、サイン会の時物を落としてしまった時にすかさず立ち上がろうとしてくれたり、お渡し会で写真を落としてしまった時(落としすぎだろ)スタッフさんが拾ってくれてすみませんと顔を上げたら推しはずっと見守っててくれて、出るまでずっと手を振ってくれていたこと。推し、めちゃくちゃ優しいのだ。(2回目)

 

初めてのバーイベの時はくじが当たって初めてチェキを撮った。物凄く緊張してチェキを受け取って去ろうとしたら待って!と呼び止めて握手してくれた。次の年もくじが当たって、楽屋訪問という名の1:1で今から話してどうぞ!と言われる時間を経験したりもした。始まる前逃げ帰りそうだったけど、推しはイベントで歌っちゃいました、どうでしたか?と恥ずかしそうに話してくれたので、歌、大好きだから嬉しかったですと伝えることが出来た。今のところ一番印象深かった出来事かも?と思う。

FC旅行も行った。事務所の他メンバーとファンで乾杯したりトランプしたりと中々濃い時間を過ごした。自分の描いた怪しい絵を持って何描いてあるかわかるでしょ!?と言いながら歩いていたのを眺めていた場面もあった。わからん。

そういえば誕生日に推しに初めて服をプレゼントしたくて友達連れて悩みに悩んで買ってプレボに入れたら、また数日後にあったイベントで普通に着て登場したこともあった。とても驚いたので、登場した後の記憶が若干曖昧である。その後、その服は他のイベントやスタッフの日常ブログでも何度か登場した。気に入ってくれてとっても嬉しかった。

このように、色んな事を経験しているうちに、5年が経っていた。

思ったより短いかもしれないし、思ったより長かったかもしれない。

 

推しは普段はぽやんと可愛らしい雰囲気の人だけど、役に入ると人が変わったように没入するタイプの役者である。まさに私が初めて見たときにギャップに驚いたように。

見にいく度に新しい一面を見せてくれて、その没入感で観客の感情を引っ張ってくれる、今推しの一番好きなところはそこである。

そして歌。物凄く上手いという訳ではないけれど、繊細なのに芯があって力強く綺麗な歌声が好きだ。最近観た作品で悲しい運命を辿る役をやっていた時、その切ない感じによくハマっていて思わず泣いてしまった。

あとは可愛い調子で喋っているのに突然大胆なことをする所、とにかく優しいところ、殺陣やダンスにキレがあって綺麗なところ、それもみんな推しの大好きなところである。

 

私は永遠に気持ちが変わらないことはないと思っているから、これからも一生好きです!みたいなことは気軽には言えないけど、

今は推しのことずっと見ていたいなと思うし、当分そう思っているんだろうなと考えている。5年間ずっと好きでいさせてくれてありがとう、これからもお願いします、という気持ちである。

 

普段あまり推しのこと書かないけど、節目ということで個人が特定されない程度に書き留めておきたくなった。本人以外なんも面白くない記事だけど、何年後かに見返した時に同じ気持ちでいられたら良いなと思っている。