ささやかな備忘録

いつか死ぬ日の僕のために

舞台のS席・プレミアムシートの特典グッズについて考える会

舞台作品、特に最近は2.5次元と呼ばれる作品や若手が多く起用されている作品の前方・センターブロック確約の席種のチケット(通常はS席とか、プレミアムシートとか呼ばれるもの)には、何らかのグッズが付いてくることが多い。

もらえて嬉しい品物も勿論あるが、同じ作品を何度も観に行く俳優のオタクとしては、いくつももらうと結構後々の保管に困る品物も多い。遠征時には荷物を減らしたくて配って帰ることもあるし、友達に配ることもあるが、それにも限界というものはある。この前丁度部屋の片づけをしており、それなりの年数分の様々なS席特典が出てきて、どうしよう…という気持ちになったので、折角なので、今までもらったS席特典を振り返りながら、"真に嬉しいS席特典"について考えてみようと思う。

※全てが独断と偏見です。

 

目次

 

布もの

・トートバック

割と多い特典。デザインが悪くなければ舞台期間にガンガン使って、ダメになったら替えられるので悪くはない。配ることも出来る。10枚とかあると嵩張るので保存はしづらい。

実用度 ★★★★☆

収納適合度 ★★★☆☆

困る度 ★★★☆☆

 

サコッシュ

トートバッグと似たような感じだが、私自身はあまり使用しないのでちょっと困った。バッグほど嵩張らないし、よく使う人は嬉しいかも。周りの友人達もあまり使いそうな人がいないので、行き場がない。紐を外してポーチに改造しているファンの方を見掛けて、それはすごく良いなと思った。

実用度 ★★★☆☆

収納適合度 ★★★☆☆

困る度 ★★★★☆

 

・バンダナ

付いてきた作品が作品(ヒプステ)だったので、カラーギャングか?と思ったが、お弁当を包む時には使えるかもしれない。でも正直あまり要らない。嵩張らないので保管には困らない。でも要らない。

実用度 ★★☆☆☆

収納適合度 ★★★★☆

困る度 ★★★☆☆

 

・作中の部活ジャージ

タンブリング』の特典で、作中で登場人物画着ているのと同じデザインなので、観劇しながら着ているとマネージャー気分になれるのですごく良かった。中原幸子さんデザインなので可愛くて、部屋着にも良い。めちゃめちゃ嵩張るので何着ももらうとかなり保管に困るけど、プレミアムシートの倍率が高かったので欲しい人が多くて、すぐ譲渡先が決まって渡して帰れたのであまり困らなかった。今も部屋着にしている。

実用度 ★★★★☆

収納適合度 ★☆☆☆☆

困る度 ★★☆☆☆

 

・布マスク

当時劇場だとほとんど不織布マスクが推奨されてたので使わなくない?という気持ちになった。マスクケースとセットだったりしたので、マスクケースだけで良いのに…と思った。

実用度 ★★☆☆☆

収納適合度 ★★★★☆

困る度 ★★★☆☆

 

・ハチマキ

「○○親衛隊」の○○部分に好きなキャスト(キャラクター)の名前を書いて使えるようになってるハチマキ。『歌謡倶楽部艶漢』のバナナシート(前方エリア)の特典。「○○親衛隊」は原作準拠の設定で、ショー形式のイベントだったので、付けてキャストと盛り上がると気持ちが高まるという意味では割と楽しい特典だった。しかし終わった後どうすれば良いのかわからないし、人にもあげられない。私も正直どこに仕舞ったか覚えていない。

実用度 ★★☆☆☆

収納適合度 ★★★★☆

困る度 ★★★★☆

 

布もの以外の実用系

・チケットケース/チケットホルダー

まあまあ良くある特典で、大抵が小さめサイズのクリアファイルのような形状のもの。電子チケットでない限り紙のチケットを持ち歩くものは必要になるし、作品ごとにデザインにオリジナリティがあるし、割と消耗品なのでいくつあっても困らないのでありがたい。ほぼ同じ形状でマスクケースという名前の場合もあるが、サイズが微妙に違うくらいで大体同じもの。

実用度 ★★★★☆

収納適合度 ★★★★★

困る度 ★☆☆☆☆

 

・コンパクトミラー

私が以前もらったものは結構可愛かったので普段使い出来た。(ミュージカル『魔界王子』の時のもの) ミラーもまあ壊れやすいものではあるので、消耗品としてスペアを保管しておくのはアリだと思うので、多少数があってもまあ許せるもの。同社の別舞台でキーホルダーミラーが付いていた作品があって、それも可愛いなと思った。

実用度 ★★★★☆

収納適合度 ★★★★☆

困る度 ★★☆☆☆

 

・DVD

劇中歌のMVのフルバージョンが収録されたDVD。回替わり特典だったのもあり、これは特別感があって嬉しかった。ダブり分は来られなかった友だちにあげたので丁度良かった。

実用度 ★★★☆☆

収納適合度 ★★★☆☆

困る度 ★☆☆☆☆

 

・ホッカイロ

寒い季節の特典。消耗品だし人にも配りやすいし嵩張らないけど、袋にキャストの写真がプリントされているので若干使いづらかった。でもまあいざとなれば使えるので、そんなに困らない。

実用度 ★★★★☆

収納適合度 ★★★☆☆

困る度 ★★☆☆☆

 

スマホリング

デザインが凝ってて可愛かったけど、使用しないのでどうしよう…と思ったまま引き出しに仕舞われている。コンパクトサイズなので収納には困らないが。使う人は嬉しいかもしれない。

実用度 ★★★☆

収納適合度 ★★★★☆

困る度 ★★★☆☆

 

・傘

今までの特典の中でトップ・オブ・どうしろと?だった特典がこれ。(艶漢の特典) 折り畳み傘とかではない。プリントの入った大きめのビニール傘(しかも回替わりで色ランダム)。 雨の日の観劇時は何故か2本の傘を持って帰らなくてはならないという不可解な事が起こった。実用性は確かに高いけど、何本もあるのはかなり困る。1本は暫く使っていたけど、それ以外は未だに押入れの奥に仕舞われている。

実用度 ★★★★☆

収納適合度 ★☆☆☆☆

困る度 ★★★★★

 

紙もの

・ミニビジュアルブック/ミニフォトブック

メインビジュアルやブロマイドとは異なるアザーカットのキャスト写真などが収録されている小さな冊子。そこでしか見られない推しの別ショットが見られるので単純に嬉しい。沢山あると困るかもしれないが、持ち歩きやすいし、人にも紹介がてら配りやすいし、そこまで困らないかもしれない。

実用度 ★★★☆☆

収納適合度 ★★★★☆

困る度 ★★☆☆☆

 

・パンフレット

物販で売っているものと同じパンフレットがプレミアム特典で付いてきたことがある。買えるものをわざわざつけるというのは理解が出来ない。何冊も要らないし、嵩張るし、配り辛いしとても困る。

実用度 ★★☆☆☆

収納適合度 ★★☆☆☆

困る度 ★★★★☆

 

・カレンダー

個人的に困る特典第2位。年末の舞台作品に付いてきがち。絶対に1年しか使えない上にスペアが全く要らない品物だし、そもそも俳優のオタクは大量にカレンダーを所持しているので、使用することすらないこともある。かなり困る。取り敢えず友だちに配ってみるが、限界はある。トップ・オブ・困るは傘だと思っているが、付属頻度を考えると一番消滅してほしい特典かもしれない。

実用度 ★★☆☆☆

収納適合度 ★★★☆☆

困る度 ★★★★★

 

・ポストカードセット

キャスト全員分のポストカードのセット。それなりに嵩張るので沢山あると困る。大抵のオタクはバラバラにして交換している。

実用度 ★★☆☆☆

収納適合度 ★★☆☆☆

困る度 ★★★★☆

 

・ミニレターセット

極上文學の特典で、古川紙工のそえぶみ箋シリーズの作品オリジナルバージョンだったんだけど、作品に合わせたモチーフと作品の判子の柄ですごくお洒落だった。使いやすいし、消耗品だからいくつあっても困らないし、良い特典。ただし、極上文學だから出来る特典のような気もする。同作は手拭いとかトートとかが特典のこともあったけど、レタセが一番良くない!?と思う。

実用度 ★★★★★

収納適合度 ★★★★☆

困る度 ★☆☆☆☆

 

・特典用ブロマイド/トレカ

大抵の場合、販売分とは別のカットのキャスト写真が使用されていることが多いブロマイドやトレカ。ランダムなこともあるが、単純に推しの別ショットが見られるのは嬉しいし、何枚あっても嵩張らないので困らないし、配りやすい。

実用度 ★★★☆☆

収納適合度 ★★★★★

困る度 ★☆☆☆☆

 

結論

シンプルにブロマイドやトレカを付けてもらえるのが多分一番嬉しいし、ありがたい。

 

*****

こうして並べてみると本当に多種多様な特典があってユニークだな~と思うし、制作側も色々試行錯誤の末に特典を決めているのだろうな~というのが伺える。

でもやはり、シンプルで嵩張らないものが一番ありがたいというのが事実である。何故なら、オタクはそもそも荷物が多いし、推しの写真が増えるのが嬉しくないオタクは少ないと思うので……。

 

記事に上げている以外で面白い特典をもらったことがある方がいれば、是非教えてください。

「貴方の選択で貴方の世界が作られる」ー演劇調異譚「xxxHOLiC-續-」ホリ譚 感想ほか

普段、観劇の感想などは公演期間が終わった後に書き始めることが多いのだけど、感想を書く公演というのはすごく良い公演だったことがほとんどなので、折角なら興味を持った人が観に来てくれるきっかけになればな~と思い立ち、今回は公演中に感想を書き始めた。しかし、始めてすぐに残りの東京公演が中止となってしまい、悲しみながら兵庫公演是非観に来てね…という記事にしよう…と思っていたらそちらも中止になってしまい、筆が止まってしまっていた。

しかし、とても素敵な公演だったことに変わりはないし、初日のアーカイブ配信が始まったようなので、気になったら配信を見てね!という意味でも、いつも通りの備忘の意味でも、感想を書き留めておこうと思う。

太田さんは無事に退院されたとのことで、本当に良かった…お大事になさってください…。

というわけで、演劇調異譚「xxxHOLiC-續-」の感想など。

※ネタバレ有なのでご注意ください。

 

*****

ホリ譚は初演も推しが出ていたので10公演くらい観に行った。

推しが演じたキャラクターが本筋に絡む話はそこで済んでいたので*1、次回作には出ないだろうな~と思いつつ、話の構成と演出がすごく好みだったし、キャストのイメージもぴったりだったので、推しが出なくても次回作があったら是非行きたいなと思っていた。(個別の記事は書いてないけど、2021年観劇まとめに感想を書いている。) なので、「續」にも推しが出ると発表された時はすごく嬉しかった。

忙しい時期が被っていたので10公演強観る予定でいて、途中で中止になってしまったので、観劇出来たのは初日含む5公演。(神戸も行く予定だった。)

 

初演のラストが俯くひまわりちゃんで終わっていて、次回作はきっとひまわりちゃんの話が来るぞ~!と思っていたので、しっかり物語の1つのターニングポイントとして描いてくれて嬉しかった。その他のお話のチョイスも、オムニバスでありながら初演以上にテンポ良く流れていくように思った。

 

初めの写真の女性の話は、侑子さんの"願いを叶える"ということへの思想とxxxHOLiCのダークな世界観が伝わってきて、掴みとしてベストチョイスだな~と思った。初日は急に美女の推しが出てきたのでめちゃめちゃ驚いたけど…。笑 曖昧な記憶だけどモデルか女優かな設定だったかと思うんだけど、写真を侑子さんに渡しながら目を逸らす視線や、この写真より嫌なものなんてないわ!って叫ぶシーン、写真に映らないように歩き惑うシーンなんかは、仕事柄なのか"女性的な女性"な彼女の様子が表現されていてすごく良かった。(突き落としてしまった女性が映る写真を消す対価として記録媒体に映ってはいけないという注意を聞いた時の「え?」の声の震えも迫真だった。) 侑子さんがさらりと対価を告げるシーンは何度見ても美しいのにすごく不気味で、震えそうになる。

ステージ後方に下りて来る半透明のフレームのセットも"動く写真"の不思議さと不気味さを演劇らしく表している表現で好きだった。写真は演劇的に表現されているのに対して、この話の終わりに依頼主がこの先何にも映らないなんて不可能だろうということを表わすシーンは映像での表現になっていて、この使い分けが絶妙だな~と思った。あと、ビビってる四月一日が可愛かった。四月一日のバタバタ感は今作も健在で嬉しい。阪本さんの大袈裟だけどわざとらしくなりすぎない生き生きとした表情や動きの匙加減が好き。

 

この導入的なお話のあと、単発のお話の積み重ねで四月一日の意識の変化・ひまわりちゃんの秘密への道筋へ少しずつ繋がっていくのが、1つの舞台の流れとして完成していて素晴らしいな、と思った。(実際、初演未見の友人が何人か観に来てくれたけど、面白かった~!と話してくれた。)

個々の話で特に良かったのは、四月一日と佳朱弥さんの話。佳朱弥さんは原作には無い名前だったので、もしかして原作で自分の一番好きな話かな?と思いつつハッキリは分からなかったのだけど、初日に観劇したらそのお話だったので非常に嬉しかった。

四月一日と佳朱弥さんが出会って、四月一日の素直さが佳朱弥さんの救いになって、佳朱弥さんの包み込むような優しさが四月一日の心の孤独を埋めていくという心の動きが丁寧に繊細に描かれていて、漫画同様に2人が仲を深める様に説得力があったし、優しさがしんみりと胸にしみた。と同時に、結末を知っていたので、それが余計切なさを増幅させて…。佳朱弥役の加納さんは女形のプロなので、四月一日への接し方や話し方がどれも包み込むように暖かくて、両親を早くに亡くしている四月一日に母のような温もりを感じさせるものだったことが見ているだけですごく伝わってきた。途中に時間の経過を表わすように2人が回りながら日々を過ごしていく演出があるのだけど、その時に流れているストリングスとピアノの入った曲がすごく良くて…。(いつもここから泣いてる人になってた) 日々を過ごす中で秋が深まって寒くなっていく空気感も舞台上から客席に伝わってくるのがすごいなぁと思った。それと同時に、2人が回る時に小物の受け渡しをするのが"邪気"のアンサンブルの方で、段々と四月一日に近づく"黒い影"を表わしているのが上手すぎる~…と感動した。ベンチに座る2人の後ろには大きな黒い影があり、そこから四月一日はどんどん体調を崩していくので…。

最終的に百目鬼が佳朱弥さんの正体にうすうす感づいて、四月一日を救うために矢を放つシーンでの彼の反魔のパワーが黒く蠢く邪気に対して白衣装のアンサンブルの方の舞でしっかり差別化されているのも好き。侑子さんにあの人の正体、聞きたい?って聞かれて涙を浮かべながら話しているのが、心が動いている様を見せているようですごく良かった。最終的には彼が選んだことなんだなとしっかり伝えてくれているようで。あとひまわりちゃんが度々四月一日に告げたその人きっと楽しみにしてるよ、喜んでくれるよ、という言葉がすごく力強くて、自分に重ねている部分もあるのかな~と思ったりした。あとこの話の侑子さんの衣裳がめちゃめちゃ好き。髪飾りが素敵。

 

「續」はこのまま小指関連の話を拾ってラストに繋がっていくけど、物語間で箸休め的に座敷童・雨童女猫娘がコミカルに出てきてくれるので嬉しかった。猫娘は本筋でも出番ありそうだけど、あとの2人の出番をどうやって作るんだろうか?と思っていたので、四月一日に会いに行くために特訓!から始まり、やっと会いに行けて、その時に座敷童が「その小指、誰と指切りしたの?」と声を掛けることでただの箸休めではなく、次の話へ繋ぐ役割にもなっているのが良かった。今回の日替わりは座敷童と雨童女の特訓だったけど、毎回恥ずかしがるけど結構強めのボケを入れて来る座敷童と冷静だけど偶に熱くツッコむ雨童女に毎回笑わされた。

男ってのはね…小さいのが好きなのよ!という雨童女の言葉を聞いて、座敷童が小さい、小さい…と呟きながらしゃがんでオギャ!とい言いながら近づいてきてもうカワイイ~~!と雨童女に抱きしめられる回がすごく可愛かった。あと、2週目の終わりで初演よりパワーアップした四月一日のお面が出てきて、、雨童女にお面の表見ると照れちゃうから見ないようにねって言われてるのに、裏返して見てキャ~///って言いながらバタバタしててフリじゃないのよ!て怒られる座敷童も可愛かった笑 雨童女が座敷童のマネして、四月一日を座敷童が演じた時に何で何も言ってくれないの!?→アンタのマネしてるからよ!!→私っていつもこんななの~!?と困惑するのも良かった。笑 猫娘の金魚を座敷童がリリースするのも可愛かったな。

あと猫娘と座敷童のお返しのお返し~も良かったな。妄想が溢れだす座敷童も可愛かったな。混乱。座敷童と雨童女の新しい衣装すごく可愛いよね。雨童女のワンピースが生地に地模様があって高級感があって素敵だった~傘も合わせて白になっているのも良かった。座敷童のワンピースは素朴で可愛い感じにぴったりな生地感だったな。最前列で近くから見ても見劣りしない衣装、素敵。猫娘役の三井さんはへそ出しに適した体型ですごいな…と思ったし、お転婆に動き回る姿が見ていてとても楽しかった。

猫娘は水汲みの話の時に出て来るけど、あの話の風呂敷が飛んでいくシーンで、邪気が風呂敷を受け渡していく演出が寒気と風を両方しっかり感じられるのがすごく好きだった。こういう所が映像ではないのかなり好きだな~と思う。

 

座敷童と四月一日の再会の後、侑子さん、座敷童、雨童女が疼く傷が、という歌を歌うんだけど、3人が無表情と陰のある表情の境目の顔でぽつり、ぽつりと歌っていくという静かなおどろおどろが、後ろで起きている四月一日がひまわりちゃんが叩いた肩から窓に落ちる様子の恐ろしさとリンクしていてゾクッとする場面だった。

ひまわりちゃんと四月一日の対話シーンは、ひまわりちゃんの強がりな話し方がすごく切なかったし、次は死ぬかもしれないよの低く、真剣な声にも胸が苦しくなったけど、それを四月一日が何でもなかったような様子で"次"の話をする様子がすごく暖かった。あの声の作り方も凄く良かったな。ひまわりちゃんはこういう友達からの"普通"の反応が一番欲しかったんだろうな~というのを強く感じた。それを下でずっと待っている百目鬼四月一日のことを大切なんだな~というのが伝わってくる構成だった。(四月一日が寝かされているミセのベッドのセットが原作そのままですごい…!と思った。)

侑子さんが四月一日に語りかけるのもすごく優しい声色で良かったな。キャストさんも言っていたけど、太田さんの侑子さんの語りかけは、まるで客席にも語りかけているような不思議な広がりと説得力があって、すごく良いよね。

そして、ひまわりちゃんのあの歌すごく好きだ~!「あなたの隣 もう歩けない でも繋がっている」というニュアンスの歌詞が切ないけど暖かくてすごく素敵だった。下手の2列目くらいだった時、ひまわりちゃんの「四月一日くんの嘘つき」の泣きの演技が良く見えて、それがすごく良くて…。後ろ向いて捌ける時まで背中が震えてるのがもう…。(初めの頃は赤澤さんがあまりブラウスの肩を落としていなくて見えなかったんだけど、後半の回で背中の傷跡がハッキリ見えて…ひまわりちゃんの覚悟がより伝わるな~と思った。) たんぽぽのシーンも素敵。あのシーンの後に百目鬼が持っててあげたひまわりちゃんの鞄を、四月一日が奪い返そうとして誤って百目鬼の鞄を持っていってしまい、それ俺のだけど…となっているのが微笑ましくて、また日常が戻ってきたんだな、の象徴にもなっていてすごく良かったな。

 

初演のお話って、四月一日が侑子さん達との出会いの中で「貴方の世界は貴方が作るの」の意味を段々と知っていく段階の話だったと思うけど、今回の「續」は、「貴方の選択で貴方の世界が出来る」を実行出来るようになってきた話だな、と思った。自分が危ないと知っても佳朱弥さんへ会いに行く選択、百目鬼の選択を怒りながらも受け入れるという選択、自己犠牲でひまわりちゃんが悲しむことを知ったから彼女の不幸を肩代わりしないという選択、どの話も四月一日の成長を表わす物語としてこれ以上ないセレクトだな~と思った。単に徐々に成長していく過程をピックアップするのではなくて、演目ごとにしっかり「この変化が生まれる」という点を提示してくれるのが好きだな、と思った。

自分に出来る形で周りの人を大切にすることが出来るようになってきた四月一日が、今後の舞台でどのように描かれていくのかすごく楽しみだな~と思う。原作のツバサとのリンク部分をバッサリカットしているので、最終的にどう締めるのかもすごく気になる。エンディング後の侑子さんとの対話も気になるところだし。(Wカテコの後にあの対話を入れるのはすごく挑戦的だな~と思った。怪しくて謎を残す終わり方がこの作品らしくて素敵でした。)

初演のエンディング曲が大好きなので、今回もアレンジで嬉しかった! ラストで桜吹雪が舞う中でキャストが揃うのは圧巻だなぁと思った。ステージセットの完成度もこの時に特に感じたかも。桜吹雪が照明の関係で薄紅にも青にも見えるのがすごく綺麗だし、人間とは摩可不思議なもの~という二面的な部分が感じられる(?)のも、この世界観にぴったりだなと思っている。

 

文中で度々触れたけど、キャストさんたちもインタビューなどで話しているように、本作はかなり演劇らしい演出(プロジェクションマッピングで表現しそうな所を、人の動きを用いて表現する、など)がメインになっていると思う。私は演劇観に来たなら演劇でしか見られない演出が見たいという部分が強いタイプなので、この見せ方はすごく嬉しい。

ただ、松崎さんはそれだけではなく、ここだ!というポイントでは映像も使用するハイブリッドな形になっていて、2つがうまく噛み合って独自の世界観が出来ているのですごい。現代の演劇に使える良いテクニックの良いところですごく上手いなぁと思う。松崎演出の作品たぶん他には観たことないと思うんだけど、機会があれば観てみたいと思う。

あと初演の時も女性役のキャストがより美しく、可愛くなっていくのが素敵だったのだけど、再演は初演を踏まえて一層それぞれのキャラクターの持つ魅力に合った仕草や表情を体現していてとても良かった。誰かがインタビューで、女性のキャラクターを演じるというのは、女性を演じながらキャラクターを演じるという二重性があるのが難しいと話されていたのを覚えているけど、本作はどのキャストの方も"女性"を通って"キャラクター"に繋がる道筋(?)がすごく滑らかだったから見ていて安定感があったな…と思う。

 

冒頭でも述べたけど、現在初日のアーカイブ配信を行っているようなので、ご興味があれば是非。

engeki-xxxholic.com

このシリーズは是非これからも続いていってほしいし、また「續」の再演でも、新作公演でも(気が早い)、ホリ譚の世界に浸れる日が来るのを楽しみに待っている。

*1:原作の漫画は出ている所までは読了済。

アイドルのおたくって命懸け―げんじぶのリリイベに行った話( 2/25「無限の終わり」アリオ柏)

2月某日、朝7時過ぎ

関東とはいえ都内からは大分離れた柏の駅。

駅から更に遠い場所へと向かうためタクシーに乗りながら、

一瞬我に返って「私はこんな早朝に何故こんな所に…」と頭を抱えた。

 

**********

事の成り行きを話すとあまり関係のない話もそれなりに長くなるけど、備忘だしまあ書き留めておこうと思う。

事の発端は、数年前にスーパー戦隊にハマった友達に勧められてゼンカイジャーを見始めた流れでドンブラザーズを見たらすごく面白かったので、夏映画を見に行ったことだった。

ドンブラザーズの映画は仮面ライダーバイスと同時上映だった。リバイスは見ていないので友達の説明を聞いて特効がすごいなと眺めていたのだけど、そこで恒例の所謂顔見せで登場したのが、次回作の仮面ライダーギーツだった。そのデザインがすごく好みで、気になってしまったのが始まりだった。

仮面ライダーは自分がいる界隈上(?)誰々が何に出てる、みたいなのはそれなりに詳しいのだけど、通して見たことはなかった。脚本が前に作・演出舞台を観たときにすごく面白かった高橋悠也さんだったのもあって、見てみよ~という気持ちになり、しっかり制作発表から見始めた。

 

めっちゃ面白いじゃん!?!?

世界を救うゲームが軸で、それを繰り返しながら少しずつ登場人物の中身が見えてくるのが面白いな~と見ていたら途中でメタ的などんでん返しがあって軸が変わって、うわ~見せ方が上手いな~と思っているうちにまた驚きの事実が明かされて、伏線の回収の仕方とかそれぞれの話の重ね方が上手くてすごく惹き込まれてしまった。

あと"推し"という存在に関してメディアでも取り上げられる今の世の中に対して、誰かを応援するということはどういうことなのか、その行為の(言ってしまえば)グロテスクな部分を現実の"私たち"の在り方に重ねているように見えるのも面白いな、と思っている。勿論アクションもカッコイイ~!!

 

その物語の中で、私が一番心を惹かれたのが、吾妻道長という人物だった。

初めはクールでちょっと性格の曲がったワリィ奴だ~くらいの感想だったんだけど、5,6話の彼には彼なりの曲げられない思いと信念があり…勝つためでもそれに背くことはしない…という在り方と人の良さが滲み出ちゃってる様子を見て、あ~この人真っ直ぐで不器用なだけなんだ…とその人間らしいギャップで好きになってしまって…。

あとわたし、ヤンキーのツンデレキャラがこの世で一番好きなので、「令和にこんなストレートなガラの悪いツンデレが…」と感動してしまって(?)、それもあってすごい好きになってしまった。今は大分ヒールな立場だけど信念は曲がってないし、すごく割り切ってるように見えてふとした表情に言外の気持ちが見え隠れするので目が離せないな~と思って見てる。あと新衣装良すぎ……。

 

そして、ヒールの役って一歩間違えると本当にただの嫌な奴にしか見えないこともあるから難しい立ち位置だなって思うんだけど、そこの匙加減(憎めない感じ)を杢代和人くんがすごく魅力的に演じられてるのがすごく、良いな~と思って…。あと上でも触れたけど、表情の作り方がめちゃめちゃ良い。強がりで頑固そうだからこの発言本心なのかな?と思う部分があるから、その絶妙な揺れ動きが表情に見えるのがすごく好き。杢代くんが演じてるから魅力的になってる部分も少なからずあるな~と思って見ている。

そうなってくると根が俳優のオタクなので(?)、普段どんな感じなのか、どんな活動をしてるのか、杢代くん自身のことが気になってくる。作品関連のインタビュー動画を見てると、す~ごいお茶目でカワイイ!カワイイ人、好きだ…。しかもツッコみが出来るタイプっぽくて信頼出来る(?)

 

杢代くんのことを調べていると辿り着いたのが、普段はグループ活動をしていること、そのグループが「原因は自分にある。」という名前であることだった。多分ギーツを見始めた時に名前は見掛けていたのだが、グループ名だと思ってなかった。何かの番組名だと思ってた。違った。修論で男性表象について論じるときにJUNONを30年分くらい捲り続ける日々を送ったことがあるので、EBiDANと聞いてすぐなるほどスタダ…!になった(?)

私は音楽が大好きだけどアイドルの音楽はハマれることが少ないから、最初はアイドルか~と思ってしまったんだけど、まずは曲とパフォーマンスに触れてみることにした。確か初めは公式のYouTubeに上がっている「柘榴」のライブ映像と「原因は自分にある。」のMVを見たんだったと思う。

驚いたことに、アイドルと聞いて想像していた様相とは違っていて、すごく好みの楽曲とパフォーマンスだった。私はどちらかと言うとちょっと暗くて、湿っぽかったり、ひねくれていたりする楽曲が好きなので、実のところ、かなり好みだった。ダンスや演出もくどく無くてお洒落で好きだ~…と思った。

それからは勢い良く、曲を粗方聞いて、見られるMVとかライブ映像を次々に見るなどした。パフォーマンスの中でメンバー各々が自分の個性とか得意な部分を活かしているのがすごく良いな~と思った。私は男性アイドルのオタクをしたことがなくて、バンドはずっと行ってたけどグループのオタクは1度だけ…みたいな感じなのであまりわからないけど、役割分担がすごく自然で綺麗に収まってるのが良いなって。そしてメンバー同士で楽しそうにしている時、みんなカワイイ~~!になる。余談だけど大人数グループだと名前も顔も覚えるのに確実に時間がかかると思ってたんだけど、スッと覚えられた。

曲は選べないくらいどの曲も好き!!アルバムとしては「虚像と実像」がめちゃめちゃ好きなんだけど、曲は敢えて言うなら「無限シニシズム」「半分相合傘」「貴方に溺れて、僕は潤んで。」*1辺りかな。でも、やっぱり選べない。歌詞も言葉遊びが効いてるものが多くて、世界観が好きだな~と思うものが多い。多分そもそものコンセプトが自分好みなんだろうな。作詞作曲者もなんだか納得の顔ぶれなので安心する(?)

ライブ映像がもっと見たくてアルバムのFC盤買ってげんじぶ空間の映像見てたんだけど、カメラワークとかもめちゃめちゃ良くて、何度も見返してしまっている。色気のあるパフォーマンス好きなので、それを表情から感じられるのもすごく良いなって思った。あとこういうこと言うのはアレなんだけど、歌唱力に一定の担保があるのが本当にありがたい…。ていうか潤くん歌上手すぎない!?潤くんのよく伸びる声と歌好きすぎる。凌大くんのしっとり雰囲気のある歌も好きだなぁ。

 

と、この辺で完全に頭から抜け落ちてた情報を目にして一旦頭を抱えることとなる。メンバー全員20歳前後で、杢代くんに至っては現役高校生(もう卒業(たぶん)だと思うけど)だったことである。私は年下の芸能人を好きになったことがないので、犯罪にならないか心配になってきた。(※なりません) *2

その年代であの色気とかアンニュイな雰囲気が出せるのか~すごいな~と思った。でもみんなで話してる時は年相応にワイワイしてて可愛い~~…。

 

杢代くんは撮影の関係でグループ活動を制限しているので、げんじぶの活動をしている杢代くんを見にいけることは暫くないかな~と思っていた。(げんじぶ空間case.5もタイミングが合わず行けなかったので…)

思っていたのだけど、2月のある日Twitterを開いた私の目に飛び込んできたのは「今週末のリリイベに杢代和人が参加します!」という告知だった。今週末!?!?あまりにも急な告知に、一旦画面を閉じた。*3 ずらせそうだけど一応予定はあったので、本当に行くのか…?を何度か自問自答して数日過ごしたけど、今行かないと次がいつになるのかわかんないんだよな…と思うとやっぱり行こうという気持ちになった。

初めてアイドルのリリイベ行こうと思っててさ、柏まで…と友達と話ながら詳細を見ていたら、柏駅から歩いていける距離ではないことが判明し、初現場から何故こんな僻地に………という気持ちになった。まあ行きますが…と言いながら情報収集してたら、気合入れて行かないと特典券がもらえなそうな予感がしてきて、こういう時は…タクシーです!と、すぐ朝7時にタクシーを手配した。タクシーを予約しながら再度(初現場から何故こんな修羅を………)と思ったが、行かないで後悔するの嫌だし行くぞ!と予約をした。

 

ここで冒頭に戻る。

朝4時に起きて飛び出すと世界はまだ夜で、千葉に向かう電車の中で日が昇った。

タクシーで一瞬我に返りかけたが、幸いにも相乗りしてくれる優しい同行者の方が見つかって、お話していたらあっという間に会場のアリオ柏に到着した。会場には既に沢山の人がおり…とかいうレベルじゃない人数の人が並んでおり、2人で顔を見合わせて「???」になった。かなりまだ冷え込みの酷い日だったのに、みんな何時から並んでいたんだろうか。アイドルのおたく、命懸けすぎる。

待機初心者の私は交通手段の速やかな確保以外考えていなかったんだけど、同行者さんがレジャーシートを持ってきていて貸してくれた。ありがとうございます、勉強になります…。それからは前に行った現場の雰囲気を色々教えてもらったり、推しの話をしたりしていたら列が動き始めたけど、買えたのはお昼を回った頃だった。しかも途中で優先エリア券終わりました!CDも無くなるかも!というアナウンスが入り、震えた。ミニライブは後ろでも全然良いけど、5時間くらい並んだからにはさすがに特典券は欲しかった。買えてよかった。適当な時間に行っても対象商品が購入出来て話せるいつもの界隈とは全然違う…。

 

ミニライブが始まる頃になっても物販がまだ続いていて、優先エリアの後ろにすぐ列があったので(そんなことある?)取り敢えず見やすそうな場所で待っていたら、完売後にテープを外してくれてもう少し前の見やすそうな場所に行けてありがたかった。

公開リハで別の曲歌うのが見られると教えてもらって、楽しみにしていたらメンバーが登場して、潤くんがアカペラで以呂波をゴリゴリにワンフレーズ歌ってくれて良いの!?!?!?になってしまった。(リハ曲はトラライだったのに) 良すぎる。メンバーの音チェックを見られる機会があるの、良いな。寒さを気遣ってくれるのも最高。

ミニライブは無限シニシズムのMV衣装だったんだけど、杢代くんの頭の白いリボンが好きすぎるので生で見られたの嬉しすぎる~~!風にヒラヒラ舞ってて杢代くんの美人具合に拍車をかけてた(?)「魔法をかけて」の時、杢代くんと空人くんが向かい合ってにっこにこしてるのが可愛くてホワ~ってなってたら次が「無限シニシズム」で、ダンスが本当にカッコよくて…。顔に手を当てる振りもすごく好きだし、サビの複雑な振りつけもカッコ良い~!!あとメインの歌が流しじゃないの本当に良いよね…潤くんの「夢みたいな愛なら見てみたい」の歌い方が好きなのでニコニコ聞いてた。

MCで各々のオススメ楽曲の話聞けたのも嬉しかった。メンバーから生で曲のポイントとか聞けるの、うれし~!でも好きな曲選べないよね…笑

最後の曲が「原因は自分にある。」だったのも嬉しかった。初現場のミニライブでデビュー曲聞けるのは結構ラッキーだなって思う。メンバー全員で並ぶ所見て、生で見られて嬉しい~!になった。そして、これがスーパー杢代タイムか…!も体験出来て良かった♡ 後ろの方にゾンビバックル持ったちびっこがいたみたいで杢代くんが嬉しそうに「ごめんね今は杢代和人なんだ~ちょっとチャラい!笑」って言ってたのが可愛かった。

 

その後グループショットだったんだけど、パーテーション無いの初めてでびっくりした!笑 (そういうもんらしい) でも整列しながらずっとメンバー見ていられるのは確かに嬉しいかも。順番が近づくにつれ、メンバーの細さと顔の小ささを視認できる距離に来て細い…カワイイ…しか言えないbotになった。実際に自分の番になって横に並んだら緊張しすぎて変な場所に立っていたらしく、写真見て潤くんにスゲー近い女になってて笑った。近くで見たメンバー、本当にみんなカワイイ~~~!!になってしまった…。

実は超英雄祭に行っているので杢代くん生で見るのは初めてではなかったのだけど、こんなに近くで見たのはもちろん初めてなので、ウエストが本当に細すぎて空間が歪んでるのかと思った。

(ちなみにこのグルショを友達に見て~!って送ったら、細くて立体感がなさすぎて何人かに「パネル??」って言われた。人間です。)

並び始めてから順番が来るまでかなり…結構時間がかかったので本当に凍えるかと思ったんだけど、メンバーはもっと寒いよね…という気持ちになった。アイドルもアイドルのおたくも、命懸けすぎる。

 

グルショが終わるのも大分時間がかかったみたいで、サイン会が始まったのは辺りが暗くなった頃だった。ショッピングモールの暖かな場所に避難出来て良かった…。初めはサイン会1回で良いかな~初めてだし…とか思ってたのだけど、同行者さんが「1回目はすべて忘れます。絶対に2回行くべき」と熱弁してくれたので、ちゃんと2回分買った。勿論2回とも杢代くんに並んだ。

お話が出来ないということでちゃんとカンペ作って行ったので、1回目は「初めて来ました」を持って並んだ。自分の番が来て、カンペを持って近づくと本当に!?うれし~!寒い中ありがと~!って言ってくれて、ニコニコしてたら顔上げた杢代くんの目のデカさで全部忘れた。(ほんとだ、全部忘れるわ)

初めは1回しか行く予定じゃなかったからどうしようカンペが1枚しかない!と思ってたんだけど、同行者さんがペンを貸してくれて…(何から何まで…) ポーズとかの指定でも良いって教えてもらったから、見てみたいポーズを書いて持っていった。「〇〇のポーズ?ハイ!」ってカードを渡す時にしてくれて、それは〇〇のポーズなのか!?だったんだけど笑、18歳にとってはそうなのかもしれない。カワイイのでなんでも良くなった。ほんと~~にカワイイ…。

 

私たちが終わったのは大体19時。12時間もアリオ柏にいるのが冷静にヤバすぎて笑ってしまった。私たちが終わった後も暫く長い列が続いているのを眺めていた。2回目の待機の時結構真面目に死ぬほど寒くて、終わりかと思った。生きて帰れて良かった。しかもあの長時間1人だったら絶対に耐えられなかったので、優しい同行者さんには本当に感謝しかない。

こうして初めてのげんじぶの現場は終了した。す~ごく楽しくて、帰ってからも結構ふわふわしていたので、早起きして行って良かったなぁと思った。そして、げんじぶのことがもっと好きになった。パフォーマンスも申し分ないし、7人がワイワイ話しているのはとってもカワイイ! いつか7人揃った単独ライブに行きたいな。待ってます!

あと私好きになった人の顔が好きなのかよくわからんみたいなことが結構あるんだけど、今回間近で見て、杢代くんの顔好きだな…カワイイ…になった。こんなことを言っていますが、グループの写真を見せてどの子が好きかわかる?と聞くと、全員が杢代くんを示します。思ったよりわかりやすいのかもしれない。(それでも推しの俳優の顔が好きなのかは未だにわからんけど)

 

そして、今回の現場でアイドルのおたくって本当に命懸けだ~~と実感した…。 このくらいの規模のグループが一番命懸けなのかも…。もっと母数が大きかったらそもそも抽選だし(それはそれで大変ではあるけど)、もっと母数が少なければ(場所に拘りがなければ)あんなに早くから並ぶ必要ないだろうし。私が普段いる舞台の界隈は、チケットさえ手に入ってりゃ開演1分前に着いても観られるし、寒い中で待つこともほとんどないので、全然違う世界だな~と思った。*4

女性のファンダムのオタクなので客層観察も結構してしまったし笑、すぐそういう部分に着目してしまうけど、やっぱりそういうのって外から見ているだけではわからないな~と思う。客観的な視点は必要だけど、飛び込んでみるのが一番面白いなと思う。好きなものが増えて世界が広がるのって楽しいね。

 

*1:全くの余談なんだけど、「柘榴」とか「貴方に溺れて、僕は潤んで。」とか、Moran好きな人好きそうだなって勝手に思ってる(?)

*2:同じく年上しか推したことない友だちに年齢の話をしたら、「…犯罪ではない?大丈夫?」って言われて笑った。考えることが同じなんだよ。

*3:友達からスタダあるあるだと聞いた…。

*4:運営が酷すぎて記憶から消してたので忘れてたけど、私の推しの事務所の昨年のカレイベで、朝9時くらいに並びに行ったら販売開始前に事前告知なしで整理券配り出して大ブーイング起こった事件があったりしたのでそういう経験が無いわけではないんだけど、都内だし、ずっと並んでる必要もないし夜まで在庫あったし、やっぱり大変レベルは違うな、と思った。

ファン文化の「あがる(上がる)」と「降りる」に関するノート ー「担降り」「他界」「卒業」ほかオタクの"ファンを辞める"言葉について

「あの子、〇〇(俳優)はあがったって言ってたよ。…あ、違った"降りた"だったわ」

俳優のオタクと話している時、度々こういった発言をしてしまうことがある。

 

ここでの"降りる"という言葉は、ファンをしていた(熱い眼差しを向けていた、熱量を持って応援をしていた、位の強めの表現の方が正しいか) 俳優のファンを辞めることを指している。元々はアイドルオタク文化、というよりジャニーズのファン文化で使われている"担降り"*1という言葉から派生して現れ、気付けば様々な界隈に広まった言葉のようである。

一方で、私が今もうっかり使ってしまう"あがる(上がる)"という言葉は、主にヴィジュアル系のライブに通っているバンギャが、ファンをしていたバンドのライブに来るのを辞めることを示す言葉である。何かのバンドだけではなく、バンギャそのものを辞める時にも"あがる"という言葉が使われる。私はバンギャを"あがった"元ギャだが、未だにバンギャル文化が染み付いている。それで時折その頃の言葉が口をついて出てしまい、冒頭のような発言が生まれるのであった。

 

この"あがる"と"降りる"の違いについては、昔からよく言われていることがある。バンギャルたちがファンを辞める時は、圧倒的に地下に多いライブハウスから"這い上がってくる"イメージから"あがる"が定着し、ジャニオタたちがファンを辞める時は、明るくキラキラ眩しい天のような場所から"地上へ戻ってくる"イメージから"降りる"が定着していったという謂われである。実際にそういった意味で使用され始めたのかはわからないし、誰が言い始めたことなのかも今となってはわからないが*2、私もあながちそれは間違っていないと思う。

文フリで頒布した『「量産型」のゆくえ』において「量産型」と「地雷系」の相違点について考えた際に、「量産型」が最初は主に大きな会場・劇場・ファッションビルなど比較的明るく開けた場所に集まるファンの界隈(アイドル・俳優・二次元キャラ)に広まったのに対し、「地雷系」は主にホストクラブ、ライブハウス、小さなイベントスペースなど比較的閉鎖的でアングラな場所に集まるファンの界隈(ホストやメンズ地下アイドルに通う女性、バンギャル)に広まったことを論じた。これだけ界隈によって陰と陽の文化のカラーの違いがはっきり現れるのだから、使用される表現ひとつ取っても違いが現れるのは多分にあり得ることだと思う。

 

しかし、それらを踏まえた上で"あがる"/"降りる"文化について考えてみると、「不思議だな」と感じる事がある。

それは、ジャニーズを含む大手のアイドル文化よりも明らかにヴィジュアル系の文化に様相が近いように見えるメンズ地下アイドルの界隈において、"降りる"が定着していることである。

試しにTwitterで「メン地下 降りる」で検索すると、「ファン辞める」という意を含むツイートが散見されるが、「メン地下 あがる(上がる)」で検索しても、そこで見られるのは違う意味で"上がる"という言葉が使用されているツイートが殆どである*3。独特のアングラな文化を持ち、ヴィジュアル系と同じように主に地下のライブハウスや小さなイベントスペースでライブやイベントが行われているメンズ地下アイドルの様相を考えると、"あがる"の方が適しているように思えてくる。*4メン地下のファンたちはどれだけ地の奥深く深くまで"降りて"いってしまうつもりなのだろうか。

 

勿論、ここで何故"降りる"が使用されているのかということも同じように考えることが出来る事ではある。

ジャニーズで使用されている"降りる"という言葉にはもう一つよく知れ渡っているイメージがある。それは年齢が高かったり、人気が高かったりする担当から、若かったり、駆け出しだったりする担当に鞍替えする、という時間や評判の高低差に付随するイメージである。このイメージから考えると、大手であるジャニーズのファンからマイナーなアイドルのファンへ鞍替えすることは"降りる"となるだろうし、そのイメージを持ったままメン地下のファンをしていたら、そのまま"降りる"という言葉を使用するだろうというのも頷ける。実際に大手のアイドルから別の魅力を求めて地下のオタクになるというパターンは多いようなので、そういった流れが積み重なって、メン地下は"降りる"ものになったのかもしれない。

また、意味がどうということは関係なく、単純に自分がいた界隈の言葉をそのまま持って来て流用しているオタクが多いということも考えられるだろう。(ジャニオタの友人もやはり"担当を降りる"のコロケーションの影響では、と言っていた。) 日本の女性のファンカルチャーにおいてジャニーズというジャンルがどれだけ大きな影響力を持っているのかを窺わせる話である。*5

 

実際私がバンギャだった時代よりも長期間いる舞台・若手俳優の界隈でも、以前は"降りる"という言葉はそこまで使われていなかったように思う。(シンプルに"ファンを辞める"という表現を一番見かけたような。)

GoogleTwitterの日時検索で、ひとまず10年前の2013年に絞って「俳優 降りる」と検索すると上記のような意味で"降りる"を使っている記事やツイートはあまり見られない。(最も、この時代やこれより前の時代は、今より掲示板の文化が盛んだったし、Twitterの利用人口も今とは比べ物にならないほど少ないと思うので、表に出てこない部分で使用されていることはそこそこあったとは思う。)

ここから1年ごとに期間を現在に近づけていくと、徐々にファンを辞めるの意で"降りる"という言葉を使うツイートが増えていき、2016~7年頃からは大分多くなってくる。Googleの検索にもトップに近い位置に俳優を降りた人たちのブログなどが表示されるようになる。

この辺りの時期というのは、「ミュージカル刀剣乱舞」や「あんステ」の初演があり、「2.5次元」という言葉がメディアにも段々と認知されていくようになった時期である。私の記憶ではその位の頃まではテニミュドリライとかネルケのドルステくらいしか思いつかないような、演劇+ライブの形式で公演が行われる作品も爆発的に増え、直球にアイドルものの舞台も増えていく。この2.5次元舞台の増加と注目によって、ジャニーズ含むアイドルジャンルから流入してきたオタクが多いというのは私も肌感覚として感じていて*6、それに伴い"降りる"の使用がより一般化していったと考えると、それはすごく納得のできる話であるように思う。

 

他の界隈の"ファンを辞める"の意で使われる言葉はどうなっているんだろうな~と調べていると、昨年作成された下記の記事がヒットした。

【最新版】オタク用語一覧🎀二次元やアイドルも界隈別で紹介 | Lafary(ラファリー)

これが全てではないであろうが、"降りる"の勢力、強すぎる。

みんなどこまで下へ下へと降りていってしまうのであろうか。

ペン卒とは?意味や韓国語での言い方、ペン卒の理由&きっかけを調査 | tretoy magazine(トレトイマガジン)

K-POP界隈だとこれ以外に"ペン卒"という言葉も使われるらしい。二次元の界隈でも"オタ卒"なんて言葉を聞くことがある。"卒業"は分かりやすく、オタク以外の人にも伝わりやすい表現だなと思う。

 

また、先ほど論じていたメンズ地下アイドルに関連して、男性ではなく女性の地下アイドルの界隈では、随分前から"他界"という言葉が使われている。死ぬな。生きろ。とは思うが、こちらは天に昇るようなイメージがあり、雰囲気としては"あがる"に近いように思う。

オタクやアイドル用語の「他界」とは?意味や言葉の使い方、概要(元ネタ)など | 意味解説辞典

意味解説辞典に記事があったので読んでいくと、「オタクを卒業して、普通の人に生まれ変わるという決意」という意味が記載されており、なるほど天に昇る所までではなく、その後の未来も示している言葉なのか…と面白さを感じた。

この"他界"という言葉はコン喫*7界隈でも使用されており、コン喫の中でも女性客の方が多いはずの男装喫茶でも同様の言葉が使用されている。改めて、客層や文化の流入元によって表現が変わるということが良くわかる例かもしれない。

同じようにどちらかと言えばメンズ地下アイドルと近い、閉鎖的・アングラな場であるホストクラブでは、通常は担当を"切る"という言葉が使用されている。ジャニーズ界隈では"降りる"ものである担当を"切る"というのは面白い。これは姫と指名される側のホストの距離感の近さや営業方法の違いによるものであろうと推測できる。縁を"切る"という意味合いも含まれているような気がする。

 

こうして見ていくと、"あがる"を使用しているのはほぼほぼバンギャだけである。そこまで独自の文化で突き進んできたヴィジュアル系文化というものの芯の強さを改めて感じるが、地下にいる他のオタクたちも、辞める時は地の深く深くへ降りていくのではなく、是非明るい地上に"あがって"ほしい。

 

 

 

*1:ジャニーズ文化では自分の好きなアイドルのことを"担当"と呼び、担当のファンを辞めることが"担降り"と呼ばれている。ファンの間ではそれを宣言するということが結構な一大事であるようだ。

*2:私がヴィジュアル系を聞き始めた頃から聞いたことのあった話なので、少なくとも12、3年は言われている事である。

*3:テンションが上がる、自己肯定感が上がる、話題にあがる…等

*4:実際、ヴィジュアル系バンドマンを辞めてメンズ地下アイドルに転向したメンバーもいるし、メンズ地下アイドルをプロデュースしているバンドマンもいたりする。そもそもの親和性が高いのは何となく頷ける。

*5:私は一度も通ってきていないので、たまにそんなことある!?という反応をされることがある。

*6:こうした作品にアイドルグループ所属の俳優が起用されることも多く、それを追ってそのまま舞台の界隈に来る人も多い。

*7:メイド喫茶、男装喫茶などを含むコンセプト喫茶。

初めて宝塚を観た

1月某日

明日推しのイベントだな~と思いながらお風呂から上がったら、友達から連絡が来ていた。

何かな?と確認すると、明後日チケットが余っているので観に来ない?という観劇のお誘いだった。その日は丁度何もない休日で、今まで観たことのないジャンルの演劇だったので、私は喜んで誘いを受けることにした。

 

 

*******

観劇したのは

宝塚歌劇団 星組公演『ディミトリ~曙光に散る、紫の花~』『JAGUAR BEAT-ジャガービート-』である。

今までそれなりに色々な演劇を観てきたけれど、宝塚は初めてだった。

周りの宝塚が好きな人から、独自の雰囲気を持っていると聞いていてずっと気になっていたし、私は女性のファンダムとかファンカルチャーの周辺の研究をしてきたので、宝塚カルチャーにも研究書等で触れたことがあるが、文章で読むのと実際に体感するのは全く違うので、いつか現場で観劇してみたいな、と思っていた。

あと、本格的に男性も全て女性が演じるという演劇を観たことがなくて、どういう雰囲気なのかなというのも気になっていた。(逆に女性も全て男性が演じるという演目は結構観たことがあるけど) なので、当日を楽しみにしていた。

 

友達2人*1と合流して会場に入ると、何となく普段通っている現場とは客層が違っていて、興味深く周りを見回してしまった。

東京宝塚劇場は、お城にありそうな素敵な階段とシャンデリアがあり、明るくて綺麗な劇場だなと思った。

始まる前に誘ってくれた友達が、今回の1幕はしんみりするお話だけど、2幕のショーを見ると大体全部吹き飛ぶから気を付けて、と教えてくれた。(吹き飛ぶ…!?) と2幕が気になり過ぎた。同じく初見の友達と、「メガファンタジー」という名前から既に並々ならぬものを感じるという話をしていた。

すかさず自分のご贔屓の綺城ひか理さんがどの役で登場するのかも教えてくれたので、見逃さずに見ることが出来た。笑

友達とは離れた席だったけど、2階の通路後ろの席を譲ってもらい、初めて観るのにはぴったりの全体を見渡せる席だった。*2

 

1部が始まると、美しい薄紫の服を纏った女性が沢山出てきて舞い始めて、2階から見るとかなり圧巻だった。すぐに咲き誇る花だなと理解して見ていたけど、すごく綺麗な表現だった。(意外とこういう表現って見たことなくて) リラの花ってあまり馴染みがなかったし、何故この花がモチーフ?と思って観劇後に調べたら花言葉が「初恋」で、うわ~成る程…と思った。

程なくして一人の老人(美稀千種さん)が登場して、この老人も綺麗な女性が演じているんだな…。とちょっと不思議な気持ちになった。花たちの語りの後に、ドラマチックに男役の方が登場し、流石の私でもその方がトップであることがすぐにわかった。

 

この男性が礼真琴さん演じる主人公のディミトリだった。

基本的には母国の同盟の人質のためにジョージアに連れて来られたディミトリが、王女のルスダンと惹かれ合い、モンゴルとの戦いに敗れた若き王の遺言によって、王となったルスダンの夫として彼女を支えていく。しかし、他国の侵攻、母国からの侵攻などジョージアが揺れる中で、余所者として嵌められ、他国へと逃れる。そんな中でもジョージアと今後のルスダンを最期まで案じていく…という彼の生涯を描いた作品だった。

 

冒頭でルスダンがディミトリを探しに初めて登場するんだけど、彼を見つけて、いたずらっ子な顔で「どこにいるか足跡でわかる」(すごいな)と話すのがチャーミングですご~~く可愛かった。舞空瞳さん、小顔でスレンダーでとても可愛らしくてずっと目で追ってしまった。丸顔で小柄な可愛らしい女性が好きなので…。リラと同じ色のドレスもよくお似合いで素敵だし、2人のお互いに大切で信頼をしている関係性もパッと伝わってくるシーンだった。

ディミトリを連れてお忍びで市場に出掛ける時も、好奇心旺盛でくるくるとお店を回っている様子に見ているだけで彼女の素直さや可愛らしさが伝わってきた。この素直さが"王"となった時には仇になってしまう部分もあるのだけど、最終的には素直だからこそディミトリを信頼出来たのだと思うし、ディミトリもそんな彼女だから最期まで愛したのだな~と思った。

ディミトリは強くて優しくてしかも美しく、王子然としてはいるけれど、出自によって裏方に回らざるを得なかったり、ギオルギ王の死への葛藤やミヘイルの嫉妬なども描かれていたので、人間らしさを感じられた。だからこそ知性を持って進んでいくことの出来る聡明さが強調されていて、ただのカッコいい王子様ではない生き様のバックボーンのようなものを感じられるのが物語をよりドラマティックにしていて良いな~と思った。ルスダンもディミトリも最後まで芯がブレない所が共通していて、この2人だから国を守れたのかなと思ったりもした。芯がブレないというのは2人の間の愛にも当てはまるし…。

あとディミトリの礼真琴さんは、すごく歌がお上手で、凛々しい楽曲も悲しげなバラードも歌いこなしていて、そこもディミトリの人柄をじっくり知られたポイントであったりした。

 

序盤の大きな見せ場はチンギス・ハン率いるモンゴル軍がジョージアへ攻め込んでくる戦闘シーンだと思うのだけど、殺陣がバチバチの立ち回りではなくて、ダンス寄りの動きになっているのが華やかで印象的だった。中でも、両軍の戦闘服の裾が本当に綺麗に広がるようになっていて、ターンをするたびに舞台上がすごく華やかでありながら、激しく戦闘が起きている様子も表されているのが一番印象的だったかも。本当にそんなに…良いんですか!?というくらい惜しみなくターンをしてくれるので驚いた。笑  大勢のキャストが隊列を作って揃って剣を振ったり回ったりするのも迫力があって圧巻だった。

ここで指揮を取っていたのはギオルギ王で、軍を奮い立たせるように掛け声をかけるのは迫力があったし、剣を振りながら勇敢に進んでいく様にはすごく威厳があるな~と思った。ギオルギ王も芯がブレない人だったし、愛の意味をすごく理解している人だった。序盤で亡くなってしまうけど、この人の思想はディミトリに受け継がれて、終盤でも要になっていくのが良く伝わってくるなと思った。

 

ルスダンとディミトリの婚礼のシーンも本当に衣装が華やかで見ているだけで楽しかった。ジョージアダンス、初めて見たな。一緒に初見で観た友達が宰相マジ許さんと言っていたけど、宰相は本当に嫌な奴ポジだったな…。出自がどうのみたいな話って本当にどうしようもないな…と思ってしまうよね。

宰相に吹き込まれてルスダンがディミトリとルーム・セルジュークの密談を目撃して勘違いしてしまうシーンは、まさかここで足跡で居場所が分かる設定がこんな形で活かされてしまうとは…。ただ愛し合って幸せに暮らしたいだけなのに、ここから少しずつ2人の運命が別れてしまうのが切なかった。

でもディミトリは拾ってくれたジャラルッディーンを裏切って、自分の居場所を失くしてまでルスダンとジョージアのことを守ろうとしていくから、切ないけど格好良くて素敵だったし、最期までルスダンを愛していたことが伝わってくるお芝居でグッと来た。ここでギオルギ王の愛の意味を彼がしっかり受け継いでいるのが分かることもすごくドラマティックだったし、本作はキャッチコピーに「勇気とは、何か。」とあるけど、勇気よりも「愛とは何か」をより強く考えさせられる作品かな、と思った。

ルスダンも最初はお転婆娘で、即位したての頃は「あんな小娘で大丈夫か」とか言われている訳だけど、徐々に凛々しい顔つきになっていって、ホラズムからの侵攻がある頃には政治を行い、軍配をしたり民を勇気づけたりと、しっかり大人になっていく過程が描かれているのも良かったと思う。王になった後のドレスも"可愛い"から"美しい"が似合う様子になられて、すごくお似合いで素敵だったな~。

瀬央ゆりあさん演じるジャラルッディーンも渋くて格好良かった。殺陣をしている時も迫力があってすごく気圧される雰囲気を感じたし。ディミトリが自害した後も、怒るのではなく彼の誇りを尊重した振る舞いするのが大人で良いなと思った。

現代日本で生きていると国を守る、土地を守るためにいざこざが起きるみたいな事ってあまり現実味がない話だと思う。だから、彼らがどうしてそんなにも危険を冒してまで国や土地に執着するのかを全て正しく理解出来ているとは思わないけど、ディミトリの生き様を通して、当時の彼らにとってはそれが命に代えてでも守り切るべきものだったということは理解出来たのかなと思う。あまり馴染みのないテーマだったけど、最後までじっくり楽しむことが出来た。

 

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1幕が終わって連れてきてくれた友達にしんみりしますね…と話していたら、再度「今のうちにしんみりしておいた方が良いよ、全部忘れるから…」と念を押してくれた。

いや、2幕本当にどんななんだよ。

 

休憩が空けると2部の『JAGUAR BEAT-ジャガービート-』が始まった。

舞空瞳さん演じるクリスタルバードが美しく舞っていると羽をもがれてしまうんだけど、彼女の舞によって美しい国が誕生し、JAGURが誕生する…(ということらしい)という始まりだった。クリスタルバードは創造神的な存在なのかな?舞空さん、白が似合っていて可愛い~!

その後タイトルの2ndFANTASYの「JAGUR BEAT」で主題歌が流れ出して、ほどなくして極彩色の衣装をまとったキャストの方々が一斉にワッと出てきて、あまりの情報の渋滞具合に確かにさっき(1部)のことを一旦すべて忘れた。 これでもかというくらい柄オン柄のJAGURの衣装、サブキャストの方々のカラフルな衣装…2階からでもすごく迫力があって、確かにすべてを忘れた。衣装がみなさんそれぞれ少しずつ違っていて、どの方のものも華やかで見てるだけで楽しかったな。あと人生で初めてラインダンスを見ました!!これがラインダンスか~!になった。

JAGUAR BEAT」のターンで礼さんがすごくカッコイイ歌を歌いあげるシーンがあって感動してたんだけど、イエモンのRock Starだった。それは…カッコいいに決まってる。

 

その後クリスタルバードとJAGUARは別の世界線?(それとも転生?)で度々出会い、別れ、などを繰り返していくような物語だったのだけど、私が特に好きだったのは3rd FANTSY「PARADISE JUNGLE」。

カジノでクリスタ(クリスタルバード)が羽を返してほしいとバファローに勝負を仕掛ける様を歌とダンスで表現しているのだけど、舞空瞳さんのアリスっぽい衣装が本当にお似合いで可愛い~~!!一番好き~~!!他のキャストさんも何人かアリスっぽい衣装だったので、本当に可愛かった~!クリスタとバファローがゲーム勝負をしている時のふたりの得意げな表情がカジノな雰囲気に合っていて素敵。

あとどの幕だか忘れてしまったのだけど、急にクララが立ったな感じのシーンがあって何で!?になった。衣装も急にアジアンになって…色んな世界が並行しているのかな~…と思いながら見ていた。

あと、どなたなのかわからないんだけど、薄いピンクの衣装をまとって踊る娘役のキャストさんの衣装がすごく可愛らしかった。神話を題材にしている6th FANTASY「NARKISSOSー星の砂漠の恋人たちー」も美しくも少しドロッとした雰囲気が他のギラギラした幕とは少し異質で、目を引いた。

友達のご贔屓さんの顔はすっかり覚えたので、衣装の特徴聞いていたからすぐ見つけられた。笑

フィナーレは初めて大階段から順番に降りて来られるキャストの方々が圧巻だった。ミュージカルでもここまで大勢での歌唱ってあまり聞く機会がなかったので、迫力もあるしパワーもあって、エネルギーをもらえるな、と思った。あとこれが大階段か…と、友達に聞いた通り、絶対に壊れなそうな頑丈さを感じて眺めていた(?)

 

長時間の演目だなと思ったけどあっという間に幕が下りた。1部がサクサク進むから面白かったのもあったし、キャストさんも衣装も華やかだったから見ているだけでも楽しかったし。それを友達に伝えたら喜んでいた。

あと、宝塚の公演は女性が男性を演じるという以上、区別のためになのか男役は強くてカッコよかったり、渋くてダンディだたりと男性性の強調がされていることを感じていて、私はどちらかというと可愛い男性が好きなので、男役の方にはそこまで惹かれず、単純に娘役の可愛い人に目が行っていたんだなと自己分析した。わかりやすいな~…。

 

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最初に少し書いた通り、私は女性のファンカルチャーのオタクでもあるので(?)折角だから、自分が普段いる舞台の界隈と比べて驚いた事とか違うな~と思った文化について最後に書き留めておこうかと思う。

1.空気が落ち着いている

まず会場に入って思ったのがこれ。老若男女様々な方がいらっしゃるように見受けられたけど、会場の空気に忙しなさがなくて、すごく時の流れが穏やかに感じるな~と思った。別に自分の界隈がいつもうるさいとかではないのだけど、何となく忙しない空気な時があるので。会場全体がそうした空気だから、自然と皆さん穏やかな感じになるのかな。高校生の団体さんとかもいたけど、うるさくする子とかいなかったし…。

 

2.拍手ポイントが決まっている

1部でトップ男役の礼さんが初めて登場した時に、ワッと拍手が巻き起こり、拍手ポイントなんだな!?と合わせて拍手をしたのだけど、登場時に拍手が巻き起こるという現場はほとんどないので驚いた。あと2部で銀橋に男役の方々が出てきた際にも拍手が巻き起こっていたので、なるほど…と思った。2部は段々慣れてきて拍手ポイントがわかるようになっていた(?)

 

3.拍手の統制が取れている

こちらも拍手関係なのだけど、1部の礼さん登場シーンで拍手した後に、止むタイミングが綺麗にそろっているのがすごい!!と思った。何となくパラパラと長めに拍手をする人の音とかが残ることはなく、ピタッと止むので…。その後もここだけではなく、各種拍手ポイントで兎に角綺麗に拍手が止まるので、そういう文化なんだな、と思った。

 

4.パンフレットが豪華

幕間に友達が見せてくれたのだけど、マジで分厚くてなんでも載ってる。すごい。なのに安い。長期間公演で大量に刷れるものだから値段についてはそれはそうだろうという所なのだけど、インタビュー関係も充実しているし、各組の公演スケジュールなども掲載されていて見応えがあって良いな、と思った。

 

5.私設のファンクラブでの団体観劇

友達はご贔屓さんの私設のファンクラブに入っていて、その方のファンみなさんで観劇をしましょうという日があり、その時にみんなでお揃いのスカーフを巻くんだと教えてくれて、そんな催しがあるんだ!?と驚いた。その日はチケットが少し取りやすかったりすることもあるとか。ファンクラブ用のチケットケースも見せてくれたのだけど、ご贔屓さんのお写真がプリントされていたりしてすごく凝っていて素敵だった。

私の界隈ではFCってせいぜい先行があってFC特典のブロマイドが付いてちょっとした動画が見られるくらいなので、ファンクラブの持っている意味合いが全然違って面白いな~と思った。あと同担同士で団結することがそもそもほとんどないので…。(有志で大きなお花を出す時くらいかな) 宝塚の私設ファンクラブについては昔少し本で読んだことはあったけど、実際に話を聞くと思っていた以上にパワーがあるのだなと思った。

 

以上、私の異文化体験の感想と記録である。(?)

組ごとに結構雰囲気が違うということも聞いたので、他の組の公演もまた今度観てみたいな~と思った。

*1:ちなみに2人ともバンギャル・元バンギャルである。バンギャル、バンドに行かなくなっても大体何かしらでオタクをしている。(私もですが…。) 最近は周りを見ると観劇に流れる人が多い印象。

*2:オケピより前の通路に出てくる時若干手すりが被るけどちょっと頭を下げれば見えたのでOK

観劇総括【2022年編】

ようやく2023年初めらしく(?)昨年の観劇録へ。昨年は推しの主演作品が過去一多かったのが思い出深いな~と思う。あと好きなシリーズの続きが上演されたものがいくつかあって嬉しかった記憶。

 

★2月

舞台『MARGINAL#4 BIG BANG STAGE』

ヒューリックホール東京

去年の観劇初めこれだったのか…と思い出して何とも言えない気持ち。私は原作のマジフォー、というかピタドルがもう7、8年好きで、長いこと「舞台化したら文句を言いつつ観に行くと思う(そして意外と良かったと言って帰って来そう)」と言い続けていて本当に舞台化したので当然観に行ったんだけど、意外と良かったと言えるものなら良かったのにな…という感じで…。

キャスト発表の時点でキャストさんが頑張っているのは伝わるけど、明らかにミスキャスティングでは…と思う部分があり…。初日に観劇したら、今まで観た舞台の中で一番中身がなくて本当に何も言えなくなった。夢オチ?みたいなシーンから始まるけど、結局誰の夢なのかはたまた現実なのか分からないまま終わるし、話を盛り上げるためだけに脈略もなくメンバーに怪我させるし、良かったのは可愛いセットとライブパートのセトリ、ダンスを頑張っていたキャストさんたちだけだった。スタクラは超展開に慣れてるから何でもいいか、とでも思われたのかな?と腹立たしい気持ちになった。

好きな作品が適当に舞台化されるのって本当に最悪だね!!!2回目は要りません。

 

★3月

本能バースト演劇『sweet pool』

銀河劇場

舞台化と推しの主演が発表された時、本当に衝撃的だった作品。原作を知っていたのでどこまで攻めるのか気になったし、インタビューとかでもすごく気合が入っているのを感じたので楽しみにしてた。実際に観劇して、全体的にそこまで攻めるんだ!?と良い意味で衝撃を受けたし、推しもかなり体を張った演出が多くて、毎公演本気でぶつかって作り上げてくれているんだというのが伝わってきて、2021年一番印象に残った作品だった。お芝居が上手い人ばかりだったのもあって、細かな心理描写を作り込んで見せてくれたのもすごく良かった。

千秋楽のあと、6年前に好きになったのが推しで本当に良かった~…と改めて思った。

推しの主演が2年ぶり・シリーズ以外の主演が初だったので嬉しくて久しぶりに全通しちゃお~と気合入れてチケット取って、最前でも前方でも沢山観られたし、ゲネご招待やポスターの抽選が当たったりと個人的にも一番印象に残った作品だった。

詳しくは個別に書いているのでそちらで

appleringo.hatenablog.com

★4月

舞台『無人島に生きる十六人』

こくみん共済coopホール スペース・ゼロ

スプステで久しぶりの主演~♪とルンルンしていたらまさかの2連続主演で驚いた。ただ本作はW主演だから、単独主演とはまた違った色があって面白かった。嵐で無人島に流れ着いたある船の船員たちが生き延びる実話を基にした小説が原作なんだけど、16人がそれぞれの思いを胸にぶつかって逞しく"生きること"を考えながらサバイバルしていく様がすごくエネルギッシュで、観ていてすごく生きる活力をもらえる作品だった。歌も沢山あって、そのパワーがまたすごく強くてステージから客席にグッとエネルギーがぶつかってくるようですごく良かった。柳瀬さんのソロが本当に圧巻!バックの水夫ダンサーズさんたちも素敵だった。

推しの役は天涯孤独の少年(国後)で、初めは"自分"がなくて人のために死んでも別に良いと無邪気に言うような真っ白な状態から始まるんだけど、劇中でどんどん心が人間らしく成長していくのが顔つきの変化からすごく伝わって来て、初めと終わりで同じ歌でも全く違う顔をしているのがすごく印象的だった。仲良しのアザラシを殺して食べなきゃいけない…ことに対して人間の愚かさを感じるシーンがあって、そこが公演ごとに大分雰囲気が違って、激怒したり、静かに絶望したり、どれも人間らしい感情!という感じで良かった。あと、終盤で心の葛藤を叫ぶシーンがあるんだけど、千秋楽近い公演で苦しさよりも生きる上でのもがきみたいな雰囲気を感じられて、セリフ回しとか叫びがすごく人間くさい感じで、大人になっているんだというのが強く感じられて良かった。その後の歌も優しいのに力強くてすごく好き。

2幕に国後がもう一人の主人公の範多(校條さん)とぶつかる歌があるんだけど、範多のどうしていいのか分からない気持ちと、国後の仲間のために死んでもいいと歌う時の気迫がどちらも譲れない思いのぶつかりを感じてすごく熱かった。どちらが正解なんてないんだな…という。

若い船員同士がワイワイしているのもリアルにありそうで可愛かった。国後と小川の関係も素敵だった。毎回のアドリブもむちゃくちゃすぎてめちゃくちゃ笑った。あとどうでも良いんだけど、推しは3月も脱いでたので、雨が降ってきたシーンで若い船員がバッ!と服を脱ぎだして「また服脱ぐの~!?」ってなって笑った。

 

ミュージカル『FLOWER DRUM SONG』

日本青年館

3月に砂川さんを久しぶりに見て、また舞台で見たいなあ~と思って観に行った。

アメリカのチャイナタウンの人々がショービジネスを通して悩んだり成功したりする話で、皆新しいものを通して古き良き自分のソウルである心もちゃんと思い出していくのが良かった。すれ違いはありながらも最終的にはハッピーになるお話だったので気負わず観られるのも嬉しかった。ただ砂川さん演じるチャオは絵に描いたような当て馬だったので…香港で幸せになってくれ…チャオ…。リーにぐいぐいなのが可愛かったです。

ショーパフォーマンスが多かったのでその部分も華やかで見ていて楽しかったんだけど、中でもフランク莉奈さん演じるリンダが暫く頭から離れないくらい本当~に素敵だった!セクシーで抜群の歌唱力でまさにショーの華だった。しかも、女の美しさと官能性を武器に取りながらも男に寄り掛からず自分の手でのし上がっていく熱さと聡明さがあって、尚且つ他の女性に対しても"嫌な女"じゃないのがすごく素敵。フランク莉奈さん、前に見たのが2013年のロミジュリだったので、なんと素敵になられて…という気持ちになった(誰?)

 

★5月

『ACTOS★LEAGUE in Games 2022』

幕張メッセイベントホール

イベントなのだけど、大分印象的なので入れておく。俳優がゲームするのを見守るの、どんな気持ち?と思いながら行ったんだけど、すごく白熱していて盛り上がったので楽しかった。他の俳優ファンの友達と連番したんだけど、その子の推しと私の推しが初戦から当たっててその瞬間一番沸いた。笑 途中推しのチームに急に脱衣ターンがあって服を脱ぎ始めたので、また!?ってなった。笑 廣野くんのぷよぷよテトリスはもはやレジェンド。推しは驚くほど…負けていたので…最後に土下座していてちょっと可哀想でした。次があったら是非勝ってほしい。

 

『アマネ・ギナジウム オンステージ』

Theater Mixa

友達の推しが出ていたので観に行った。原作は読んだことなかったけど、まあ兎丸さんの作品だしな…と構えてはいたけどなかなかハードなお話でした。最終的に主人公のカタルシスのための設定(無意識)だったことが明かされるのは中々心に刺さった。そんなハードなお話をポップな歌に乗せてキャストが歌い上げたりするので、そのアンバランス感がシュールで逆に作品の雰囲気に良く馴染んでいたような気がする。

 

舞台『キノの旅

シアターサンモール

推しの2連続主演で驚いていたらまさかの3連続だったという作品。 3連続主演も驚いたけど、個人的に作品も過去に読んでいたし、何年も大好きな作家さんが挿絵を描いている作品なので、ビジュアルを見て本当~に驚いたし、本当~に嬉しかった。

作品としても、原作の空気感を上手く拾い上げて「演劇らしく」上演してくれていた脚本と演出だったので、すごく面白かった。2021年観劇して一番面白かった作品だなと思う。

個人的にエルメスを人が演じるという表現が想像がつかなかったんだけど、キノがエルメスを停める動作とか、手で押している時にちゃんとモトラドの重量を感じる2人の歩き方とか、本当にモトラドに見えてすごかった。キノを男性が演じるという部分も、想像していたよりイメージピッタリだったし、所々で「あ、女の子なんだ」というのがふと見える感じがすごくキノだった。キノとエルメスの絶妙~な空気感を2人のキャストさんが間とか話し方で上手く表現していたのもすごく良かった。主題歌も大好き。

単独主演だから全通したんだけど、ここ数年で終わるのが一番惜しいくらい素敵な作品だった。

詳しくは個別の記事にて

appleringo.hatenablog.com

★6月

舞台『HELI-XⅢ ~レディ・スピランセス~』

サンシャイン劇場

ヘリックス第3弾。辛すぎた第2弾を経てどうなるかと思ったらより辛い展開に!!やっとすれ違いが終わったと思ったのに!!どうして!!

第2弾で傷ついたサッドネスに幸せになってほしいとは確かに言ったけど、彼を愛した記憶さえ全部忘れてしまうというのは…もう何とも言えない切なさでいっぱいになってしまった。クライがこの後どうするのかも気になるところ。レスターとリュウジンの利害の一致コンビも結構良いコンビで好きだったんだけど、レスターは生き急ぎすぎちゃったのが惜しかったな。武雄くんは意外と筋肉質なので、殺陣の動きがしなやかですごく好き。

セーレが君たちが成し遂げようとしていることが理解できないということは我々も未だ完全ではない、ということか…と話すのがすごく哲学だなと思う。全知全能の神以外はきっと完全なものなど存在しないのである…という。

 

舞台『死神遣いの事件帖-幽明奇譚-』

ヒューリックホール東京

しにつか続編。しにつかシリーズのファンなので観なきゃ!と思い行った。幻士郎帰還の物語というわけで、どういう経緯で帰ってくるのか気になっていたので楽しみだったんだけど、まさか一旦幽霊になっていたとは…。笑 お話としてはいつものしにつからしい事件解決譚だったけど、シンプルながらに伏線の張り方が絶妙で、ストーリーの歯切れが良くて観ていて気持ち良かった。やっぱり正義とは?悪とは?を描きたい作家さんなんだなぁというのを改めて感じたり。

相棒が違うことで解決の糸口の探り方が変わってくるのも面白かった。亞門が想像していた100倍チャーミングで好きになっちゃった。あと小林くんの身軽さを活かした演出がすごく良かった。しにつかは可愛い系死神の衣裳がみんな可愛くて好きだな~と思う。観劇後に早く…早く十蘭と亞門の絡みが見たい…と思っていたので冬映画でしっかり話していて歓喜した。あと安西くんの演技力を久しぶりに目の当たりにして上手いな~と改めて思っていた…セリフ回しが完璧すぎる。升屋の得体の知れない怪しさがよく出ていてお見事だった。

ちなみに、冬映画もしっかり完成披露舞台挨拶公演で見てきた。幻士郎の相棒はやっぱり十蘭なんだな~…を強く感じた。前回は十蘭が幻士郎との別れに涙を流したけど、冬映画は幻士郎がハナとの別れに涙を流していて対比的で良かったな。死神にも人間にも大切な人を思う心があるんだなっていう。ハナとのシーンの幻士郎、今までで一番人間らしかったと思う。幻士郎と喧嘩したら新之助の所に行っちゃう十蘭も可愛かったです。

かなり余談だけど、ヘリックスとしにつかを立て続けに観たので、「昨日は闇の毛利脚本、今日は光の毛利脚本」などと言っていた。笑

 

舞台『晴れときどき、わかば荘 あらあら』

招待で観に行った。3カップルがオムニバス的に描かれる作品で、全体的にほのぼのとした雰囲気なので安心して見られたけど、ゆったりしている上にお約束な展開が多めであまり面白くは…なかったかも…。BLとしてはもう王道も王道なのでキュンを楽しむやつなのかな、と思いながら見ていた。誠のダメダメな師匠のことが何だかんだ言って大好きで、という大型犬みたいなところはキャラクターとしてすごく可愛かったです。あと佐藤くんがムキムキ。

 

ドラマチックライブステージ『アイドルマスター Side M』

銀河劇場

運命の作品(?) 長くなるので詳しくは個別の記事をご参照いただきたいのだけど、過去ずっとギタリストのファンをしていた私、の推しがとうとうギターを持ってしまい…すごい練習して当て振りしてくれて胸がいっぱいになってしまった作品。ニコニコ楽しそうに弾いているのを見たらとても幸せな気持ちになったし、ハイジョのライブシーンは5人とも本当に楽しそうにパフォーマンスをしていて、見ているこっちまで楽しくなった。推しの役は、表情がくるくる変わるのがすごく魅力的だった。

ドラマパートのハイジョも「ちょっとしたことでもみんなで一緒に笑って、活動できる今という瞬間が最高!!」という青春のキラキラを肌で感じられるのがすごく良かった。アフタートークも本当に高校の同級生みたいなワイワイ感があって見ていて本当~に楽しかった。

ドラスタとクラファもそれぞれ自分たちの持ち味を最大限に活かしたパフォーマンスになっていて、曲も素敵で、すごく良かった。ファンサも沢山もらえたし、2021年一番楽しかった作品かな。

詳しくは個別の記事にて(3つくらいあるんですけど…)

appleringo.hatenablog.com

 

★7月

うち劇オンステージ『禁断の取調べ』

Theater Mixa

単発の朗読劇。現地でも観られるし、配信だと背景効果なんかが合成されてまた違った雰囲気を楽しめるという作品だった。表向きは痴漢冤罪犯と取り調べをする刑事たちの話なんだけど、実は…というどんでん返しが何度もあって、すごく意外な結末を迎えるので驚きを隠せなかった。2回公演だったので、2回目はそこまでの伏線をじっくり見ることが出来たのも面白かった。

推しは(表向きは)変質者の役をやっていたんだけど、手を膝でもぞもぞさせてるのとかす~ごい挙動不審オタクそのものなのに、後半のどんでん返しで身分を明かした後はずっしり構えた感じで手も膝から動かさず淡々と喋る、、みたいな変化があって、すごく役者感を感じられる役だった。後半にトークがあったんだけど、推しが緊張してしまったということを伝えようとして「心臓が止まらなかった~!」って言って周りが???ってなってるのめちゃくちゃ面白かった。杉江くん「そりゃあ生きてるからね」

この作品、最速がFC先着で、選択ミスで売り切れてしまって泣きながらその後の運営先行先着で買ったら何故か最前列が出て???ってなった。結果的に良かった。

 

舞台『「弱虫ペダル」The Cadence!』

シアター1010

初演から映像で見てはいたけど、実は初めてのペダステ観劇。すごく、圧倒的な光の舞台で、ここまで眩しい光!って感じの作品久しぶりかも。自転車競技シーンは映像で見ていてもすごく体力勝負なんだろうな…と感じていたのだけど、生で見たら本当にほとばしるエネルギーがひしひしと伝わってくるくらい熱いバトルになっていて、一緒に手に汗握って見てしまった。他のどんなスポーツものの舞台の数倍疲れるだろうな…という気迫とパワーだった。

19歳の島村くんが感じる坂道、本当にフレッシュなエネルギーとパワーをひしひしと感じられて、夢を見つけて、そこに向かい始めた!という圧倒的光を感じて…眩しかった…。砂川くんの今泉はなんか、物理的に強そうだった。スマートさより熱さが目立つ感じの今泉だった。後輩の子と観に行ったんだけど、隣であの衣装だからこそのラインをめちゃめちゃ見ていたらしくて笑った。

 

★8月

ワールドトリガー the stage 大規模侵攻編』

品川ステラボール京都劇場

ワーステ第2弾。東京公演3日目で中止が発表されて、すごく切なかったけど、無事に京都公演を完走出来て良かった。中止前の公演を丁度観劇して帰宅していたら中止が発表されたの衝撃だった…。京都公演も土日と観に行けて最後まで見届けられて良かった。

前回同様サクサク説明付きで進むから、前回よりキャラクターが増えたけど話を見失うことなく最後まで楽しめた。前回のダイジェストみたいな部分があって、前回ダンスではなかった部分がダンスになっていて、そこの振り付けがすごく好きだった。

推しの役は前回ほど出番がなかったんだけど、最後にボスとのバトル(VS ハイレイン)があって、そこの殺陣がすごくカッコよかった。床付近まで腰落として足に斬りかかろうとする所とか、銃で狙ってる時の鋭い視線や右手に剣、左手に銃で低い姿勢で構えるポーズもすごくカッコよかった。ハイレインが他に気を取られている時に「お前の相手は俺だ!!!」って叫ぶんだけど、それが迫力があってめちゃくちゃゾクッとしたし、その後すごい勢いでハイレインに向かって斬りかかってくのも隙を与えない感じですごい迫力だったな。カテコで風間さんと太刀川さんに遊ばれてるのも面白かった。

あと第2弾で初登場だった浜浦さんの小南さんがチャーミングなのに強いというキャラクター性を体現していてすごく良かった。空閑への先輩風を吹かせようとしているのが可愛かったし、対戦訓練の息ピッタリのダンスが好きだった。あとアフトクラトルのダンスは曲と動きを合わせて"蠢く"って言葉がふさわしいような得体の知れなさがあって、全員静かに同じフリを踊るのが統制が取れた軍隊って感じで部隊のイメージとよく合致していてよく出来てるな~と思った。

 

少年社中『クアンタム-TIME SLIP 黄金丸-』

紀伊国屋ホール

ワーステが無くなってしまって何か観たいなと思った時に上演していたので観に行った。生で社中作品観るのは初めてだった。SFの設定の軽さとか寝がえりの早さとか、ストーリー的に気になってしまう部分はあったんだけど、細かい部分を気にするより演者の説得力で押す!っていう方向性だったのであんまり気にならなくなった。役者のエネルギッシュなパワーでバチバチに説得力を出している感じで、演劇らしい演劇を見られたのは嬉しかった。細かな部分の描写の繊細さよりも大きなテーマをいかに引き立たせるか、的な部分に重きが置かれてる感じ。

この作品は染谷俊之七変化って感じで、白目剥いたり可愛い顔の女の子に負けちゃったり、仲直りの仕方を忘れて原始人みたいになったり段差を降りるのが怖くて一度平衡になったりと、振れ幅が大きくて役者だなぁ…と思った。こんなにヘタレな染谷俊之を見られるのはこの作品だけかもしれない…。笑

こう見ると毛利さんって社中とそれ以外で大分作品の作り方違うけど、芯が一貫してるよね…と思う。

 

★9月

舞台『どーるはうす』

ウッディシアター中目黒

友達の推しが出ていたので一緒に観に行った。男性の役もみんな女性が演じるという作品だった。自分を愛してくれるドール型のアンドロイドを販売する家で虐げられている少女が、ある日ゴミ捨て場で出会ったアンドロイドを助けて、仲を深めていくけど、実は彼女には秘密があり…という話。お話の本筋は面白いのに細かな説明不足が目立ったのと、歌が少し不安定な方が多かったのが少し残念だった。皆それぞれ自分の正義を貫きたかったけど上手くいかないやるせなさ、みたいなのはすごく感じられた。バックグラウンドを見てみたいキャラクターが多かった。

友達の推しさんは背が高くて、軍人役が似合っていてカッコよかった。

 

★10月

アナタを幸せにする世界の伝説vol.3『ジェヴォーダンの怪物~狼男伝説~』

こくみん共済coopホール スペース・ゼロ

まさかの2021年4度目の主演で嬉しくて全通した作品。詳しくは今度個別でじっくり感想を書きたいなと思ってる。推しのド悪役がすごく新鮮で、最初見慣れなかった。笑 びっくりするほど人を騙すのが上手いので最初はシンの内面はどこまでが本音?どこまでが嘘?を噛み砕ききれなかったんだけど、ツンドラとの会話で「あなたは人を愛したことがない」と言われて傷ついた顔をしたり、メキシコやヘルシングを刺したあと泣きそうな顔で話したりする部分でああ、ここは本音なのかな…を感じた。完全悪にはなりきれていないのが、また人間味を感じて良かったりした。

物語としてはミステリー的な部分が大きくて伏線が多い話だったので、1回目でなるほど!と思って2回目以降で伏線に気付けて2度美味しい話だった。キャストさんたちも上手い人が多かったのでそれぞれが裏に隠している思惑を悟られないように、でもポロっと見えてしまっている部分もあり…みたいな人狼だけど人間らしい感情をじっくり味わえたので面白かったな。ツンドラちゃんは可愛い。

個人的には終盤の殺陣でシンが余裕がなくて死にそうになりながら戦っている気迫がすごくて好きだった。すごく生きてる!って感じで。あと上でも書いたレオを刺すシーンで、悪役なのにすごく罪悪感のある切ない表情をしているのが毎回しんどかった。あとは一番最後の口上がやっぱりカッコよくて好きだ~!と思った。結構色んな表現パターンがあったんだけど、本人に聞いたら着地点がわからなかったと言っていてなるほど…と思った。どれもシンの生き様がよく表れているな~と思っていた。

2部のライブパートは温度差がすごくてめちゃめちゃ笑ったけど、ダンスも歌もカッコよかったし、小芝居の所で笑顔になれて嬉しかったです。ダーウィンに何度笑わされたかわからない。笑 グループ曲は2人ペアになってボックスステップ踏んだり互いに前後で回るところが綺麗で好きだし、全体曲はグループでセンターに出てきたときのフリとか、サビの振りつけが細かくて見ていて楽しかった。また絶対感想書きます!

 

★11月

WATARoom『セーブ・ザ・ダディ』

恵比寿・エコー劇場

久しぶりの小劇場~!主人公が仲直り出来ないまま亡くなってしまったパパが出ていたミステリードラマに友達と入ってしまって、パパの役が死なないように奮闘する…というサスペンス・ミステリーなんだけど、ギャル2人っていう異分子が入ることでコメディに収束していくのがすごく面白かった。話は結構シンプルなんだけど、ギャル2人のツッコみがかなりメタなのがいい味を出していたり、濃すぎる謎解きメンツのやり取りが本当にテンポが良いので何度観ても飽きなかった。シリアスすぎず笑いに走り過ぎずなバランス感が絶妙というか。完全なハッピーエンドにはならないけど、主人公が前を向くきっかけにはなっているし、現実ってこんなもんだよねって言う振り切っていないラストは結構好きだった。ドラマの方のラストもすごく切なくて愛を感じる流れで良かったけど、急にエンドロール流れるのは本当にメタ過ぎて笑った。

メタな部分はありつつ、しっかりとミステリー的な謎解きのトリックもあって、2回目以降伏線を見つけながら観られたのも面白かった。推しは若い犯罪心理学の准教授で、爽やかにニコニコしながら推理をスラスラ論じるのがスマートでカッコよかった。でも途中亡くなった奥さんとのものであろう結婚指輪を触りながら切ない表情をするシーンがあって、それが後々の伏線になっていたりして…切ない役だったな。ギャルちゃんに好かれてて、自分がカッコいいのを分かってる感じに振る舞うのもよかった。笑 謎解きメンツが全員独特の決めポーズを決めるシーンがあって(ドラマだからね…)そのポーズが日替わりで毎回面白かった。笑 細かく書きたいポイントが多いのでこの作品もまた個別で感想書きます。

 

★12月

舞台『ヒプノシスマイク Rule the stage Bad Ass Temple VS 摩天楼』

品川ステラボール

ヒプステ ナゴヤ VS シンジュク公演。ドラマトラックの2nd D.R.B前の物語の補足のようなストーリーになっていて、原作で触れられていなかった寂雷と獄の関係修復が描かれているのがアツかった。原作では2nd D.R.B.でも敵として戦うような印象を受けたので、友としてぶつかったのかもしれないと思うとまた違った印象で曲を聞けるな~と思った。2人が最後にぶつかり合うシーンでは、2人とも本当に良い顔をしてて…。

今作の空却は本当~に不器用な部分がよく描かれてて、強い言い方をしてしまったり、一方通行でぐいぐい進んじゃったりするんだけど、実際はすごく芯が通っている男で好きだな…と思った。寂雷と獄に対して「ぶつかり合わないと得られない友情もあんだろ」って言うのが説得力があり過ぎてすごく好きだけど、お前も早くぶつかり合って仲直りせえ…の気持ちにもなった(?)

獄に対して十四が何かいつもと違う?を感じ取るシーンがあって、彼は人の感情の機微に敏感なんだなぁというのが良くわかるんだけど、一二三も作中で同じように寂雷の様子がおかしいことに気付くシーンがあって、別の自分で自分を守っているという意味で2人の繊細な部分というのはリンクしているんだろうな~みたいなことを感じられる構成だったりもした。今回の十四が空却に微妙に当たりが強いのもめ~っちゃ好き。笑

演出としてはホスクラ襲撃の後のバトルで、レザーライトを使って閉じ込めたり壁を作ったりしてるように見せる演出がとても面白いし、視覚効果として誰がダメージ受けてるかわかりやすくて良かった。ライブパートの客の気持ちわかり寂雷も面白かったな。笑

あと今回から参加の独歩役の井出卓也さん、流石本業と言いたくなるくらいラップが上手くて聞き取りやすいし、ダンスが大ぶりなのが独歩のバタバタ感にぴったりでとても良かった。普段ペコペコしてるのにダンスになると急にバッキバキになるのがめちゃめちゃ良い。好きです。

 

ミュージカル『東京ラブストーリー

東京建物ブリリアホール

招待で行った。令和に東京ラブストーリー…!?というのは結構衝撃的だったけど、ドラマ版を知らなくても綺麗にまとまっていたので観やすかった。元の話を知らないので、泥沼に次ぐ泥沼で笑っちゃったし、終盤のリカの所に行くカンチがどうにかなってしまうのではないかとハラハラしていたんだけど、リカは聡明だったのでそんなことはなく、リカ、幸せになってくれ…というラストだった。三上を見ながら、結局遊んでいた人間の心を動かせるのはおもしれー女だけ…という気持ちになった(?)

女性陣が歌の上手い人が多かったので、好きな人への気持ち、嫉妬、色んな感情を迫力のある綺麗な歌声で聞けたのは嬉しかった。あと、カンチが今治タオルの営業担当なんだけど、今治タオルをプレゼンする歌まであって存在感がすごくて、でも原作にもドラマ版にも別にそんなシーンは無いと聞いて驚いた。今治タオル、本当に何?

 

ミュージカル『ウインドボーイズ!』

シアター1010

推しが出るということで、時間がなくて原作ゲームを殆ど齧れないまま観劇した作品。かなりストレートな王道青春ものだったのでストーリーに捻りはないものの、高校生が一生懸命自分の夢に向かって頑張る!というキラキラが溢れていて、それで胸がいっぱいになった。なんか久しぶりにザ・2.5次元って感じの作品だったな~と思うほど、キャラ付けが濃すぎて最初ちょっとむずむずした部分もあったんだけど、見ていたらだんだん楽しくなってきた。

日替わりやギャグシーンもかなり多めに感じたけど、明るくお客さんと一緒に楽しく作る作品って感じだからアリかなと思った。どちらかというと作りこまれた感じの舞台が好きだけど、こういう刹那的なエンタメっぽい作品でしか味わえないものもあるしな~という気持ちがあり。男子高校生という題材にもその刹那的な感じが合っていると思うし…。

推しは合理主義的でちょっと冷めた部分がある役で、他人ともちょっと距離を置いている感じがあって、斜めに意見を入れたりするのがクールでカッコよかった。ラストの演奏会の成功のあと、桜晴とハイタッチしようとして一瞬躊躇して手を引っ込めちゃうんだけど、そのあと桜晴にハグされて驚いた顔をしているのが、友達との距離を取り慣れていない感じが出ててすごく可愛かった。あと、部活の再建について保護者が色々言ってくるというシーンで、根拠もないのに騒ぎ立てるのがとても現代人らしいですね♪とニッコリ笑いながら言い放って、終わったら真顔に戻るのが怒ってるんだな…が伝わって来て良かった。

宗洲の全力アドリブに毎回笑わせてもらったんだけど、一番好きなのは康人が入部を決めた後の「し、新入部員って本当かァ―――!?」ってデデンって出てくるところ。勢いあまって入部届け破いてる回は本当に大ウケした。桜晴康人コンビのかぶから宗洲も毎回本当に面白かった。モブJKも可愛かった。

ライブパート含め歌が沢山聞けて、ダンスも沢山見られたのも嬉しかった。テーマ曲で上手から下手に移動する時にステップを踏むのがすごく好きだった。デュエット曲も、音を伸ばす部分がすごく綺麗で好きだった~!蘇岳に盛り上げが雑だね!って怒られる康人くん笑った。

客降りも久々にあって推しが歩いてくる逆の通路を持ってる公演があって、たまたま真逆の通路席と交換してくれる方が見つかって、曲がってくるのをうちわ持って待ってたら、見つけてめちゃめちゃピースでレスしてくれたのでとても嬉しかった。

 

振り返ると、他の年に比べると回数通った作品が多めだった一年だったな~と思った。あとこうして見ると2.5が多めだったかも。推しの主演作品がどれも面白くて嬉しかったし、単発で観劇した作品も他の年と若干違うセレクトで、新鮮な気持ちで観られたものも多かったように思う。

そういえば9月の推しと仲の良い俳優2人のイベントの序盤で、久しぶりに起動されたゲームソフトの勇者と魔王が世の移り変わりで職を失くして演劇を志す、という内容のショート劇があったなと思い出した。2人の関係値にも即して描かれていて、かなりシュールだけど面白かった。笑

今年も沢山色んな作品を観劇したいです。

観劇総括【2021年編】

明けましておめでとうございま~す!年末友達とまったりしてたら記事が全く終わらなかったので、2023年の初っぱな2021年の観劇録から始まってすみません。笑 暫しお付き合いください。

 

★1月

演劇の毛利さん vol.0『星の飛行士』

サンシャイン劇場梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

推しの出演作品だから観劇したんだけど、2021年一発目にして、2021年一番面白かった作品だった。記憶喪失のサン=テグジュペリが「星の王子さま」「夜間飛行」の2つの自分の著作を通して人生を振り返るという物語だったのだけど、この2つの作品を順番に繋ぐ構成が本当に上手くて面白かった!

彼が自分の作品の登場人物や親友(といっても幻想みたいな存在だけど)と対話しながら自分が何を大切にして何を考えて生きてきたのかを思い出していくんだけど、その過程の台詞ややり取りがすごく美しくて好きだった。

特に好きなのは「星の王子さま」の飛行士が砂漠で妻の姿を見て、僕は幻でも見ているのか?と呟いた彼に対して、妻が「そう、わたしは幻。あなたとの暮らしは幻のようなものだった」と告げるシーン。幻影と幻のような儚い日々が掛かっていてすごく美しいなと思った。その後の楽曲も好き。王子さまの最期も伊藤理々杏さんと池田純矢さんの演技が良すぎて毎回泣いちゃった。

そしてもう1つ好きなのが「夜間飛行」のファビアンの最期の歌「孤独」。白い光に照らされたファビアンは綺麗だし優しく穏やかな微笑みを浮かべているけれど、その反面この先に来るものを暗示するようにすごく冷たくて、そこに悲しげな歌声が乗ってきてすごく切なくて…。序盤で夜間飛行を闇の中をくるくる回るダンスで表現しているシーンがあって好きなんだけど、そこの楽しげな笑顔とは本当に対照的。

毛利さんのいつもの作品ってどこか小劇場感のあるやり取りや小ネタが含まれる気がするけど、この作品はそれが割とバッサリ落とされていた印象で、普段と違うものを作りたいっていうのが伝わってくるな~とも思った。朗読激の方もいくつか観たけど、また雰囲気が違って面白かった。

書きたいことが多すぎて書ききれないので、いつか時間が出来たらきちんと感想を書きたいな…という作品。

 

★2月

舞台『ヒプノシスマイク Rule the stage track.4』

TOKYO DOME CITY HALL

原作のD.R.B決勝前夜の話が好きなので観に行った。原作より大分それぞれのディビジョンに起こるトラブルの繋がりがコンパクトにわかりやすく描かれているので、観ていてスッキリした。二郎三郎の兄弟喧嘩ターンの演出が可愛かった。私は兄弟がいないから本当のところどうなのかわからないけど、序盤のじろさぶの兄弟喧嘩しても二郎は三郎に激甘だし三郎は二郎に対して極ツンデレなだけで本当はこの世で一番大事なんだっていう感情がひしひしと伝わってくる感じがなんかいいなぁと思った。

あと、トーナメント前のお前が一人で戦うならチーム必要ねーだろ!って銃兎が怒り、りおがトカゲ持ってきて左馬刻が無言で食べて、やってやんぞ!ってなる所で感じられる、志を共有してるから言葉は要らない大人のチーム感がハマっぽくて好きだった。

 

最遊記歌劇伝-Sunrise-』

品川ステラボール

ヘイゼル編完結。オープニングから胸アツだった…。キャストが変わったのもあってか序盤は出会いからのダイジェストがあって前置きが長いかなぁとも思ったんだけど、集大成だし歌劇伝の歩みみたいな部分もあるのかな、と考えたら腑に落ちた。

三蔵を他の3人が闇から引っ張り出す所の三蔵はボロボロなのに3人がワーワー好き勝手話してるところが、本当に原作の空気そのままで大好きだった。その後の光にあふれた曲も大好き。あと、ガトの最期に悟空が「Over」を歌うのが…本当に良くて…。前作までの曲を別のキャストが歌って、このために作られたんじゃないかというほどぴったり噛み合うのが本当に神業だと思う。浅井さんと三浦さん、すごすぎる。最後へイゼルが泣いている所、法ちゃん俯いてるから涙が溢れ落ちていくのが光に照らされてよく見えるのでより切ないのも好きだった。

唐橋さんのバク転と長台詞にも驚いた。そして餞別だ、クソガラスが聞けて大歓喜だった。

私はどうしても鮎川悟浄のイメージが強すぎて平井悟浄どうなんだろう~と思ってしまったんだけど、鮎川悟浄とはまた違った悟浄の良さを強調しているような感じで、彼の悟浄も悟浄だったので良かった。平井悟浄は女にフラれなそうって言われてるの本当にわかりすぎて笑っちゃった。鮎川悟浄が圧倒的に無骨な感じだったので、やさしい部分が目立つというか。

千秋楽入れたので久しぶりに拡樹くんの挨拶聞けたのも嬉しかった。「初演から考えると、本当に長い旅でした」という言葉にじーんと来てしまった。

 

★3月

舞台『「双牙~ソウガ~」新炎』

シアター1010

推しが出ているので観に行った。かなりシンプルに「戦う」ことが主軸に据えられていてごちゃごちゃしていないから、登場人物同士の関係性が際立って見えて、初めはそのストレートさ故の熱さを感じられて面白いな~と思った。でも、何度も観てると登場人物の設定や物語の薄っぺらさがすごく気になってしまった。絵本くらいの設定を無理やり引き延ばしたような印象を受けた。

例えば大切な人が傷つけられた時だけ急に強くなるという余りにもベタな設定の人物がいたんだけど、何故そこまで執着するのか?何故人格が変わるほど強くなるのか?が一切掘り下げられなくて、話に深みが無さすぎた。推しの所属しているサイドは"天下統一と誇りのため"という目的が掲げられていたし、推しの役も軍師で、そのために真剣に策を練るというのが伝わってきたんだけど…全体的にみるとすごく微妙だった。

久しぶりに推しの出演作で通うの辛いと思った。チケットその場で譲って帰ったりした。

 

★4月

TAAC『世界が消えないように』

下北沢駅前劇場

友達の推しが出ていたので一緒に観劇。3人の大学生が卒業旅行をしながら、彼らを結びつけたもうこの世にいない友人を思い、前進する物語。誰も悪くないというのは3人ともわかっているのだけど、もう少し早く気が付いていたら"彼"は生きていたかもしれないという思いが拭い切れずギスギスする様子はリアル。そして、何となくずっと一緒にいたからこそ言えない悩みを抱える様子も、大人と子供の境界線にいる彼らの心情をすごく瑞々しく掬い上げているな、と思いながら観劇していた。

最終的に彼らはそれぞれ自分の悩みを打ち明けていくのだけど、その場でそれが解決するわけでもなく、わだかまりが完全に解消するわけでもない。でも、確かに"彼"がいて、自分たちがここにいて、一緒に過ごした日々がある。別にすべて分かり合う必要はなくて、それぞれが自分の思う形で友人として接していけばいいんだということを彼らが理解して、一歩大人に近づく様子があるのが良かった。彼らの日々はそれからも続き、きっとこの物語は今もどこかで続いているんだろうな~と思える広がりのある作品だった。

 

舞台『錆色のアーマ 外伝 碧の梟』

品川Club EX

シリーズ作品の外伝で、一応初演は前に映像で見たことがある状態で行った。初回はなるほど、帝に仕える三兄弟の話で、本編の登場人物と因縁があるのね~と軽く観ていたらすごく衝撃的なラストで、余りにも切なくて泣いてしまった。そして2回目以降そのラストへの伏線が劇中のそこかしこに散りばめられていることに気が付いて、余計切なくなってしまう…という作品だった。なんかあまりネタバレしたくない気持ちになる作品なので詳しくは書かないけど、終盤で長男と三男が次男にかけるセリフと、優しい笑顔が切なくて好きすぎる。

殺陣もかなり沢山あったんだけど、キャラクターが皆変形武器を使用するので見ていて面白かった。長男が弓と槍が一体化したような武器を使用していて、バンバン撃ったと思ったら今度は振り回して敵を薙ぎ払っていてめちゃめちゃカッコ良かった。蜘蛛の糸を張る武器を使うキャラクターも光と映像でそれを表現していたのが面白かった。

ライブパートもあって、推しの優しい歌声がたくさん聞けてダンスまで見られてすごく盛りだくさんで満足感が高い作品だった。3兄弟曲がすごく好き!黒氷と藤白のターンは毎回笑わせてもらった。ぞうさん…。

この作品円形ステージだったので、座る位置によって見え方が全く違うから毎回新しい発見があるのも面白かった。クラブexなので後ろの方の席の時はマジで見えなかったけど…。そして、急な政府要請で途中の公演から中止になったのは本当に悔しかった。推しが最終公演で、正直本当に悔しいって強めに言い放って言葉に詰まった時、そんな言葉言わせたくなかったよ…と泣きたくなった。しかも中止が決まった後の公演は全部最前のチケット持ってたので、個人的にも本当に悔しかった。もうあんな思いはしたくないなと思う。

 

舞台『ヒロイン』

シアターサンモール

アーマの中止で無になっていた次の日にたまたま客入れ最終公演が行われるというのを見掛けて、前に配信で見てめちゃくちゃ面白かった作品なので当日券で駆け込んだ。再演だけど、以前の配信の時の主役の女の子がとても良かったので、同じキャストで嬉しかった。

駆け出し女優の美里は銭湯のロケで上手く演技が出来ず、自分がどうして女優を志したのか思い出そうとするが思い出せない。そこで何故か銭湯の奥さんが自分の事を知っており、自分が何かを忘れていることを思い出す。そこに時を巻き戻す妖精のおじさんが現れて美里を過去の銭湯へタイムスリップさせる。そこにいたのは自分に良く似た小さな女の子…でというタイムスリップものの物語なんだけど、彼女がすべてを思い出すまでの家族や近所の人々のやり取りがすごく優しくて、愛が溢れていて、だからこそラストの別れがすごく切なくて思わず泣いてしまう。切ないけど最後はまた出会えて、暖かくハッピーエンドで観てよかった~になる作品だった。

正直、親権争いは母親の態度がすごく嫌な感じに思えるんだけど、父親側がメインだからわざとそう見えるようになっているのはあるのかな…とも思い…。でもすごく自分勝手だなぁと思ってしまう…。

 

★5月

ブロードウェイミュージカル『メリリー・ウィー・ロール・アロング』

新国立劇場 中劇場

登場人物の関係性を逆再生して描いていくという珍しい構成の物語で、破綻してしまった関係の伏線をどんどん過去に向かって回収していくというのがすごく新鮮だった。すべてを裏切って富と名誉を手に入れて落ちぶれた主人公と、裏切られた友人たちが、どれだけ信頼しあっていて、夢を語り合っていたのかというのが徐々に見えてくるのが切なかった。あんまり万人受けするストーリーではないな~と思ったけど…。平方さんの歌を久しぶりに聞けて嬉しかったな。

 

★6月

舞台『「剣が君 残桜の舞」~再演~』

こくみん共済coopホール スペース・ゼロ

乙女ゲームの原作を知っている作品で、推しが演じる役がとんでもない運命を背負っているのも良く知っていたので、ヒエーと思っていたんだけど、各√分岐後の話には殆ど入らなかったので匂わせる程度で終わったのは少し残念だった。でも、序盤の話はきれいに纏まっていて、各剣士の個性もしっかり盛り込んであってすごく面白かった。(まあハトミュみたいに最後まで分岐するってなると莫大な時間がかかると思うので…) そして浅井さんの曲が本当に良い…。

実彰さん役の秋沢さんの殺陣がめちゃめちゃ華やかで綺麗だったので、6人の中で一番強いというのに説得力があってすごく良かった。あと九十九丸が常夜に憑かれている時の狂気に満ちた表情がゾッとするくらい怖くて、とにかく「生きている」感がなくてすごく良かった…。あと憑かれる前と憑かれた後で明らかに剣の実力に差があることがわかる表現がすごいなと思った…笑いながらバッサバッサ斬っていくの良すぎる。

運営がゴッタゴタで始まる前に急に主役がキャスト変更で大丈夫なのか…?と思っていたけど、浜浦彩乃ちゃんがチャーミングで歌も素敵ですごく良かった。あと狐狸コンビとハバキちゃんが本当に可愛くて癒しだった~!!ひそひそ話の歌、めちゃめちゃキュート。団杉江大志のアドリブぶっこみも毎回笑った。推しに聞いたら毎回勝手に振ってくるから困るって言ってて笑った。推しがカテコで頭下げたら傘がずり落ちてきて焦ってたのも可愛かったです。

 

『楽屋』

浅草九劇

友達の招待で観劇。何度も再演されているある演劇の楽屋の女優と女優の幽霊の話なんだけど、演じるとは何か、女優とは何か…みたいな問いかけが根本にあって、色々考えながら観られて面白かった。作中、役者が演じている女優が誰かを演じている二重の状態との切り替えが余りにも自然なので、どこからが"演じている人が演じている"状態なのかという境目が曖昧で、その二重の状態も"女優"そのものなのかも…と思ったりした。今回は男性が"女優"を演じていたので、その二重性も重なっていて。

あと他の演劇の引用もすごく多いので、元の作品の勉強もまたしたいなと思った。

 

TXT vol.2『ID』

よみうり大手町ホール

その人が"その人"であるために必要なこととは何なのか?人は本当に自分の意志で生きているのか?を問いかけた意欲作。凝った設定だけど長い説明台詞もないのにスッと話が入ってきて、高橋悠也さんめちゃくちゃ脚本も構成も上手いな…と思った。

人間より高次元の知性的存在である"委員会"が実験によって感情や人格をインストールした人間を作り出して「感情とは何か?」を知るために観察し、反抗したら始末する。でも実は、委員会のメンバーもある人によって実験対象となっていて、何度も記憶を消されて実験を繰り返されていた…ということが明らかになるので、結局人は誰の意志で生きているんだろう?を考えさせるという流れが上手すぎる…と思った。

終盤で崎山さん演じる生徒会長が学級委員を誤って殺してしまった時にワッと泣くのが、ただの知性だったものに感情が乗る経験があっての"人間"なんだということを感じて、人ではない彼らが段々人間になっていく道筋が見えるようで面白かった。あと、2回目観劇したときに、物語の中の話であるはずの「繰り返されることで少しずつ変化が出てくる実験」が、演者の雰囲気が公演を重ねるごとに日々少しずつ変化していくこととリンクしていて、演劇向きの題材だし、すごく面白いな~と思った。

 

舞台『タンブリング

赤坂ACTシアター

面白そうだったので観に行ったんだけど、シンプルに悩んでぶつかり合って分かり合ってかけがえのない仲間になるというザ・青い春で、観終わって胸に沁みるものがあった。みんな、わだかまりなく終わって良かった…。新体操のショーパートを役者が実際に演じるというのは聞いていたけど、想像よりずっとダイナミックで、航南も悠徳もすごく綺麗だった。悠徳のお茶目な演技、すごく笑顔になった。プロのチームの演技も素晴らしかった。私は蒼木陣くんの上腕二頭筋のファンなので(?)見られて嬉しかったし、力強いダンスがカッコ良かった。

 

★8月

舞台『One Night Butterfly』

よみうりホール

ほさかよう演出浴びたすぎて行った。バーレスクの閉店と女性キャストの全員退職という絶望から始まるけど、最終的には男性キャストが自分を曝け出してボーイレスクの練習を重ね、最高のパフォーマンスを届けることでハッピーに終わって良かった。キラキラの衣装を着て踊るキャストを見てたらそれだけでも楽しめた。オーナーはクズでしたけど…。

洋傘・和傘を回しながらキャストが隠れて登場する演出の多用とか、キャストがめちゃくちゃ脱ぐところとかにほさか演出を感じてワクワクしてた(?)ステージが上裸で満たされてる絵面が面白すぎる。

 

ミュージカル『憂国のモリアーティ』Op.3

品川ステラボール

去年原作にハマって、ミュージカルの評判が良いと聞いて丁度公演があったので観に行った。生バイオリン&ピアノ演奏でのホワイトチャペル事件、迫力があってめちゃくちゃ良かった…。私は原作のシャーロック・ダラム押しかけ事件が大好きなので、端折らず入れてくれて感激だった。最後にウィリアムがシャーロックの名前を呼ぶところの、シャーロックの「名前呼んだか!?」が原作まんまで良かった。平野シャーロックは、歌唱時に早まったり遅くなったりっていうテンポの取り方や、セリフ回しの躁鬱感が本当にシャーロックそのものだった。藤田ミルヴァートンの顔が最初は暗がりで見えなくて、途中から正体がわかるのも原作を踏襲していて堪らなかった。

あと「孤独の部屋に」の少しずつ心に入り込んでくるシャーロックの存在を優しく歌い上げるウィリアムがあまりにも良すぎて…。変えられていることに自覚的なのがすごく良いなって。そしてそれが2幕の最後の曲に繋がっていって、アンサーソング的になっているのがすごく良い。Op.4もチケット取ってるので楽しみ。早く橋落ちが見たいです。(それは多分もう少し先)

 

舞台『ヒプノシスマイク Battle of Pride』

ぴあアリーナMM

BOP!1回しか入らなかったんだけど、アリーナ花道横の席だったので、めちゃくちゃ楽しかった。「Champions In Da House」のいちばんバ~ン!で乱数にバ~ンされて可愛すぎて倒れかけた(?)あと、空却くんが塩対応で花道をずんずん進んでいくのがとても解釈の一致だった。テーマ曲の「Battle of Pride」は、それぞれのディビジョンごとのカラーが良く出ててカッコ良かった。

 

★9~10月

『演劇調異譚「xxxHOLIC」』

銀河劇場、京都劇場

2021年観た2.5の中で一番面白かった作品。オールメイルでCLAMP作品を舞台化ということで話題になっていて、面白そう~とは思っていたのだけど、全キャスト発表で推しがいたので通うことに。ここ数年で一番チケットを取るのが大変でした…。

原作のオムニバス形式が上手く纏められていたし、終盤のオリジナルパートで四月一日が自身の変化と向き合う部分を入れ込むことで「四月一日が妖との関わりで少しずつ変わっていく」1つの作品として綺麗に仕上がっていて、観ていてスッキリする部分が大きかった。

あと初日は本当に侑子さんの衣装の豊富さに圧倒されたのが思い出深い。原作で彼女がある理由から必ず毎日違う服を着ているという設定があるのは知っていたけど、まさか話の切り替え毎に別の衣装を着て出てくるとは思わず…それぞれの衣装も近くで見るとすごく凝った作りで、また太田基裕さんの着こなしが様になっているのでうっとりしてしまうような美麗さがあった。他のキャラクターの衣装もすごく凝ったものだったので(雨童女のスカートの広がりとかすごすぎない?)、すごいな…とシンプルに思ったのを覚えている。

女性役のキャスト全員が日に日に美しく、魅力的になっていくのにも圧倒された。推しも女の子の役だったけど、いつも俯き気味ではにかむような表情で儚げに優しい声で話すのが、原作キャラクターの可愛らしさそのもので見惚れてしまった。最前だった日に下から見上げるような形になると、ホワイトデーのお返しを四月一日からもらって一度ぎゅっと握りしめて微笑んでいるのが見えたんだけど、それがすご~く可愛くて好きだった。照れ隠しで着物の袖をぶん回すのとかも。笑 ひまわりちゃんも歩き方や仕草が完璧に「クラスの可愛い女の子」だったので最高だった。

あと、例えば纏わりつく邪気をアンサンブルの方たちの蠢きで表現したり、女郎蜘蛛の蜘蛛の糸を実際に張り巡らせてその真ん中で座敷童子支えられて仰向けに留まることで実際に糸に捕まって浮いているように表現したり、女の子の幽霊を人形で表現することで不気味さを表したりと、全体的に演劇らしい演出が多かったのも好きなポイントだった。2.5だと映像に頼りがちな作品も多いから演劇らしい見立ての演出が沢山使われている作品が観られるのって嬉しい。テーマ曲もめちゃくちゃ好きだし、紫陽花の歌の太田さんと阪本さんのデュエットもすごく綺麗で情緒があって好き。他にも書きたいことがめちゃくちゃ多い作品なので、いつか絶対に1つの記事に書きます…。

 

『キルミーアゲイン'21』

紀伊国屋ホール

劇団鹿殺し。1回しか観るつもりはなかったんだけど、ひょんなことから2回観劇。

東京で夢破れて地元に帰ってきた売れない役者の主人公と、彼とともに演劇をやっていたけど夢を諦めて地元で働く親友が、町起こしのために閉鎖の危機の劇場で演劇をする…というのが大筋で、素人含めた演者たちのわちゃわちゃとしたコメディっぽいシーンも沢山あるんだけど、彼らの関係性の中に過去の悲しい事件が絡んでくるので、実は結構仄暗く、人生のやるせなさがじんわり伝わってくるような作品だと思った。

終盤に向かうにつれ劇中劇と劇中の現実の境目がどんどん曖昧に見えていって、「この世は舞台、人はみな役者」を体現するような話だな、と思った。その真ん中に据えられるのが人生に葛藤する演劇人達なのも良いダブルミーニングになっているように思った。

劇中劇で男性キャストが人魚の姿になるシーンのインパクトがものすごく強くて、未だに鮮明に記憶に残っている。

 

舞台『HELI-XⅡ~アンモナイトシンドローム~』

紀伊国屋サザンシアター

HELI-X第2弾。レスターちゃんいないけど、シリーズ通して観たいなと思っていたので観に行った。観終わって外に出た瞬間一緒に観劇していた友達に「つらすぎる…」と言ってしまった。Ⅱはサッドネスが本当に本当に救われなくて…幸せになってくれ…と強く思ってしまった。アンガーとのすれ違いが辛かった。

オシリス(平野良)のビジュアルを初めて見た時、(コイツ、絶対裏切る…)と思ったんだけど、案の定だったので笑った。でも彼にも彼の正義があるんだよな…とも思った。ⅠよりもⅡの方が、正義とは何か、悪とは何か…みたいな毛利さんらしい思想が強めな気がした。イモータルとクライのシーンや、シデン・シュンスイとのシーンのアドリブが強すぎて本当に笑った。杉江大志のアドリブぶっこみ…。

 

★11~12月

ワールドトリガー the stage』

品川ステラボールサンケイホールブリーゼ

推しが出ることになったけど全く原作を知らなくて、友達にまあまあややこしいと聞いていたので大丈夫かな~と思いながら初日に入ったんだけど、かなりサクサク進むし、いい具合に設定の説明が入るので舞台だけ観てもすごく楽しめた。作品に興味がなかったので正直全然期待していなかったんだけど、サイバーっぽい雰囲気が映像演出や光る武器の殺陣の演出と良くあっていて臨場感が増してたし、逃げるシーンや殺陣をダンスで表現していて(フィジカライブというらしい)そういう浮遊感のある表現が作品の雰囲気に合っていたりして面白かった。ヤンキートリオのアドリブも毎回笑った。

推しの役柄はサイン会の時にどんな役ですか?と聞いたらギラギラしててオラついてます!と言われて想像がつかなかったんだけど、めちゃめちゃカッコよくてすごく良かった。私は推しの表情のお芝居が大好きなので、ネイバーに友好的なキャラに噛み付きながらも、自分の正義に必死なだけなんだなというのが目から感じられるのが人間味があってすごく良いなって思った。武器が特殊だから、低い位置で獲物を捉えるような目で剣を構えるのとか、冷たい目で銃を構えるのとか見られて嬉しかったし、対空閑戦のダンス+殺陣が本当にカッコよかった。隊別ダンスもキレが活きてる感じで好きだったな~全員ダンスのターンもめちゃくちゃ好き。

4、5回観れれば良いやと思ってたんだけど気づいたら2倍以上観てたし、大阪も行くつもりなかったのに楽日も前楽日も行ってた…。すごく個人的な話なんだけど、平日絶対終わらんと思ってた仕事が早く終わって、早上がりで当日券行けそう…今日行った方が良い気がする…!と思ってダッシュしたらカテコが推しだったのでめちゃくちゃ嬉しかった思い出。飛んでもないタイトルの間違いをして、植田さん溝口くんが崩れ落ちたの今でも忘れられない。笑

 

DisGooNie 舞台『MOTHERLAND』

明治座

仕事で微妙に間に合わなくて本当に申し訳なかったんだけど、公演時間が長いので途中から観ても話の流れが分かってありがたかった(?) 中国史に明るくないので人物の立場とか政治や戦争の情勢が上手く飲み込めない部分もあったんだけど、この時代の背景において嬴政がああいう風にしか生きられなかったことは伝わってきたし、だからこそ昌平君とのラストはやむを得なかったのだろうな、と切なく思った。個人的には春申君が好きだった。最期の描かれ方まですごく綺麗だったので。あと、凰稀かなめさんの項燕が立ち回りも生き様もめちゃくちゃカッコよくて…こういう女になれたら最高だな…と思っていた。的場浩司のムチャクチャな蒙武も良かった。プリン…。

 

シン る・ひま オリジナ・る ミュージカ・る『明治座で逆風に帆を張る!!』

明治座

年末のる・シリーズは初めての観劇だったんだけど、毎年お祭り騒ぎだとは聞いていたのでその気持ちで行ったら、思っていたよりお祭り騒ぎだった。

初日の1部はマジで(鳩だ…)(鳩だ…)しか考えられなくなったんだけど、段々慣れた(?) クルッポー…。鎌倉幕府の話だったけど、衣装や人物の立ち振舞に和洋折衷なアレンジがされていて登場人物の立ち位置を視覚的にわかりやすく表していて面白かった。基本的には源頼朝北条義時の友情の話で、2人を始めとして歌ウマキャストが多いので歌を楽しめたのも嬉しかったし、切ない流れがありながらもしっかりハッピーエンドなのも嬉しかった。年末はハッピーに納めたいので。史実も多少アレンジされていたと思うけど、初めの王様なんだろう?と思っていたので、最後に伏線が回収されるのスッキリした。

個人的には朝廷組がお茶会している時に義仲が暴れだして逃げながら皆が一句ずつ詠むシーンが好きなんだけど、広元が親能にくっついてそそくさと物陰に隠れてアワアワしてるのとか、最後に真ん中に寄る時も待って~!って感じで置いてかれてるのも可愛い。一句詠む時に中の人の暴露大会にしてるのも笑った。広元、基本的におどおどして下むいて話しているけどアイディア話す時は目がキラキラするのが良かった。あと、義時の「俺は1を5や10には出来るけど、0を1には出来ない」っていうセリフが天才故の認め方という感じがして好き。自分にないものを物凄く的確に言葉にしている感じが天才っぽい。激化するルマンド兄さんのシーンも好きです。

2部は本当に何でもアリ!という感じで、何度事故を見守ったことか…(?) 小林且弥さんゲスト回の「るひまって緩急とか知らないの?」という言葉がリアルすぎて笑ってしまった。大人になりたくない!の推しの暴走と、ツンデレラの松田岳くんの暴走が本当に面白すぎて年末笑い納め出来たと思う(?) 一番ウケたのは人魚アリエナイだけど。笑

初日まで本当に時間がなくて朝の4時までうちわ作って(開演が早いので…)なんとか仕上げて持っていって、少し後ろ目の通路席だったんだけど、曲中の指差しで推しが見つけてくれたので頑張って良かった…と思ったという思い出。

 

長っ!!!笑 振り返ってみると2021年は一般舞台と2.5も、ストレートとミュージカルも半々くらいだったかな。オリジナル作品も観劇して色々考えを巡らせられる作品とか、かなり面白いものが多くて充実した年だったな~と思う。そういえば推しの主演はなかった年だったな~と思い返していたけど、結構良い役を沢山演じてくれて嬉しかったな。

既に2023年になってしまったけど、引き続き2022年の振り返りもしたいと思う。